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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第四章:お悩み相談生徒会
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第8話:御堂の四戒


桜さんからあの話を受けた日から、あの話が頭から離れない。


普段から優しく、それでいて弓を射る時の凛とした顔からは想像も出来ない過去を打ち明けられた。

なんとかすることは出来ないのかな・・・

そう思いながら、投書箱を開ける。

バラバラと数枚の紙が降って来る。


その中に、


「楓さん・・・」


御堂姉妹の妹、御堂みどう かえでさんの名前が見えた。





楓さんも何か悩みがあるんだ・・・








その日は、あの日と似ていた。


夕日の橙が、屋上を塗りつぶし、


時折吹く風が、私のちょっとクセのある長い髪をなびかせる。



「六依」


「・・・はい」

屋上の入り口の扉が開き、楓さんが姿を現す。


「すまない。私の話に付き合わせて」


「いえ、これを始めたのは私ですし」


「ならいいんだけどね」


「楓さんの悩みはいったいなんでしょう」


「解決法は考えなくていい。ただ聞いてもらうだけでいい」


「・・・わかりました」

話し方は違えど、桜さんと同じパターンだ。


「生徒会でよく顔を出しているから知ってると思うけど」

桜さんと同じように、手すりに寄りかかりながら話す。

桜さんが夕日に向かう体勢だったのに対し、

楓さんは背を向けている。


「私はよく、剣道の試合中に双天流の技が出て、中断になったり、反則になってたりするって、聞いてるでしょう?」


「はい。よく聞きます」

剣道部だと有名な話だ。

それを差し引いても強豪ひしめく剣道部の中で最強の座に立っているらしい。


「あれね・・・つい出てるわけじゃないんだ」


「・・・え?」


「あれは、意図的に出している」

楓さんは、持ってきた竹刀を見つめながら。


「正確には、"負けそうな時、それを隠すように"出している」


「・・・」


「それがどういう意味か分かる?」


「え・・・えっと・・・」


「私はね、正々堂々の試合の場で、御堂の剣を、私欲の為に振るってるって事」


それって・・・


「武術家として、最低最悪の行為だよ。ただの私の我儘で、御堂の誇りを穢している」


「楓さん・・・」


「最初はうっかりだったんだけど、負けるのが嫌だった私は、うっかりを装って、それを続けてた。そのうち、皆それが私だと思い始めて、やめられなくなった」

こんな事、打ち明けるわけにもいかないしね、と


楓さんのいつもの凛とした雰囲気は消え失せている。



「その・・・この話は桜さんには・・・?」


「・・・言える訳ないよ・・・こんな事知ったら、姉さんは私に失望すると思う。同じ流派を志した姉妹の片割れが、こんな輩だと知ったら・・・」


夕日の影に落ちた楓さんの顔は悲しげだ。



「姉さんに、認めて貰うために、強くあり続けようとして、その結果、御堂の看板に泥を塗るなんてね」


ん?桜さんは楓さんに負けたくないんじゃなかったの?


桜さんはそう言っていた。

何をやっても、楓に勝てなかったと。


「楓さんは、桜さんの事、どう思ってるんですか」



「姉さん?私にとって姉さんは、目標だよ。剣で勝てても、弓で勝てても、心の在り方では絶対に勝てなかった。心技体の心得は間違いなく姉さんの方が上だよ」



二人とも、思いがすれ違ってるなぁ・・・

なかなか、難しい話になって来た気がする。



「・・・これから、楓さんはどうするんですか?」


「どうだろうな・・・やめたいけど、やめられない。そんな状態が続くと思う・・・少なくとも、この高校に居る間はやめられないだろうね」


「・・・」

楓さんの悩みも、桜さん同様に重いものだ。下手な事は言えない。


「・・・うん・・・とにかく、聞いてくれてありがとう」


「・・・はい」


「こんな事聞いて、軽蔑したかな?」


「・・・いえ、いろんな人のいろんな悩みを聞いて来ましたから・・・」

誰だって言えない事の一つや二つあるんだって気が付いた。

私も全生徒に向かって言ってしまった事はあるけれど、全部さらけ出しきった訳じゃない。


本来やっちゃいけない事も、やってしまったかもしれない。


「・・・そっか、ならいいんだけど・・・いや。いいことなのかな・・・」



そうして、楓さんのお悩み相談は終わった。








生徒会室に帰る途中。桜さんの落し物の写真を見ながら、

私は考えていた。



・・・このままでいいのだろうか。


ただ、聞いているだけでいいんだろうか。



すれ違っているこの二人を、そのままにしていいんだろうか・・・






あの姉妹は、お互いに負い目を隠したまま、今笑顔を交わしあってるんだよね。


この写真みたいに、心から笑えてる訳じゃないんだよね。



そんなの、悲しいよね。




私はスマホを手に取り、LINEを起動し、メッセージを入力する。


送り先は、御堂桜先輩。



由依「六依です。もう一度、会うお時間、取れますか?」




返事は、すぐに帰ってきた。



桜「大丈夫だけど、どうしたの?」



由依「話したい事があります」



桜「由依ちゃんがお悩み相談?」


由依「いえ、そうじゃないんですけど、」


由依「とにかく、桜さんに、話したい事があるんです」



桜「わかったわ。明後日、前と同じ時間と場所でいい?」


由依「わかりました」






私は、この姉妹には、本当の意味で仲良くしていて欲しい。


そう思ってる。


二人を救う、なんて言うと大袈裟だけど

私がしようとしてるのは、そういうことなんだと思う。


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