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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第四章:お悩み相談生徒会
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第7話:御堂の空筈


一生記憶に残りそうな文化祭が終わり、

校内新聞にも私の魔法少女姿が晒されてしまった11月。


私のお悩み相談は、少し毛色が変わっていた。


一対一で話せるからって、悩み相談のついでに、

あの時の姿をもう一度やら、ポーズとって欲しいやら、

いい加減にしてほしい。

ここはそういう場所ではないのです。



投書箱に、「文化祭での私関連の話題は禁止です」と

追加で書き込んでいるとき、


「ちょっといいかしら」

後ろから声を掛けられる


「は、はい」

そこにいたのは、御堂みどう さくら先輩。

弓道部の副部長。

人格的にも実力的にも、良い噂しか聞かない。


「私も貴女のそのお悩み相談、利用したいのだけど、大丈夫?」


「あ、はい。大丈夫ですよ、文化祭の時の話は禁止ですけど」


「あれね、とっても可愛かったわね」


「あ、あの・・・だから・・・」

止めて欲しいって、言ったばかりなのに・・・






数日後、


夕日照らす屋上で、桜さんと向き合う。


「その、相談ってのは、なんでしょうか」


「お悩みって訳じゃないんだけど、ただ、他の人に話しておきたいことがあるのよ」


「そういうタイプですか」

ただ聞いてもらいたいだけという案件もそこそこある。

結局アドバイスとかすることになるケースも多いけれど。


「ええ、貴女は、御堂双天流が剣と弓、両方を修める武術ってのは知ってる?」


「はい。前に聞きました」


「でもね。私は、剣はもう握ってないの。捨てたの」


「そうなんですか?」

確かに、弓道場で妹の楓先輩は見るけど、剣道場で桜先輩は見ない。


「うん。その理由はね、楓に勝ちたかったからなの」


「・・・どういう・・・ことですか?」


先輩は、夕日を眺めながら、ゆっくりと語り始める。

「小学生の頃、私と楓は二人とも剣と弓、両方の鍛錬をしてたの。でもその時はね、剣でも、弓でも、どっちでも私は楓に勝てなかったのよ・・・」


屋上を吹き抜ける風が二人のスカートと髪を揺らす。


「それが悔しくてね、弓を極める為って、本音を偽って父さんに頼み込んで、弓一本の修行に打ち込んだの」


・・・桜先輩・・・そんな過去が・・・


普段私が見ないだけで、私が見てない所では普通にいるものだと思っていた。

私の見回りのスケジュールと、合っていないだけだと思っていた。


事実は、そんな適当なものでは無かった。



「それで、弓では楓には勝てるようになったわ。その時点で私の存在意義は弓術だけになってしまったの」


「そんな事・・・」


「少なくとも、私の中ではそうだった」


「・・・」

いつもの優しい口調じゃない。本気の声色。

そういわれたら、何も言えない。



「そして高校生になった私たちは、それぞれ弓道部と剣道部に入ったわ。楓も弓よりは剣の方が得意だったからちょうど良かったのよね」


そこから、桜さんは少し俯いて、声のトーンも少し下がる。


「・・・だけど、楓は剣道部で頂点に立って、部長になった。・・・でも、弓道部に入った私には・・・私より上が居たのよ・・・」


弓道部部長の神木かみき ごう先輩・・・

二人とも、的のど真ん中に当ててたし、どっちもスゴイと思うけどなぁ



「ここでも、私は楓に勝てなかったのよね・・・私は頂点には立てなかった」


それって、楓さんに勝てないとかと、ちょっと違うような気がする。



「御堂双天流はね、剣と弓、双方で天に立つ。つまり、頂点に立つことを目的にした武術。楓は剣で頂点に立った。でも私は、弓で頂点に立てなかった。その時点で、御堂家として、勝てなかったの」


・・・なるほど・・・そういう事になるんだ・・・

私にはそうは思えなかったけれど、桜さん的にはそう捉えているんだろう。

当の本人がそう言っているのなら、私は下手な事は言えない。


よく見れば、桜さんの瞳は、少し涙で濡れているように見える。

夕日がキラキラと反射している。



「私の存在意義は、本当にあるのかしらね・・・」

濃紺に染まる天上の空を見上げ、桜さんはつぶやく。



「・・・ふぅ、誰かに打ち明けると、多少、スッキリするわね。六依さん。ありがとね」

桜さんは、まだ少し潤っている目をこちらに向けながら言う。


「その・・・なんでその話を私に・・・?」


「お悩み相談、やってるでしょ?」


「そ、そうですけど・・・」

今まで聞いてきた話でも悩みでも、これだけ深い過去を語られたのは初めてだった。

本当の意味で、私にはどうしようもない。


「ほんとに、誰かに聞いてもらいたかっただけよ。私だけで抱え込むのが、辛くなってきただけ。この事実を知ってなお、前と変わらぬ関係を持てそうな人を探してたの」


「それで私に・・・?」


「そうね。貴女なら、これを聞いても、軽蔑も、同情もなく、いつも通りに接してくれると思ったから」

さっきまで潤んでいた桜さんの瞳は、またいつもの普通の目に戻っている。

頬には、乾いた涙の跡があったけれど、それ以外は、いつもの桜先輩そのものだ。


「うっ・・・ど、努力します・・・」


「あなたらしくしてれば問題ないわよ。無理に努力する必要はないわ」


「は、はい・・・」

あ、あれ・・・?お悩み相談・・・?


私がアドバイスされてる?





「お悩み、聞いてくれてありがとね。じゃあ私はそろそろ帰るわ」


「は、はいっ」

そういって、桜さんは屋上から去っていった。


これで・・・本当にいいのかな?


私は・・・ただ聞いているだけで、良かったのかな・・・?





「・・・あっ」


ふと下を見ると、一枚の写真が落ちている。

風を受けて今にも飛んで行ってしまいそうだったので、思わず飛びついてキャッチする。


「・・・・・・」


子供の頃の、御堂姉妹の写真・・・?

一人が小さな竹刀を、もう一人が小さな弓を持っていて、

肩を組みながら笑っている。





・・・このまま・・・終わりにしていいの・・・?

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