第6話:文化祭の魔法少女
翌日。
つまり文化祭当日。
学校内外の人々が集まってわいわい楽しむ日。
私達生徒会は、管理運営に追われている。
文化祭運営委員会と協力して、円滑な運営を行うのが目的。
・・・とはいえ、慣れている二年、三年生がテキパキと進めてしまって、
一年生は、ちょっとした雑用がほとんどだ。
いっぱいになったゴミ袋を回収して、新しい空のゴミ袋に変えるとかね。
「さ、みんなお疲れさま」
「え?まだ11時ですよ?」
お疲れさまというには早いと思う。
「実際の所残ってる作業は、定期的な見回りと、全行程終了後の清算しかないからね。皆だって文化祭楽しみたいでしょ?」
「そうですね」
「だから、一旦A班は休憩。でいいよね?」
生徒会活動は、A班とB班に分かれて作業をしていて、私はA班だった。
「はいっ。わかりました」
「じゃあ2時に戻ってきてね」
突如解放されてしまった私は、とりあえず自分のクラスへ行ってみた。
「あれ?お姉ちゃん生徒会は?」
屋台に行くと、鈴が売り子をしていた。
あの、魔法少女の恰好で。
「休憩だって」
「へー、で、どう?この衣装。似合ってる?」
鈴はスカートの端をヒラヒラさせ、決めポーズをとる。
魔法のステッキのような看板の先がピカピカカラフルに瞬いている。
鈴の底抜けに明るいキャラクターとピンクのカワイイ衣装の親和性はバッチリでとても似合っている。
「うん。すごい似合ってるよ」
へへへっっと照れるようにはにかむ鈴。
なんかこっちまで嬉しくなる・・・と、思った束の間、
「実はね・・・」
奥に引っ込んだ鈴が持ってきたのは、水色の魔法少女の衣装。
鈴が着ているものとは少しデザインが違うようだ。
「・・・え?」
「はい。これ」
「・・・その・・・え?」
「お姉ちゃんの分だよ」
「待って、・・・私の分?」
聞いてないよ!?
「その・・・着なきゃダメなの・・・?」
流石にこんなにフリフリなのは・・・鈴みたいな明るい子ならともかく私はそんな感じじゃないし・・・
「ダメだよ!せっかくの文化祭なんだよ?」
「え、ええー?」
私がたじろいでいると鈴は私の腕をつかんで、そのまま引っ張っていく
私の力じゃ抵抗できない。
「ま、まって、どこに行くの?」
「更衣室」
待って待って待って!本気だ!
「そ、そのっ・・・これサイズ合ってる?スカート短くない?」
「アンスコあるから」
そ、そういうもん?
結局無理やり着せられてしまった。
フリル過剰だし、胸元に穴開いてるし、スカート短いし、
こんなんで外出れる!?無理!
「大丈夫、背中は出てないよ」
「そ、そうじゃなくて・・・」
傷が見えないのはいいんだけど、問題はそこじゃなくて・・・
「ほら行くよ。休憩終わっちゃうよ」
「待って!」
「待たない」
そう言って鈴は袋を振り回しながら更衣室を出て行ってしまった。
・・・あぁ!その袋私の制服が入ってるやつ!
・・・どうしよう。
・・・・・・い、行くしか・・・無い・・・?
「鈴っ!!!」
私が出せる全速力でクラスの屋台に戻って来た私は、鈴を見つけるなり声を上げる。
「あ、おかえりー、どう朱音ちゃん。可愛くない?お姉ちゃん」
「へぇー・・・こういうのも結構似合うじゃん?」
「あああ朱音さんっ!?」
屋台にはさっきまで居なかった朱音さんが。
とっさにスカートの前を抑えながらすこし前かがみになる。
「そうすると後ろから見えるよ」
どうすればいいの?
前と後ろを抑えながら下半身は前傾に、上半身は後ろに反るような変な体勢で固まる。
「そうやって変なポーズしてると目立つよ」
この衣装の時点でとっくに目立ってるからぁ!
「はい、ポーズ!」
「ぽ・・・ぽーず・・・」
うあああ恥ずかしいぃ!
鈴と合わせて決めポーズを取らされる。
「うんうん。これで販促もばっちりだね」
「ほんとにこれ着続けてないとダメなの・・・?」
「うん。・・・さて、マジックポテトはいかがですかー!!」
鈴が早速宣伝を始めてしまう。
「い、いかがですかー・・・」
もう何言っても無駄そうなので仕方なく私も宣伝に入る。
「声小さいよー」
「だって・・・」
もともと喉がそんな強くないのもあるし、恥ずかしいし・・・
今も朱音さんが笑いながら写真を撮って来るし。
そんな私達の成果もあったのか、屋台はそこそこ繁盛した。
私自身お悩み相談で生徒に知名度があった為か、写真を撮られまくった。
その度に顔を真っ赤にしながら決めポーズを取らされる。
多分私の失った15年分の恥ずかしさを取り戻したと思う。
「ふぅ、シフト終わりー。お姉ちゃんおつかれさま」
鈴が看板をおろし一息つく。
「この後はどうするの?」
「他の屋台とか行って遊ぶかな。お姉ちゃんも来る?」
私もまだ時間はある。
「うん」
そういいながら、私の制服の入った袋を持って更衣室へ向かう。
「あ、待って、このままこのまま」
「はぇ?」
「そのままの恰好で看板持ちながら遊べば宣伝にもなるから」
「え・・・?」
その後、生徒会に戻るまで、衣装を着せれっぱなしだった。
もちろんその間も写真の嵐だった。




