第4話:白百合の恋愛のカタチ
ガールズラブタグを付ける原因になった話ではありますが、具体的なラブは出てこないです。
新聞部ゴシップ担当、新江先輩の恋愛相談を受けてから、
少し恋愛相談が増えた気がする。
評判を広めたりでもしてるんだろうか。
私恋愛経験ないんだけど。
毎回そう言っているのだけれど、それでもいいと言う人も多い。
私に何を期待しているの?
だからといって適当に受け答えするわけにはいかないので、真剣にお悩みは聞いてはいるけれど、
大体恋愛相談は「振られた時のリスク」で悩んでるケースが多い。
その時は、新江先輩に言った、
「好きな人の代わりになる人が居ないなら、見逃すのと振られるのは何も変わらない」
という文句が役に立つ。
本当にこの回答が正しいのかはわからないけれど、今の所特に問題は出ていない。
でも、そうでないパターンももちろんあるのだ。
秋の夕暮れ。
「あなたが六依さんですか?」
「はい。って事は、貴女が那珂 亜実さんね」
「そうです」
「貴女の悩みは・・・?」
最近はかなり相談までがスピーディだ。どうやら裏で、開始までの手順が出来ているらしい。
そしていつものように、その女子生徒の悩みの打ち明けから、相談は始まる。
「実は私・・・女の子が好きなんです」
?
「えーっと?」
「つまり、恋愛対象として、女子の見てしまうって事・・・かな」
「・・・女の子なのに、女の子が好きって事?」
「・・・うん」
・・・・・・・・・
・・・どうしよう・・・
初めてのケースだ。
「その・・・それで・・・何を相談に・・・?その恋愛観をなんとかしたいの・・・?それとも・・・その・・・好きな子が、いるの・・・?」
探り探り、彼女の悩みを引き出そうとする。
「えっと・・・特にどうこうしようって訳じゃないんですけど・・・もしこれが友達にバレたら、引かれて、それで、友達じゃ無くなっちゃうのかな・・・って」
那珂さんは、憂いを帯びた表情で告げる。
重い!
・・・これ、私にどうこう出来る問題かなぁ!?
「友達・・・かぁ・・・」
「・・・でも、それを告げないでいたら、私は恋出来ないし・・・」
友情か、恋愛か・・・
その二択は・・・辛い・・・と思う。
もしそれが私だったら・・・私はどうすれば・・・
どちらを優先したい?
・・・でも、私だったら・・・
「・・・私は・・・どっちかしか選べないなんて人生は・・・嫌だな・・・」
「じゃあ、どうすれば・・・」
「因みに・・・その友達の事は・・・好きなの?恋愛的に」
「今の友達とは、友達のままでいたいかな・・・友達は皆私みたいに同性が好きって訳じゃないし」
「そう・・・じゃあ、やっぱり言うべきだと思う」
私は告げた。私がどうこうって訳じゃないけど、私の一言で誰かの人生が変わってしまうかもしれないと思うと、私もドキドキする。
「だけど・・・・・・」
「友達は友達として、恋愛対象としては見てないって所も一緒にね」
「・・・」
「私は女の子が好きだけど、今の友達との関係は崩したく無いから、同じ境遇でない限りは、友達のままでいたいって、全部話しちゃった方が良いと思う」
「そ、そうかな・・・?」
「きっと、皆もわかってくれると思うよ、自分たちに直接影響は無いって分かれば、そうそう崩れる事は無い・・・と、思う・・・」
最初は行けそうな感じで言ってたけど、もし鈴に、
「えっお姉ちゃんそうだったの?キモッ」って言われたら私ヤバいなって思い始めて、
途端に自信が失われてゆく。
挙句に、
「あっ、でも、私こんなの経験したわけじゃないから、その、絶対正しいって訳じゃ無いからね!?」
そんなことを口走ってしまった。
お悩み相談で確証は無いから、なんて不安にさせるようなこと言って、何言ってんだろう私。
「まぁ、そうだよね・・・」
と那珂さんは小さな声で呟く。不安にさせちゃったかな・・・と、思ったが、
「じゃあ、もし、打ち明けてダメだったら、私と付き合ってくれる?」
え?
「ま、まって、え?も、もしかして・・・?」
「いや、その、今日会ったときに、あ、可愛いな・・・って・・・ダメ?」
那珂さんはすこし赤らんだ顔でこちらを見てくる。
「えっあっ、その・・・」
え、ええええええ!?
で、でも、もしあの選択が間違ってたら、責任は私にあるし・・・でも・・・
ううう、ここで嫌だっていうのも無責任だし、那珂さんを否定することになるし・・・
ええい!
当たって砕けろだ!
散々他の人に勧めてきたんだから、私もしないとダメだよね!
「・・・わかった・・・もし私のアドバイスが失敗して、友情にヒビが入っちゃったりしたら、私が責任とるよ」
半ばヤケクソではあるけれど、自分で蒔いた種である以上、自分で収穫するしかない。
「へぇ、ほんとぅ?」
那珂さんが少しずつ距離を詰めてくる。
それにたいして私は後ずさるが、
ガンッという音と共に、背中に衝撃を感じる。
振り向くと、そこには手摺がある。
向き直ると、目の前に那珂さんが。
鼻先が触れそうなほど近い。
「ん?」
那珂さんの澄んだ目が私の目を捕らえる。
「ほ・・・本当ですっ」
目を合わせたまま、私は宣言する。
逸らすのは、何か違う気がしたから。
「ふぅん」
那珂さんは私の唇に人差し指をそっと触れると、
「約束だよ?私、明日皆に打ち明けてくるから」
相談、ありがとね
そういって屋上から出ていった。
まだ私の唇には軽く触れられた柔らかな感触が残っている。
私、大変な約束をしちゃったのでは?
翌日、私はまた那珂さんに呼び出された。
「その・・・あの件は・・・」
「うん。皆、今の私を受け入れて、友達続けてくれるってさ」
「良かったですね」
2重の意味で。
「でさ、それはそれとして、やっぱ私と付き合わない?」
えぇ?
「え?っいや、その・・・わ、私は、その、男の子と恋愛したい・・・から・・・その・・・」
「そう?残念。まぁ、ありがとう。私の悩み聞いてくれて」
気が変わったら何時でも付き合うよ?
そう言うと彼女はふふっ、と笑みを浮かべ、そのまま手をヒラヒラと振りながらくるりと反転し、去っていった。
ともかく・・・一件落着・・・かな?




