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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
第二章:高校生のあれこれ
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第9話:水とお湯、不幸と幸運


雨が多い梅雨の季節。


今日も外は雨で、地面にはいくつもの水たまりが出来ている。


「はぁー・・・今日も雨かぁー・・・」

鈴が机にうなだれている。

連日の雨で部活動が行えないので、気落ちしているようだ。


「まぁほら、今日は私も生徒会が無いから、早く帰れるよ」


「うーん・・・そっかぁ・・・朱音ちゃんはどうする?」


「私?私はちょっとトレーニングルームに寄ってから帰るよ」


「りょーかい」





学校が終わり、姉妹二人で帰路に就く。


ぱしゃぱしゃと歩くたびに水を蹴る音が響くが、

それは雨が傘に当たる音にかき消されてしまう。



「お姉ちゃん大丈夫?手疲れて無い?」

鈴は私の傘を持つ手を心配してくる。


「それ昨日も一昨日も聞いたよね?大丈夫だよ」

過保護もいいとこだ。




雨音と私たちの声しか聞こえない町を歩く私たちの横を、車が横切る


その瞬間、私に大量の水が降りかかる

「きゃっ・・・」


思わず甲高い声を上げてしまった。


「あっ!お姉ちゃん大丈夫!?」

鈴が駆け寄ってくる。鈴には被害は無いようだ。


「あ、うん・・・大丈夫・・・だけど・・・」

だけど私の制服はビショビショになってしまった。

シャツが体に張り付いてくるし、スカートやソックスが水分で重くて気持ち悪い。


暑くも寒くもない日だったけど、

冷たい雨水を全身に浴びたせいで体温が下がっていくのを感じる。


「あー・・・びっちゃびちゃになっちゃったね・・・早く帰ってお風呂入っておかないとね」


「そうだね・・・あ、そうだ鈴」


「何?」


「背中、透けてたりしない・・・?」


「ちょっとまってね・・・うーん、大丈夫、見えて無いよ」


「よかった・・・」

下着にしても、傷にしても、見られると困るものばかり。






-------------






「ただいまー」


「おかえりなさい・・・あー、やられちゃったかしら」

帰宅直後、お母さんは私を見るなり、察してくれた。


「うん、ちょうど水たまりに・・・」


「風邪ひかないうちにささっとシャワー浴びてきた方がよさそうね。洗濯はしておくね」


「うん、ありがと」


そのまま脱衣所へと向かい、

水を吸って重くなった制服を脱いで洗濯機に放り込んで風呂場に入る。



「はぁー・・・」

風呂場で一人になった私は、シャワーの音でごまかすように大きなため息を吐く。



運が悪いなぁ・・・あんなピンポイントに喰らうなんて。

冷えた体を温めながら、私は思い返す。


色んな人に出会って、助けてもらって、そんな関係を築いた私を過去に持って、

運がいいとか、そう思っていたけど、


そもそも、事故にあって、数年意識不明になって、記憶を失って、

もうその時点で不幸なのではないだろうか。


出会い自体を否定する気はないけど、あれは所謂不幸中の幸いってやつで、

全体的には不幸体質なんじゃないかな。





風呂場から出ると、洗濯機が動いていて、その上には着替えが用意されていた。

あ、そういえば着替えを用意しておくの忘れてたなぁ・・・と思いながら代わりの服に着替える。




リビングに戻ると、すでにあったかいココアが用意されていた。

万全すぎるサポート。

「別にここまでしてくれなくてもいいのに・・・」


「これ別にお姉ちゃんがずぶ濡れになったから用意してくれたわけじゃないっぽいよ。わたしの分もあったし」


「あ、そうなの・・・じゃ、いただきます・・・」



うん・・・ちょうどいい温度・・・熱くも無いし、ぬるくも無い。

ソファに座って、ココアを飲みながら、鈴に問いかけてみる。


「ねえ鈴」


「ん?」


「私の運って、いい方だと思う?悪い方だと思う?」


「運?」


「そう、なんか気になっちゃって」


「運ねー・・・わたし運っていい人も悪い人も特に居ないと思う」


「そうなの?」

鈴の価値観とか、私はあんまり気にしたこと無かったけど、結構変わった視点を持ってるのかもしれない。


「うん。運が良く見える出来事、悪く見える出来事とかはあるかもしれないけど、それが起きなかった時どうなってるかとか、わかんないしね」


「ど、どういうこと・・・?」

鈴、なんか難しい事考えてない?


「例えばさ、お姉ちゃんは事故に合って今、わたしと同級生なわけでしょ?」


「うん、まぁそうだね」


「もし事故に遭ってなかったら、わたしとお姉ちゃんは同じタイミングで学校には行けなかったし、もし寝てる時間がもう3年長かったら同じ事だし」

そういう意味では、事故そのものは私は悲しかったし、すごい不安になったけど、

今こうなれたことはちょっと幸せかも。


と、私と同級生=いい事になってるあたり、なんか鈴らしい。



「最終的に運がいいかどうか決めるのは、本人次第なんじゃない?」


「そんなもんかなあ」


「そんなもんだよ」


そんな事を話しながらココアを飲む。

飲みやすいこのココアも、ぬるいと取るか、温かいと取るかは人次第だろう。

運勢もそんなもんなのかな。

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