第7話:過去から続く友情
体力テストを乗り越えた私は、
平凡な日々を送る事が出来ていた。
私の事をまとめた新聞は、まだみたいだし、
良くも悪くも、大した変化のない日々だった。
そんな時、生徒会活動の最中、朱音さんの幼馴染である、牧原信二さんと、ばったり遭遇した。
彼は柔道部だけど、私は柔道部は担当ではなく、クラスも違うので、連絡先を交換しあった仲ではあるけど、意外と会う機会は少なかった。
会うときも昼飯時だったりで、二人で会うのはこれが初めてだ。
「あ、牧原さん」
「おっ、六依か、朱音から聞いてたけど、生徒会に入ったってのは本当だったんだな」
「うん。なんとかやれてるよ」
「そういえば、体力テストの時、なんかすごい事になってなかったか?ちょっとクラスで騒ぎになってたぞ」
あ、そうか・・・牧原さんには言ってなかったんだっけ、私の事。
「あ・・・あれ?えーっと・・・実はね・・・」
「・・・マジ?」
「うん」
私の事情を聴いた人はだいたいこんな感じになる。
「朱音のやつ全然そんな事言ってなかったぞ・・・」
「朱音さんと仲いいんだね」
「仲ァ? 全然!いっつもケンカばっかりしてるよ。先週の日曜だってさー?二人で出かけてコンビニのチキンの味で揉めて結局奢るハメになったんだからな?」
「ふふっ」
本人たちは全然気づいて無さそうだけど、休日に二人で出かけてる時点で相当仲がいいと思う。
「何笑ってんの」
「え?なんていうか・・・休日に二人で出かけてるってさ、もうそれ相当仲がいい方なんじゃないかなって」
「ケンカばっかりだぞ?しかも結構ガチな方の」
「ガチな喧嘩って普通仲いい人以外としたら二回目とか無いんじゃないの?」
私はそんな事した事無いけど、相当な喧嘩したら、普通はそこで関係が途切れちゃうんじゃないかと思う。
「あー・・・そっか・・・まぁ、そうだよな・・・普通は大喧嘩したらそこで絶交だもんな・・・」
「もしかしたらカップル以上の関係かもね」
「えー?あいつと?」
「ほら、なんか言うでしょ?恋人未満親友以上のーってやつ。あ、でもこの場合、恋人以上、親友未満・・・?」
「できればただの幼馴染って関係でいいなー」
「そんなに朱音さんが嫌?」
「いやそうじゃねぇけど、俺があいつと付き合ったら身が持たねぇな。俺の。柔道初めてからはまぁマシになったけどさ」
「・・・そんなに?」
「聞くか?中学の時にあいつが木刀持って殴りこんできた話」
牧原さんの壮絶なエピソードを聞きながら廊下を並んで歩く。
続く話題も専ら二人の共通点である朱音さんの事。
「あいつ俺には厳しいっていうか、本性を出してくるっていうかなんていうか・・・」
「朱音さん、私とか鈴とかにはいつも優しいよ?」
「へー、あいつがねぇ・・・俺には想像できねーな」
「牧原さんから見た朱音さんってどんな感じなの?」
「俺から見た朱音?うーん・・・もう長い事一緒に居すぎてて、兄妹に近い感じだなぁ、会えなくても別にいいし、会ったら会ったで特にこれといったイベントも無い感じ、それなりの距離を開けてそこに居続けてる事が当たり前的な?」
「ふーん・・・私と鈴みたいな関係なのかな?」
兄弟って単語で連想したけど、そもそも私の人間関係それほど広くないから、
それっぽい関係の人って鈴しかいない。
「あんたらんとこは、ちょっと姉妹としても仲良すぎる方だと思うぜ」
私自体鈴以外に知ってる姉妹は剣道部と弓道部の御堂姉妹だけだし、それも二人が揃ってる所は見たことが
無いし、一般的な姉妹像というのは、全く知らないのかもしれない。
「そうなんだ・・・じゃあやっぱり私って運がいい方なのかもね」
あれだけの事があって、沢山の人たちに支えられてきて今がある。
思えば、会う人会う人皆私に協力的に接してくれた。
時間的な余裕もなかったし、ああもうまくいってなければ、私は今ここにはいないだろう。
「運?まぁそれもあるかもしれないけど、どっちかっていうと、中学以前の六依さん自身ががんばって築いてきたものだろ?あ、でもそうゆう意味じゃ、昔の六依さんがいい人間関係を作ってくれたってのは、運が良かったって言えるかもな」
「昔の私かぁ・・・そうだね。鈴も、昔の友達も、もしあんまり仲良くなかったら私高校合格出来て無かったかも」
実際そう思う。皆には勇気づけてもらったて意味でも、勉強を見てもらったって意味でも、あらゆる意味で助けてもらってた。
あそこまで手を貸してくれるほどの関係を作ってくれた私に感謝しなきゃね。
ありがとう、私。




