第4話:私の身体と名前
「ありがとうございました。あとは、禁止事項に触れないように記事を作った後、完成次第連絡しますね。そしたら、もう一度完成品を校閲していただいたのち、正式に発行になります」
「はい、よろしくお願いします」
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生徒会の仕事を終え、妹と帰宅した私は、部屋で今日あったことを思い返していた。
生徒会の仕事の事、
これからやるべき事の復習。
各部で出会った様々な先輩たち。
バスケットボール部の奥村部長
剣道部と弓道部の御堂姉妹。
弓道部の神木部長
新聞部の新藤部長と新江副部長。
そして、新聞部で行われた、私へのインタビュー。
私に起こった全てを話し、それを校内新聞に載せて、全校生徒へと拡散させる。
私の全てを知ってもらった上で、青春をしたいというのは、入学以前から思っていたし、
入学初日にクラスメートに話した以上、多少なりとも拡散していくだろうと思っていたし、
この選択が間違いだとは、私は思ってはいない。
この選択がどう転ぶかはわからないけど、私は後悔はしない。
でも今はそれよりも、明後日に待ち受けるイベントに私の意識は傾いていた。
明後日は、体力テストがある。
体育の授業自体は、私の身体が持たないのは先生もわかってるし、休ませてくれるけど、
体力テストはそうはいかない。
私は明後日、死ぬかもしれません。
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翌日
明日の体力テストが不安で、気落ち気味の私に朱音さんが声をかけてくれる。
「ねぇ、由依・・・?大丈夫・・・?」
「え?ああ、うん・・・明日が鬱なだけだから・・・」
「あー、体力テストかぁ。運動NGの由依も強制参加だもんね。まぁでも死にそうになる前に助けてあげるから心配しないでよ」
「うん。ありがと」
友達の存在はとても大切だと思う。
私には一応妹の鈴がいるけど。
「あれ?朱音ちゃん、お姉ちゃんの呼び方変えた?」
その鈴の一言で気がついた。そういえば、
朱音さんは私を呼ぶとき、昨日までは「由依ちゃん」って呼んでた気がする。
でも、さっきは「由依」だけだった。
「あー、それ?私昨日考えてたんだけど、なんていうか、「由依ちゃん」って感じじゃないよねーって思ってさ。かといって「由依さん」は他人行儀過ぎるし・・・もう、呼び捨てでいいかなって・・・もしかして、そうゆうの気にするタイプだった?」
「え?いやっ、全然。呼び方とか私もそんな考えたことなかったし」
「じゃあ、なんて呼ばれるのが一番好き?」
「えー?何がいいんだろ・・・朱音さんが呼びたい奴でいいよ」
「オッケー、じゃあ普通に由依って呼び捨てにするね」
「うん。わかった・・・あ、そういえばちゃん付けはなんか違うって言ってたけど・・・」
「えーっと・・・ほら、ナントカちゃんって可愛い子的な感じの子に使うじゃん?でも由依は可愛いって言うより、綺麗って感じだし、なんか違うかなーって、あ、別に可愛くないとかそういうんじゃないよ?」
「奇麗・・・奇麗・・・?」
そうかな・・・可愛いってタイプではないなってのは私も感じてたけど、
綺麗かあ・・・綺麗・・・かなぁ?
「そうだよ、やっぱりね、全身スリムで繊細で白くてってのはすごい綺麗ポイント高いんだよ」
まぁ確かに腕や足の細さならクラス1だと思う。それこそ細すぎるくらいには。
「歩いたりするのに影響出るレベルだよ?私の細さ・・・」
「まぁそれはそれとしてね、見た目で言うならやっぱり線の細さとかか弱さ的なアレがソレで・・・えーーーーっと・・・・・・あ、ほら、あれ!薄幸の美少女ってやつ!」
あ、それ入学前に鈴とお母さんに言われた気がする。
「それ・・・好印象ってことで・・・いいの?」
「もちろん!モテる要素だよこれは!私とはタイプ違うからキャラかぶったりしないしね」
私はあんまり自信がないけど、私の外見は、あまり悪いイメージではないようだ。
・・・だけど
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学校を終え、帰宅した私は、自室で制服を脱ぎながら、朝の事を思っていた。
薄幸の美少女とか、
細くて繊細とか、
綺麗だとか、
でも、私はまだ、クラスメートや、友達にも言っていない。
家族と私、あとは病院の人くらいしか知らない事がある。
私には、まだ、五年前の事故の傷跡が残っている。
背中に大きく縦に入った傷跡が。
痛みとかは無いけれど、未だ消える気配は無い。
頭や足にも、小さいのはあるけれど、小さいし十分隠せる。
けれど、この背中の傷はどうあっても着替えの時などに見えてしまう。
記憶喪失だとか、虚弱体質だとか、そんなものより何倍も生々しい過去の産物。
これだけは、打ち明けられなかった。
・・・今日までは。
明日は体力テストがある。避けては通れぬ、更衣という行為の壁がある。




