第2話:御堂の剣と弓
「次は剣道部だね」
そう言いながら剣道場へと連れてこられた。
部活動が盛んだから、この学校は様々な設備が揃っている。
武道場とは別に剣道場もあるなんて・・・
だから敷地が広くて、端から端まで歩くと、私は普通に限界を迎えてしまう。
いたるところにベンチがあるのが幸いか。
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「剣道部にはエースがいてね。二年生だけど部長をしてるんだよ」
「へぇ、それはすごいですね」
「あ、ほら、彼女が御堂 楓、剣道部エースだね」
会長の視線の先には竹刀を手入れしている部員が一人居た。
その人は、私たちに気が付くと、手入れを中断してこちらへ向かってくる。
「一条さん。お疲れ様です」
「やあ、調子はどうだい?」
「問題ありません。私は常に万全です」
「さっすが、剣術家の血は伊達じゃないって?」
「まだ修行中の身ですよ。血を誇るなんて出来ませんて」
「剣術家・・・?」
剣道じゃなくて?
うっかり声が漏れてしまった。
「ああ、彼女はね、御堂双天流っていう剣術の家の娘なんだよ。剣道じゃなくて剣術。つまり、竹刀じゃなくて、本物の日本刀を使うね」
「まだまだ修行中ですから、未熟な腕前ですよ」
「竹刀でも校内最強だよねぇ。たまに熱くなると剣道の試合で剣術がでちゃって反則負けしちゃうのが玉に瑕だけど」
「やめてくださいよ、一応気にしてるんですから・・・それ」
「あははは、ごめんごめん、そうだったね」
本当にこの学校には個性的な生徒がいるんだなと改めて感じる。
自己紹介を済ませ、バスケットボール部の時と同じように、剣道場の点検部位の説明。
そして部員の近況報告を行う。
その間に部長の御堂楓さんが試合を行っていたけど、確かに、他の生徒とは少し構えなどが違うというか、
なんという鋭い感じだった。
その御堂そう・・・なんとかっていうのがどういうものかはわからないけれど、他の生徒とは違うということははっきりとわかった。
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「次は弓道部だよ」
弓道部まであるのは予想外だった。弓道の設備なんて、弓道以外には使えないのに
そこにいる生徒は、皆身長よりも長いとても大きな弓を持っている。
その中に私は一人気になる人を見つけた。
それは、さっき剣道部で見た、部長、御堂楓さんとそっくりな生徒。
髪型こそ少し違うものの、顔や佇まいはほぼ一緒だった。
「あれ・・・?さっきあの人見たような・・・」
隣の東原さんも同じ事を思っているようだ。
「ああ、あの人ね。あの人は御堂 桜さん。さっきの楓さんの双子のお姉さんだね。・・・おーい、桜さーん」
あの人、双子だったんだ・・・と思う間もなく、会長はその人本人を呼んでくる。
「あら、生徒会長さん」
雰囲気はそっくりだと思ったけれど、話し方は全然違っていて、ふんわりおっとりって感じだった。
「御堂桜さんも、御堂双天流の直系の継承者だよ」
「あれ、でも、さっき剣術って・・・」
いまいるのは、弓道部だ。
「あ、楓にはもう会ってきたのね。御堂双天流っていうのはね、剣術、弓術、その両方の修める武道なの。 「双」の「天」で双天というのよ。私はその弓担当ってところね」
「ってことは、やっぱり部長なんですか?」
「いえ、私は副部長よ。部長はあっち」
指す先には今まさに矢を放とうとしている男子部員が居た。
彼が矢を放つ。
私はその射線がよく見えなかったけれど、
その矢は的の中心、寸分の狂いもなく、刺さっている。
「・・・・・・」
私は弓道のルールとかはよく知らないけれど、きっとあれは満点なのだろう。
「彼が部長の神木 豪先輩よ、弓の腕なら私なんかより全然上」
一射終えて、その部長がこちらへとやってくる。
「ああ、一条か。報告書だな?ちょっと待ってろ」
そう言いながら、彼は私たちを横切り、道場の隅から一枚の紙を手に戻ってくる。
「いやー今日も暗いね」
「無理に明るくしなくていいといったのはお前だろう?まぁ、その方が楽で助かってるがな」
そうぼやきながら報告書のようなものを会長と交換した。
「はい、確かに受け取ったよ。後少し、一年生の自己紹介に付き合ってね」
「東原浩司です」「星野八重です」「六依由依です」
「「「よろしくお願い致します」」」
三回目になってくると、タイミングが合ってくる。
「彼が部長の神木豪ね。テンションは低いけど、別に気難しい訳じゃないよ」
そして恒例の設備確認タイム。その時も、部長と副部長は矢を放っていた。
結果はどちらもど真ん中。
さっき副部長の御堂桜さんは、自分なんてまだまだとか言っていたような気がするけど、
そんな事は無さそうに感じた。
さっきの剣道部の御堂楓さんも、自分はまだ未熟とか言って謙遜していた。
御堂姉妹は両方とも自己評価は低いタイプのようだ。
・・・私もそうだ。何かあるとすぐ自分には出来ないのではないかと不安になってしまう。
そんな性格は、簡単には直せそうにはなかった。




