第13話:生徒会会則第一条
木曜日。
一年生は、入部する部活や委員会を決定する日だ。
私は、生徒会への参加を決めた。
沢山の人の役にたつために。
沢山の人達と交流するために。
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参加表明は、放課後、各活動場所へ希望票を提出することで意思表示を行う。
必然的に、全新入部員が顔見せを行う場とする為らしい。
私は生徒会室の前にいた。
部屋の前には誰も居ない。
私は体力面で難があるので、ここまで来るのに少し時間がかかってしまった。
もう他の生徒は入会処理を終わらせてしまったか、はたまた、私以外には入会希望生徒が居ないのか。
「失礼します・・・・」
恐る恐る生徒会室のドアを開ける。
「やあ、待ってたよ」
「うわっ」
目の前にいたのは、生徒会長、一条和也先輩。
心にもない叫び声をあげてしまった私は、すかさず訂正して謝る
「あっ、いや、違うんです、ただビックリしただけなんですすいません」
「いや、気にしてないよ、他の二人もそんな感じだったから」
「二人?」
「うん、君以外にも二人、生徒会入会希望者が来てくれたんだよ。せっかくだから自己紹介しようか」
生徒会室には役員が集まっていたけれど、前に来た時には見なかった人が二人。一年生の校章を着けた生徒がいた。
「えーっと、東原 浩司です。よろしくお願いします」
少し気弱そうな感じの男子生徒が言う。
身長は私と同じくらい。男子としては小柄な方かも。
「星野 八恵です。よろしくね」
こちらは、全体的にふんわりした雰囲気の女子生徒だった。
身長は私よりも小さかった。けど、私はあんまり成長しないから、この三年の間で抜かれてしまうんだろうと思う。
「り、六依 由依です。よろしく、おねがいします」
二人と私の自己紹介、
それが終わると、生徒会長が、
「さて、新参三人の自己紹介が終わったところだし、次は僕たち現役の番かな?」
と、今度は生徒会役員の自己紹介を始めた。
「僕が生徒会長の一条和也だよ。って、皆はもう知ってるよね。入学式でも演説したし、それに校内新聞にも載ってたと思うし、おまけに」
「会長」
「ああ、ごめんごめん。話が長かったね。じゃ、副会長よろしく」
「はい。皆さん初めまして、生徒会副会長。二年、須藤千華です。六依さんは一度お会いしましたね」
「あっ、そうですね」
ほぼすれ違ったレベルの"お会いした"だったけど。
須藤さんは、なんていうか、ドラマとかで見る秘書のようなイメージだ。
かっちりしてて、いつも会長の話が長くなりそうになると、話を先に進めてくれる。
制服も一切無駄のない着こなしで、どちらかというと風紀委員って感じ。
「三年生の、江川 佳奈恵です。役職は書記ですね。」
江川さんはロングヘアで、生徒会の中では唯一眼鏡をかけていた。
他に特徴的な所と言えば、ペンケースにも、シャープペンシルにも、携帯電話にも、同じキャラクターのストラップが付いている。
よっぽど好きなのかな。
「会計の三島 蓮だよ。よろしくね」
言ってはいなかったけれど、付けている校章から考えて、きっと二年生で、整った顔付きと、爽やかな印象をあたえる男子生徒。
・・・簡単に言うと、かっこよかった。
でも流石にまだ自己紹介しただだし、外見だけで惚れるとかそんなことはないはず。
「さて、皆の自己紹介が終わったし、これで、第21期生徒会の結成だね」
会長が言う。
「それで、新生徒会結成というわけで、君たちに伝えておきたいことがあるんだ」
それは、今まで見てきた会長の中では一番真剣なテンションだった。
「生徒会会則第一条。「頭である事を意識し、模範として行動せよ」ってね。要するに、生徒会はいろいろな面で、生徒全体を統括し、牽引する立場にあるって事。一年生といえど、影響は無い訳じゃないから、あまりふざけたことをしたり、問題は起こさないでね」
そう言いながら、会長は私たちに腕章を渡してくる。
「生徒会活動の時は、これを着けて行ってね。腕章には各々の信念が籠るって言うけど、生徒会という立場であるうちは、そこに権限と責任が発生することを忘れないようにね」
いつも通りの口調ではあったけれど、その腕章と言葉には、それ以上の重みを感じる。
権限と責任。
全く考えていなかったわけじゃないけど、生徒会長に直接そう言われると、それは数倍の現実味を帯びて私にのしかかる。
私にそれがきちんとこなせるだろうか。
いいや、やるしかない。
全てを失って困惑の中にいた私は、周りの人たちにここまで引っ張り上げてもらった。
ならばその分、今度はこの三年間をかけて、私が皆を引っ張り上げる番だと。
今までお世話になった分、それ以上の何かを成し遂げたい。
授かるばかりが私じゃないと、私の十五年間と、四年半と、半年間の恩返しを。




