第7話:個性豊かな部活動
私の過去には、いつも演劇が付いて回る。
演劇のコンクールの時の写真や賞状が飾ってあったし、卒業アルバムにも、演劇の写真が載っていた。
友人にも演劇部の友人がいた。
全てを忘れた私は、この高校の演劇を見ることで何かを得られるのだろうか。
--------------------------
「・・・・・・って思ったけど、開演までまだまだ時間あるね」
演劇部が行う演劇は、ホールで行われていて、吹奏楽部などと入れ替わりで発表を行っている。
次に演劇が行われるのは、一時間後だった。
「じゃあ先に他の部活回ろうか」
「そうだね」
「ここからだと美術部が近いね」
私たち三人は、校舎に戻り、美術室へと向かった。
美術室は、美術部員の作品が展示されていて、美術館のようになっていて、
部屋の中心では、美術部員が今まさに作品を描き上げていた。
「ようこそ美術部へ」
部員の男子生徒が私たちに気が付いてやってくる
「えっと、見学と体験入部、どっちかな?」
「あ、今日は見学に・・・」
「分かった、じゃあごゆっくりどうぞ」
そういうと、男子部員は私たちの後ろにいたグループへと向かっていった。
体験とかしなくてよかったの?
朱音さんはそう言うけど、あんまり一つの部で時間を使うわけにはいかないし、
とりあえず、いろんな部を見ておきたかった。
「にしても、どうやったらこんな絵かけるんだろう。夏休みの宿題とかで何度か絵は描いたことあるけど、こんなの絶対かけないもん」
展示されている絵を見ながら鈴がつぶやく。
それは南国の海の絵だった。
近くで見ると、いろんな色が点々と散りばめられていたり、海なのに思いっきり緑色が使われていたり、いったいどんな考え方をしたらこんな所にこんな色を使おうと思ったのだろうと思うような色使いだった。
なのに、離れてみると、それは一枚の写真のように、美しくまとまっている。そんな絵だった。
私は、目覚めてからは絵を一枚も書いたことが無かったので、とても不思議だった。
「慣れれば、なんとなくわかるよ」
私たちが絵の前で盛り上がっていると、
中心で絵を描いていた女子生徒がいつの間にか近くに居た。
「慣れ・・・ですか・・・」
「実際には、色彩とか、光源とか、物理的な裏付けはあるんだけど、私はあんまりそうゆうの論理的に考えるのは苦手で、こうゆうパターンの時はこんな色って、感覚で理解してるな」
「へえー、なんかすごいですね、職人っぽくて」
「職人なんて・・・私はまだまだだよ、賞だって全然取れないし・・・じゃあ、私は絵に戻るから・・・」
朱音さんが褒めると、その女子生徒は、すっと視線をそらして中心の書きかけのカンバスに戻っていった。
・・・ねぇ、やっぱあれって照れてるよね?
朱音さんはそう耳打ちしてきたけど、私はあんまりよくわかんなかった。
---------------------------
「えーっと・・・ここは?」
「新聞部だね」
次に訪れたのは新聞部だった。
新聞部は、この学校のニュースを伝える、校内新聞を発行している。
と、鈴が説明してくれた。
今日も、学校の掲示板には校内新聞が貼られていて、
「新入生歓迎スペシャル!」と題されたそれは、この学校の特徴や、部活動の紹介などがなされていた。
「あのー・・・」
そう言いながらそーっとドアに手をかけ、少し顔を覗かせた瞬間
「やあやあようこそ新聞部へー!いやあ歓迎するよ?スタッフは多い方がいいからねー!」
いきなり猛烈なハイテンションで歓迎された。
「私は新聞部の新江 美弥!二年生!新聞部のゴシップ担当!」
「ゴシップ・・・?」
聞き覚えの無い単語に私は一瞬詰まってしまう
すると、教室の奥にいた男子生徒が立ち上がり、
「ゴシップっていうのは、簡単にいうと、個人的なうわさ話って意味だ。つまり、本当かどうか確証はないけれど気になる話、とか、そんなところだな」
「なるほど・・・ゴシップ担当って事は、他の担当もあるんですか?」
「噂止まりでない、事実とか、ニュースとか、公式発表等は自分が担当している。新聞部部長、新藤 薫だ、よろしくな」
「あ、よろしくお願いします」
「でさぁ?あなたたちここに来たってことは、新聞部に興味があるって事でしょ?それなら大歓迎!」
「えーっと・・・まだ見学の段階と言うか・・・」
「新聞部って体力とか、筋力とか、必要だったりします?」
鈴が私の環境に合わせた質問をしてくれた
「体力?そうだな・・・普通のニュース程度なら特に必要はない。ただ・・・」
部長の新藤先輩はそこまで言って言いよどんでしまう。
そこにすかさず新江先輩が、
「ゴシップ記事は大変だよ?静かに張り込む忍耐力!現場にスバヤク駆けつける機動力!そこが危険地帯でも乗り込む勇気!そして、逆怨みでボッコボコにされても諦めないメンタル!」
「え、ええー・・・」
逆怨みって・・・この人何したんだろう・・・
なんにせよ、この部活は私には難しそうだと感じた。




