第5話:妹と友達とわたし
この学校に入学する生徒の大半は、部活動が目的でこの高校を志望するらしい。
かつての私もそうだった。
だからなのか、入学二日目は、体験入部や、部員との交流も含めた部活動紹介オンリーの一日になるらしい。
私は、何の部活にするのか、いや、それどころか部活に入るのかすら、まだ決まってはいなかった。
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入学式を終え、帰宅した私は、私の部屋で今日配られたプリントの整理をしていた。
これから起きる事、体験するイベントに胸を膨らませながら、プリントをファイルへと収めてゆく。
ピロン
と、ファイルを机に置いたとき、私のスマホが音を立てた。
見ると、朱音さんから、LINE通知が来ていた。
朱音「どう?体力使い果たしてない?」
由依「ありがとう、大丈夫だよ」
まだスムーズな入力は出来ないけれど、返事の返し方は覚えた。
朱音「良かった、それで、明日の話なんだけどさ」
朱音さんからは凄い速さで返事が帰ってくる。
朱音「確か由依ちゃん部活とか何も考えてないって言ってたよね」
朱音「じゃあさ、明日、一緒に部活動紹介回らない?」
まだ、この高校の部活動の事についてはほとんど何も知らない私にとっては、それはとても有り難い申し出だった。けれど、
由依「でも」
由依「朱音さんは、テニス部って決めたんじゃないの?」
由依「だったらテニスにいた方が良くないかな」
朱音「本当はね、でも、鈴ちゃん「私もお姉ちゃんに付いていくよ」とか、言ってなかった?」
言った、ばっちり言ってた。
私は、それじゃあ鈴に悪いよ、とは言ったものの、
私はもうやること決めてるし、ちょっとテニス部に顔だしたらお姉ちゃんのやりたいこと探し手伝うよ。
私とお姉ちゃん、二人ともやりたいこと決まったらそこからは自由って事で。
と、言って聞かなかった。
由依「うん、言ってた」
朱音「やっぱりね、私も二人の友達だしさ、どうせなら、皆で行動したいなってさ」
由依「友達ってそういうものなのかな」
朱音「わかんない。でも私はそういうもんだと思うよ」
朱音「今の状態の由依をそのままじゃあ自由に見回ってきていいよ。って放るのもなんか心配だし」
朱音「それに、私の他の友達は皆別々の部活に散っちゃって、皆で行動とか出来なさそうだしね」
由依「ありがとう、明日よろしくね」
朱音「いいっていいって、それが友達だよ」
明らかに気を使わせちゃっている感じだったけど、私はその親切心に甘えることにした。
由依「そういえば、牧原さんは?」
朱音「あいつは一日中柔道部に居るんじゃない?あいつそうゆうヤツだから」
翌日
今日は、昨日より起伏が少ない穏やかなルートを通って通学したので、昨日のような瀕死状態になることは無かった。
「おはよう!朱音ちゃん」
「おっ、鈴ちゃんに由依ちゃん」
「お、おはよう」
早めに家は出たものの、結局学校にたどり着くのは遅い私達(主に私)なので、教室はもうほとんどの生徒が集まっている。
教室のドアから、自分の席につくまでに、他の生徒から何度も体調を心配された。
きっとまだ数日はこんなことが続くと思うし、私の事をちゃんと受け入れてくれているというのは、悪い気はしなかった。
「そうだ、昨日言い損ねてたんだけど」
ふと思い出したように、突然朱音さんが私に話しかけてきた。
「そのブレスレットかわいいよね」
「あ、これ?」
それは、私の部屋で見つけた、私が中学生のころから大切にしていたらしいブレスレットだった。
「うん、それ何処に売ってたの?」
「ごめんね、それはわかんないや、これ、私が記憶喪失になる前の私が大切にしてたやつだから・・・」
「あー、そうなんだ・・・でも、今も大切にしてるんだね」
「うん、なんか、昔の私と繋がれる気がして」
根拠は無いけど、このブレスレットからは、私は何かを感じ取っていた。
「へー、なんかいいよね、そうゆうの。大切な人と繋がる、不思議な小物的なものってさ、ロマンっていうヤツ?」
「まぁでも、本当に繋がってるのかどうか、実感したことは無いんだけど・・・」
「あはははは、実際、そんなもんだよね」
なんてことのない雑談だけど、どことなく高校生らしくて、不思議な気分だった。
これが、青春ってものなのかな?




