第4話:昼食は友達と
昼休み。
高校生最初の昼食。
「へー、記憶喪失になる前に志望してた高校もここなんだ、しかも演劇部でしょ?」
初日から友達と食べられるのは、少し予想外だったし、うれしかった。
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「この高校の部活がかなり活発なのは知ってるかもしれないけど・・・」
と、新しい私の初めての友達、田島朱音さんは続ける。
私が入学した高校は、様々な部活動の名門で、校風そのものも、部活中心の学校生活送るとか、そんな感じらしい。
私は、演劇部が活発としか聞いて無くて、他の部活動も活発だと聞いたのは、高校に受かってからだった。
「演劇部もその一つで、一昨年は全国大会で準優勝取ったって聞いたよ」
「へぇ、そうなんだ・・・そんなに凄いんだ」
私もそこまでは聞いてなかった。
「ってことはさ、やっぱり由依ちゃんは演劇部?」
「いや・・・私今、体力ないし、声も張れないから、演劇は無理かな・・・」
「あ、そっか・・・ごめん」
やってしまった・・・そんな顔して一段トーンダウンする田島さん。
「あっ、その、別に気にしてるわけじゃないよ・・・演劇に未練は無いよ、その時の記憶も無いし」
「本当?じゃあ良かった、タブーに触れちゃったかと思って、すごい気まずかったからさ」
「なんかごめんね、気を使わせちゃって」
「そんなことないよ、あんなこと聞いたら、失礼な事絶対言えるわけないし。私あんなの経験どころか想像も出来ないよ」
「あっ、そういえば、田島さんは部活動は決めてるの?」
「田島さんって、なんか他人行儀だから、朱音でいいよ。で、私の部活だっけ?私はねー、テニス部だなー。なんたってテニス部に入るためにこの学校に来たからね」
「って事は中学校の時も?」
「そうだよ、中学も三年間テニス部だよ」
「あっ、わたしもだよ」
「え?鈴ちゃんも?」
「そう、わたしも三年間テニス部」
確かに、鈴もテニス部だった。私が目覚めたのは6月だったけど、一時帰宅の許可が出始めたのは12月、退院に至っては2月になってからだったので、鈴の試合を見に行ったことは無かったけれど。
「へー、じゃあいつか試合してみる?」
「いいね、入部したらやってみようよ」
二人は早速ライバル関係になったようだ。
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とその時、
「おっ、朱音じゃん。お前2組だったんだ」
「あ、慎二」
他のクラスから、一人の男子生徒が私たちに、正確には朱音さんに、話しかけてきた。
「へー、もう友達作ったのか、相変わらずお前は人づきあいが早い事で」
「ま、あんたよりもコミュ力はある方だと思うよ?」
慣れ親しんだ仲のように二人は会話を続ける
「ええっと・・・誰?」
それに臆面もなく鈴が聞く
「ああ、俺は牧原 慎二って言うんだ、そっちの二人は・・・そっくりだね・・・双子?」
「妹だよ」
「姉です・・・」
鈴がそう言うので、私も続ける。
「こいつは私が小学生だったころからの付き合いでねー、つまり、幼馴染ってやつ?」
朱音さんが説明してくれた。
「ちなみに小学生の頃から柔道やってるから超強いよ。喧嘩したら殺されるから気を付けてね」
「殺さねえよ・・・武道者はむやみにその力を振るっちゃいけないって散々教えられてるからな」
「でも私にはすぐ暴力振るうよね」
「その言い方だとDVみたいに聞こえだろう・・・あれはお前が木刀で殴りかかってくるから仕方なくだな・・・」
この二人、普段何やってんだろう・・・
「仲いいね。二人は付き合ってんの?」
鈴も鈴でグイグイ聞いていくね。
「「付き合ってる? 冗談は止めてよ」」
「息ピッタリ」
付き合っては無いのかもしれないけど、すごく仲はよさそうだった。
きっとさっきの物騒な話も意外とじゃれ合いレベルなのかもしれない。
「あそうだ、LINE交換しようよ」
「ん、ああ、いいけど」
「ほら、お姉ちゃんも」
鈴が私にLINEのコードを要求してくる
「え?あ、そうだね・・・えーっと、あれ?コードってどう出すんだっけ?あれ?」
「えーっとね、ほら、こっちのタブのー」
まだ慣れてないので、いろいろ戸惑ってしまうのが少し恥ずかしい。
「今時LINE使えないなんて珍しいね、機械苦手系?」
「え?いや、その・・・私いろいろあって・・・」
まだ私の事を知っているのは教員とクラスメイトしかいない。
「ふーん、でも言いたくないなら言わなくていいよ。踏み込んでほしくない話題にずけずけと踏み込むほど嫌な奴じゃないし」
「慎二は十分嫌な奴だね」
「お前にだけはな」
友達二人目、男子の友達(朱音さんの幼馴染だけど)ができた。




