第3話:高校生の常識
私は自己紹介で全てをさらけ出した。年齢の事も、記憶の事も、体質の事も。
それを知ってもらった上で、私は高校生として、過ごしたかったから。
それが正解だったのかは、まだわからない。
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「さて、時間だから、10分間の休み時間にしよう」
先生の宣言の直後、私はクラスメートに取り囲まれてしまった。
「さっきの話って本当なの?」
「記憶喪失ってマジかよ」
「入学式の時大丈夫だった?」
「全然二十歳に見えなーい」
「ちょっ、ちょっと待って・・・一人づつ話して・・・」
聖徳太子でも処理しきれるかわからない質問の嵐に、私はそう言うしか無かった。
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「ほんとに由依さんの手細いよね」
「あ、えっと、筋肉が足りないから・・・」
「入学式の時かなり大変そうだったけど、普段辛くないの?」
「今日は久しぶりに遠くまで歩いたから、ああなっちゃって・・・」
「ほら、私の保険証」
「本当に生年月日20年前じゃん。マジじゃん」
「へー、じゃあお酒とか飲めるんだ?」
「多分ね。私は飲んだこと無いけど・・・」
友達が出来たというよりは、珍しい物を見つけ、興味本意で近づいてきている感じがする。
別に初めから友達になれるとは思ってはいないし、ここから少しずつ仲良くなっていければそれでいい。
いつの間にか、話は私の話から、私が知らない(覚えてない)高校生の間で流行っている物の話になっていた。
私は目覚めてから、この私自身の事と、この高校に入るための行動ばかりしていたから、高校生として、女子高生として、何が流行っているのかとか、そうゆう事は全く知らなかった。
「ねぇねぇ、○○って知ってる?」
「去年○○ってのがすごく流行っててね」
「今年は○○がキテるよ!」
流行りの歌とか、人気の俳優とか、最近のアイドルとか、ユーチューバー?だっけ?とか、矢継ぎ早に様々な情報が舞い込んでくる。
これ、皆ちゃんと流行ってたの?
「ね、ねえ鈴、これ、もしかして私、変な知識教え込まれたりしてない?」
「大丈夫大丈夫、皆ちゃんと流行ってたから、だいたい少し前の話だけど」
「少し前・・・?出来れば今の流行りが知りたい・・・かな?」
今までも鈴から少しずつ若者の常識的なものは聞かされていたけれど、鈴も知識は片寄っている方で、とくにお菓子に関しては、
珍しいお菓子の知識ばかりだった。
なにしろ、私が目覚めてから最初に食べたチョコレートは、なんとかっていう海外のメーカーの、ミカンの形をしたミカン味のチョコレートだったし。
休み時間が終わり、後半のオリエンテーションが始まる。
年間スケジュールとか、単位についてとか、これからの高校生活に必要な情報が配布される。
「さて、とりあえずこれでオリエンテーションで配るものは終わったな。昼休みの後は各教室を見て回るぞ。理科室とか、美術室とかの事な。昼休みまではあと10分くらいあるから、それまでは自由時間だ。ただし、席を移動したり、あまり騒がないように」
休み時間の時にあらかた詳細を話したせいか、席の移動を禁止されたせいか、二回目の自由時間は、話しかけてきたのは、隣の人くらいだった。
ポニーテールの、快活な感じの女子生徒。
「あ、そうだ由依さん、スマホ、持ってるよね」
「え?あ、うん」
私はまだクラスメイトの名前の名前は覚えきれていない。逆に私はインパクトある自己紹介をしたから、皆にバッチリ覚えられているようだった。
「LINE交換しようよ」
「・・・え?」
「あ、ごめん、私は田島 朱音ね!」
「あ、いや、そうじゃなくて・・・ライン?・・・って、なに?」
「あれ?わたし教えなかったっけ?」
鈴はそういうが、私にそんな記憶は無い。
「ううん、聞いてないよ」
「あ。あれ・・・?」
「じゃあ私が教えてあげるよ・・・えーっと、LINEっていうのはね・・・」
田島さんはラインについて説明してくれた。壊れてしまった携帯の代わりに、新しいスマホを買ってもらってはいたものの、私は普段ずっと家にいたから、そういった連絡アプリケーションを使う機会が無かった。だから、こういった機能は、新鮮だった。
「よし、これでオッケー。そっちに通知来てない?」
見れば、
朱音「ヨロシク!」
と、表示されている。
「で、ここに書き込めば・・・ほら」
その下に、
由依「よろしく」
と書き込まれた。
「まー他にもスタンプとか色々あるけど、これで私たちは友達だね」
「うん。よろしくね」
「もちろん!」
高校生活初日。初めての友達。
「あ、ほら、えーっと・・・」
「鈴だよ」
「鈴ちゃんね、鈴ちゃんもLINE交換しよ」
同時に、鈴にも友達が増えた




