第1話:地獄の通学路
やっと高校編になります。
私は 六依 由依。
事故に遭い、五年間意識不明だったうえ、記憶喪失で、原因は不明だけど体の成長が止まって、そのせいで五年間で衰えた筋力が戻りきって無くて、かなり貧弱な身体な、二十歳。
そんなわたしも、いろいろあって、
今日、高校生になります。
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「行ってきます」「いってきまーす!」
妹の鈴と共に家を出る。
鈴は私の五つ下。鈴も今年、高校生になる。
学校も同じ。
同級生、というやつになるのかな。
私たちが通う学校は、歩きならだいたい15分程度のところにあるらしい。
"らしい"というのは、実は私は、まだ徒歩で学校へ行ってみたことが無い。
お母さんやお父さんが車で連れて行ってくれた事は何度かあるものの、
徒歩で学校へ向かうというのは、今回が初めてだった。
「お姉ちゃん、途中で辛かったら言ってね、わたしが何とかするから」
妹の鈴が、記憶的にも身体的にも難がある私をサポートしてくれる。
そんな安心感を胸に、私は、高校への道を歩み始めた。
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「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・っ」
私の体力は既に恐ろしいほどに消耗していた。
まだ10分しか経ってない。歩くペースも控えめだったため、多分まだ半分くらいしか進んでないと思う。
それでも私の足は重りを着けられているかのような鈍重さで、一歩一歩意識して踏み出さないとつっかえて転んでしまいそうなほどだった。
「うわっ!お姉ちゃん大丈夫!?」
ちょっと前を歩いていた鈴が異常事態に気が付き、戻ってくる
「待って・・・ちょっとだけ・・・待って・・・」
息も絶え絶えに鈴を呼び止める。
「このままだと遅刻しちゃうから、ちょっと荒っぽくなっちゃうけどガマンしてね」
と、鈴に肩を抱かれ、半ば引っ張られるように学校へ向かう。
今日は特に授業がある訳ではないから、持ち物はかなり少ない。
しかも気候的に過ごしやすい春。
それでもこの調子なのだと思うと、先が思いやられる。
明日からは、もっとゆっくり登校するために、もっと早く家を出よう。
後で気づいたのだけれど、家から学校までは、緩い丘になっていて、
それが体力が続かなかった原因だったのかもしれない。
幸い、ちょっと遠回りすれば平坦なルートがあったので、明日からはそっちにしよう。
15分後
やっとの事で、私達は高校に到着した。
入学式の開始は9:00
今の時刻は8:53
ギリギリだった。
鈴に体重を預け、体を引きずるように校門をくぐる。
校門の横にいた先生が、まるで事故現場を目撃したかのように
目を丸くしている。
「ちょっ、君っ!大丈夫なのか!」
違うんです!ただ体力が尽きただけなんです!
「あっ、その・・・歩き疲れただけです・・・」
間違ってはいない。
「はぁ・・・ともかく、そろそろ入学式始まるから、急いだ方が良いぞ」
「あはははは・・・・・・・」
その場にいた三人全員苦笑いを浮かべながら、私達二人は、入学式が行われるホールへと急いだ。
ホールにはざわざわと騒がしく、既に沢山の生徒が集まっている。
遅刻を除けば私達が最後だろうと思うので、当然と言えば当然なのだけれども。
「えぇっと・・・1年2組は何処だろう・・・あっ、あった、あそこだ」
鈴は早々に私達の目的地を見つけ出し、そこへ私は引っ張られてゆく。
その姿はまるで、急病人だった。
周囲のざわつきの雰囲気が変わる。
「ねえ、あの子大丈夫なの?」
「怪我とかしたのかな・・・」
「保健室行かせた方が良くない?」
「え?っいや、あの・・・・」
必死に大丈夫のジェスチャーをしながら人混みの中をすり抜けさせられていく私と、
「しばらく休んでれば治るから心配はいらないよ」
大きくなるざわつきにフォローを入れ、私を牽引する鈴。
高校生ライフ初日。
はっきりと聞こえる私の第一印象は、間違いなく重病患者だった。




