第14話:クラスの一員として
この話で序章は終了となります。
そして、この話であらすじまでの話が終了になります。
入学式まであと数日と迫るある日。
やるべきことはあらかた終わり、特にやる事が無い私たちは、家でゆっくり過ごしていた。
ソファに寝転がってゲームをしていた鈴が、ふとテレビを見ていた私に話しかける。
「そういえばさ、自己紹介とかってどうするか考えてる?」
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「え?自己紹介?」
「お姉ちゃんさ、体質的にも経緯的にもスペシャルな感じでしょ?自己紹介するときに、言っちゃうの?」
「あー・・・考えて無かった」
そうか・・・これから会う人たちは、皆私に何が起きていたのか知らない状態で会うことになるんだ・・・
確かに、記憶喪失で、二十歳で、成長が止まってて、身体が弱い、女子高生・・・
なんて、ぱっと説明して簡単に信じてくれるようなものではないよね。
「わたしとしては、言っちゃってもいいと思うんだよねー。最初はもう衝撃の連続で、どう接していいか分からなかったけど、なんだかんだ今はもう慣れちゃったし」
「そりゃあ、毎日触れ合ってる家族だからそうかもしれないけど・・・」
クラスメイトなんて、言ってしまえば赤の他人。家族ほど、簡単には受け入れてはくれないと思う。
「でもさ、秘密を隠し続けながら友達と遊んだりしてるのって、なかなか辛いよ?」
確かにそうかもしれない。隠し通せば通し続けるほど、何かの拍子にそれがバレてしまった時、
私は、友達は、関係は、どうなってしまうのかという恐怖と同居し続けるのは、とても大変だろう。
かつての友達の存在を知ったのは12月頃で、その友達と会って話したのは1月。
一か月にも満たない短い期間だったけれど、記憶喪失だと知られてしまった時、その人たちはどういう反応をするのか、考えただけで胃がキリキリと痛むようなストレスを感じていた。
それが延々続くなんて、想像もしたくない。
「もしそれでいじめとかが起きたらわたしがぶっ飛ばしてあげる」
「ぶっ飛ばすって・・・」
別に鈴は運動神経は良いけど、武道とかをやっている訳ではないから、戦闘力が高い訳ではないのに・・・
「お姉ちゃんの為なら、空手だって剣道だって、テコンドーだってバリツだって極めて見せるよ!わたしはお姉ちゃん大好きだからね!」
そういって鈴は腕まくりして笑って見せる。
こういうとき鈴は心強い。
私が不安に苛まれた時、いつも底のない笑顔で励ましてくれる。
「だとしても、こう・・・もっと平和的な方法で・・・」
だけど、鈴はどうしても私を守るために鈴自体が犠牲になってでも守ろうとしてくる。
正直それは私としてもあまりいい気分はしない。
「うーん・・・じゃあ初めからそんな事させないように圧力をかけておこう」
「まだちょっと荒っぽいような・・・それに圧力なんかかけてたら友達できなくなっちゃうよ・・・」
「あ、そっか」
鈴は私にとって、とても心強い味方だけど、同時に心配の種にもなっている。
「鈴もさ、私の心配してくれるのはとっても助かるんだけどさ、鈴もちゃんと高校生楽しんでよ?私の事ばっかり気にかけて自分はあんまり楽しめせんでしたとか、私が責任感じちゃうし・・・」
沢山の人に、お前は青春を謳歌する権利がある。だから私たちの事は気にせず、高校生ライフを楽しんで来いと言われてきた。
私はそれに、全力で楽しんでくると答えた。
でもその権利は、私以外にもあるはず。もちろん鈴にも。
「そうだね。わたしも高校生、全力で楽しまなきゃね!でも、困ったらちゃんと言ってね?私の事気にして黙ってるとか止めてね?約束だよ?」
「ふふふっ はいはい。ちゃんと困った事があったら相談するよ」
この青春の真の目標は、私も鈴も、全力で楽しむ事。それだけ。
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「で、お姉ちゃん。自己紹介どうするの?」
「うーん、やっぱり、全部話してみようと思う。全てを知ってもらった上で、私は青春したい・・・かな」
「わたしもそれに賛成ー」
「あ、鈴は自己紹介何言うの?」
「わたし?わたしは普通に趣味とか、出身校とか言うかなー。あ、お姉ちゃんが大好きだって事も言っちゃう?」
「え!?それはちょっと・・・私が恥ずかしいよ・・・」
私の高校生活は、もうすぐそこまで迫っている。




