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SECOND YOUTH~二回目の青春~  作者: 六依由依
序章:過去を失った少女
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第12話:運命の刻

卒業試験を終え、高校を後にした私は、

車の中から窓を見ていた。

正確には、窓に映る私自身の顔を見ていた。


その時私は、高校で聞いた教員の言葉を思い出していた。


「本当に妹思いの子なんだなぁって思ったの」


以前の私も、妹思いだったんだね・・・


あの私と、この私は、本質的には何も変わって無いのだと思う。

私は腕のブレスレットに目を落とし、それをひと撫でした。




私は、過去の私と決別したわけではない。

だけど、過去の私に囚われず生きて行こうと思う。




---------------------





「おかえりなさい!どうだった?大丈夫だった?」

玄関を開けるなり、鈴が飛び付いてくる。

そのまま体当たりされたら私はそれを受け止めきれないのを見越して、抱き締める瞬間ペースを落とすのは、鈴なりの気遣いなのだろう。


「うん、大丈夫だよ。きっと受かってる。鈴も私の心配ばっかりしてないで自分の事も考えなよ?」

一緒に学校に行くために、頑張ったんだから。


「大丈夫大丈夫。わたしだってちゃんと勉強してたし。他のひとに教えるのって普通に勉強するよりも効果があるらしいよ?」

「じゃあ安心だね」



鈴はたまに病院に顔を出して私の勉強を見てくれてた。

目指すところは同じだから、私が勉強しているところは、鈴が勉強しているところと同じになる。

そのおかげか、鈴は私に勉強を教えるたびに私以上に学力が伸びていっているのであった。


だから、きっと鈴は大丈夫だと思う。



先生に励ましてもらったおかげか、私もあまり不安は感じていなかった。




-------------------






そして、ついに合否発表の日。


合否がかかっている私と妹の鈴。車を運転してくれたお母さん。

そして、

「ユイっち受かってるかなぁ?」

「大丈夫大丈夫、皆で応援したんだもん」

「そういえば由依がどれだけ勉強してたかって聞いた?」

「え?いや・・・でも大丈夫じゃない?中身は由依ちゃんのままだし」

「そっか、じゃあ平気かな」

「ですね」


「まって、なんで皆いるの・・・?」


「いやさ、あれだけ青春青春言ってたのにさ、受かってるかどうかリアルタイムで知れないのはどうなの?って思ってさ」




成人式で出会った、かつての友達、七人・・・

合計十人の超大所帯になっていた。




「あ!ほら、あったよわたしの番号!」

鈴は早々に自分の番号を見つけたようだ。


「おお!やったな鈴ちゃん!」

「でしょー!お姉ちゃんの勉強見てたら成績ぐんぐん上がっちゃってたからね」



次は私の番だ。

私は特例での受験なので、受験番号は例外的に普通は決して到達しないであろう番号、9999。

つまり、掲示されている番号の絶対最後にあるはず。


ゆっくりと、発表会場の奥へと足を進ませる。




掲示板。その最後の一枚。

既に掲示板の前は一喜一憂している人たちが沢山いたが、

私ははたしてどちら側の人間になるのか、

私はうつむいていた首をゆっくりとあげながら、

「あ!あったよユイっち!9999!流石にわかりやすいね!」

「え?ちょっとまっ」



上げる前に、結果が分かってしまった・・・

確かに、見える番号は、・・・1266、1267、1269、1272、9999

あまりにも突然すぎて、ぱっと見でもわかる。


「でも、これで高校生になれるんだね」

はらりと一筋の涙がこぼれる。目覚めて半年、その努力が実った瞬間に、私の涙腺は耐えられなかった。

だけど・・・ちょっとくらいは、いいよね



「ばっちり楽しんできてね。応援してるから」

「うん、皆も、ありがとう」


あの日、ああいってくれなかったら、私はまだ迷っていたと思う。






「あ、そうだ、どうする由依、胴上げとかする?」

「え?ど、胴上げ・・・って・・・何・・・?」


「あー、胴上げ覚えて無いのかぁ、胴上げってのはー  あ、ほら、そこでやってるよ」

見ると複数の人が一人の人を上空に投げ上げている。

結構な高さまで上がっていて、かなりスリルを感じる。


「高校でもやってる人いるんだね」

「一応ここはいくつかの部活動の名門だからね。たしか演劇部も結構いい感じじゃなかったっけ?必要な学力は高くないけど、倍率はそこそこだよ」

「ねえ・・・あれって・・・怖くない・・・?」

正直な感想。体力と筋力に自信がない私は、あんまりああやって自身の身体が激しく動くような行為は苦手で、いままでもいろいろ避けてきた。


「由依自身は変に動かなければ大丈夫、あとはこっちでなんとかするからさ」

「そ、そう?じゃあ、お願いしようかな」





「うわっユイっち軽ーい」

「これなら高く飛ばせるぞ」

「あ、あんまり高くはしなくていい・・・かな」







「バンザーイ!」「バンザーイ!」「バンザーイ!」「バンザーイ!」


宙に浮く感覚、落下する感覚、跳ね返り打ち出される感覚、

それらを順番に感じながら、私は合格の余韻を噛みしめていた。



私の青春は、ここから始まるのだ。

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