存在、ナガミミ襲来
――ようやく見つけた……誰かが背後で囁いた。
目から、なぜか光が溢れてくる……どうしてかはわからない。でも……これはわかる……あのときと一緒だ。
「うん?村の方が燃えてるぞ」カンジがなにか気づいたみたいだ。
それとともに空気が裂けた。さっきまでの暖かい柔らかく感じた風がまるで木を枯らすような風へと変貌していく。まずい……それがなぜか僕にもわかる。
「うん?光が見えるぞもしかしてこりゃあナガミミの連中お前らのことを気づいたかもしれねぇ」
カンジは、さっきまでとは違い声が鋭い。本当にまずいのかもしれない。
ミラは、僕の手を離したようだ。ミラの手がもう一度どこかへ離れていく、そんな感じがしてならない。
「カンジ……どうするの?私はアノンを守る。アイツラをやっつけてくる。そうじゃないと私達の居場所が無くなるから」ミラはそっと何か決心を決めたようだった。
「ミラ、オメェはアノンと2人で逃げても良いんだぞ。それなら、オメェの力なら何処へだってやっていける」カンジは悲痛に連れて行きたくないみたいだ。
僕は、どうしたいだろう……そっと胸に問いかける。逃げ続けたところでまたカンジみたいな人に会えるのかなぁ?僕は……どうしたいだろう。胸の音をそっと聴き直してみる。そんなこと決まっているかもしれない。僕はミラと一緒だ。
手をそっと握り直す。僕にはあのときみたいな力もあるはずだ。
「僕も、ミラと闘いたい」そう二人に伝えた。
「アノン……お前もか。いや、お前はいいんだぞむしろこの家に隠れていても」カンジはそんなことを言っていても少し嬉しそうだ。
「嫌!アノンはここに残って隠れてるの!!!」ミラがいつになく声を張り上げて僕に訴えかけた。
「なんでだよ!!!僕には君達を守れるかもしれない力があるじゃないか」僕も思わず張り上げてしまった。
「そうじゃ……そうじゃないのよ!!!なら、アノンはあそこにずっと閉じ込められていたの!!!」
「それは……」僕も答えるのに戸惑った。
確かにそうだ……僕にはあんな力があるはずなのにミラと二人この世界すら維持することができない。
「ミラ、そりゃあねぇだろうよ。おめぇよ、オスがよメスを一人きりにして戦地には幾らなんだって行かせられねぇだろ。それにアノンには……」
「カンジは黙ってて!!!」ミラはカンジを遮った。
彼女の気迫は僕にも伝わってくる……カンジにはもう止められない。
「そうか……わかった。おめぇに任せる」カンジはミラの気迫に負けたように弱々しい声でそう言った。
もう一度、一人にはなりたくない……そうだ!ミラの手を握れば、ミラはもう一度僕を一緒に連れてってくれるかもしれない。
一目散に僕はミラの手にすがりついた。
「離してよ」ミラは今にも泣きそうな声で言った。
引き離そうと少し、手を引っ張られる。
「離さない。離したらまた僕は1人になってしまう」
僕も全身全霊の力を込めてミラの手を握った。
「離しなさいよ!!!」錆びた扉が悲鳴を上げるようにミラが僕に怒鳴った。
「離さない!!!僕も一緒に闘う!!!」
僕も負けないように声を張り上げて喉が裂けてもいい目一杯ミラに向けて叫んだ。
ミラの手の力が緩んだ……もう一度僕の手を両手で包んでくれた。受け入れてくれたんだ。
ミラの手の暖かさが僕の細い手に伝わってくる。嬉しい。僕も一緒だ。
「分かったわ……」ミラはうってかわって優しく微笑みかけてくれた。
「良し!一緒に闘おう」僕は高らかにミラに向かって言った。
「ふふ……そうね。ありがとう」ミラは優しく笑ってそっと片手を離した。
うっ……なぜかお腹が痛い。なんで?そういえばミラの手が感じられない。どうしたの?どう……したの?………………
――――




