カンジ独白
「まったく……寝ているだけなら可愛いもんを」ベッドに横たわるミラを眺める。
「まぁ、元気で何よりだ。」
もう一人――ベットに横たわっている耳長のオスを見る。やけに整っていた顔立ちで、金色の髪が光を拒むかのように弾いている。
「全く、こいつがね、アイツラの森の半分を……」
全く、そうは見えない。ミラ曰くそいつの名前は――アノン。まったくこいつにその名前つけたやつに問いただしてやりたい。ナガミミの奴らは、神?なんてやつから名前を貰うらしい……全く、この世界に神なんているわけがない。どうせ、教会の連中が創り出した嘘八百だろう。ああ、そういえばミラは父親に貰ったって言ってたな。まぁこいつもそういうやつかもしれないな。全く、それにしても、こんな事が出来るのかと。
「はぁ」
まったく、ミラが、「もういい!私がツガイを勝手に見つけてくる」とは言ってたが、とんだ厄介ものを連れてきたものだ。
「ハァ……」またため息が出る。まったく、とんでもないことをしてくれたものだ。そうやってミラの額に小突く。
「痛っ」
ミラは、顔をすぐ緩めると
「ふふふ」
ミラがまったく締まりの無い顔をして笑っている。どうやら、楽しい夢をみているらしい。そいつは、結構なことだ。かたや、向こうに寝ているオスは、表情がない、まったくどんな夢をみているんだか。まったく、綺麗な顔が台無しだ。そりゃあ、ミラも惚れるってもんだ。
……
それにしても、ここも殺風景なもんだ。そりゃこの家も狭く感じるもんだ。まったく、一人になりたくて作った家なのによぉこんなにもミラも大きくなったんだな。それに、オスまで連れてきてな……そりゃあオスの一人も攫いたくなるもんだ……。
まぁ俺の方はご無沙汰だが。
「フハハ……」まったく、笑ってしまう。
教会連中と、それにあの国の森をふっとばしちまう奴を連れてくるなんてなぁ俺にはできん。そう、それが若さってもんだよなぁ。俺も年をとったな。
よし、コイツラになんとか、俺にできることをしてやりたいもんだ。
しばらくは顔を見てはないが、あのクソジジイ――族長にも会ってくるとするか……。居場所を作ってやらないとなぁ。そうして、カンジは、部屋を出る。いつも通り、妻に挨拶をする
「なぁ、アイシャや俺等の娘はこんなに大きくなったんだぞ」
「行ってきます」鍵を閉めると。
「まぁゆっくり寝ていてくれや……」虚空に呟いて、族長のいる村へ向かった。




