ミラ起床
「お父さん!!!」飛び起きる。頭が重くて、痛い。なにか、遠く懐かしい……そして悲しい記憶を思い出したみたいに。まるで、周りがぼんやりしている。
「……」
誰かが私に話しかけている。お父さん?……ゴツゴツした手が、私の目の前にあった。
「置いてかないで……」気づくと私は、その手に追いすがっていた。手は一向に私を撫でてくれない……どうして?
「いい加減に気づけ!」パチンッ……。
「痛っ。」
変わりに、頭を叩かれた。すこし、そこで落ち着いていく。焦点を合わせると、目の前には、のっぺりした顔……耳も丸くて、目も黒色でどこを見てるか分からなくて、地味だ。いつも通り、何も匂いがしない。まるで、空気みたいだ。まったく、どうして不思議とそれが"普通"に見える。魔物なのに。
「誰だっけ?」
「カンジだよ!何回このやりとりさせるんだよ」
「フッ……アハハ」
自然と笑みがこみ上げる。周りをみると殺風景な部屋だ。
「おい、お前俺を笑ったろ?まぁ気づいたならいいけど」
……? カンジの家?いつの間に?
「アノンは?」
「アノン?」カンジはキョトンとした顔をして私をみる。
「だから、アノンだよ!!!」
動揺して、カンジを怒鳴ってしまう。胸の音がここまで聞こえてきそうだ。もしかして、アノンはもう……、せっかく助けに行ったのに……。どうせなら一緒に……。
体から血の気が引いていく。体中が逆立つ、周囲が逆さまになったみたい。体が真っ青になったみたいに。
「おい、大丈夫か」
どんどん、カンジの顔が歪んでいく。この曲げても変わらなさそうな顔が歪むことってあるんだ……。そんなこと、今までなかったのに。
「……」ガタッ……
「おい、本当に大丈夫か?」
「アノンはどこなの?」私は声を振り絞るように聞いた。
「そのアノンってのは誰だかわからんが……そうだな。ナガミミのお前と同じやつで、性別はオスだったかなぁ?そいつはそこにいるぞ」
カンジは、そうやってもう1つあるベットを指差す。ベッドに横たわっている、アノンを見つけた。頬は少し痩せているが、金色に輝く毛並みはあの光り輝く、太陽のような輝きをしていた。そう、まさしくアノンだ。目の縁が霞んでくる……ああよかった。
ガタンッ 腰が抜けた。
「痛っ」
「オイ、お前も傷だらけなんだから寝てろ」
だんだん眠くなっていく。目が重たい。なんだか、今ならいい夢が見られるかもしれない。
「はーい、でも、襲っちゃ嫌よ?」
「うるせぇ寝てろ。」
ベットは硬い。……それでも、いい。――




