表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら、頭の上に「好感度ゲージ」が見える体質だった~ヒロインの好感度が下がるたびに俺の体力が減るので、命がけでデートしている~  作者: ハイさん
第5章 好感度を、見なくなった日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/65

第61話 戴冠式の日

アレクシス・フォン・グランツの戴冠式。


 王城グランハルトの大聖堂。かつてヴィクトールが仮面舞踏会を催した場所に、今は黄金の王冠と聖典が祀られ、厳粛な空気が満ちている。


 出席者は王国の全貴族。シルヴァーノ公爵家は上座に席を用意された——ヴィクトールの計らいだ。


 リゼットの隣に座る。正装の彼女は——やはり美しい。胸元に紫水晶のブローチ。髪を高く結い上げた姿は、公爵の威厳と女性としての華やかさが同居していた。


「……見すぎです」


「ごめん。綺麗だから」


「……馬鹿」


 聖堂の奥から、アレクシス王子が入場してきた。


 初めて見る人物。ヴィクトールに似た金髪碧眼だが、兄よりも線が細く、柔和な印象だ。年齢は俺と同じくらいか、やや下。


 好感度チェック——「見る」を選択。


 【+15】


 初対面で+15。高い。


 ヴィクトールの初対面+85(計算された好意)とは質が全く違う。+15は——好奇心と好意が混ざった素直な数字。作り物ではない。


 戴冠式が進む。司祭が祝辞を述べ、聖典が読み上げられ、王冠がアレクシスの頭に載せられた。


 新国王、アレクシス一世。


 戴冠後、アレクシスが各貴族のもとを回って挨拶に来た。


 シルヴァーノ公爵家の席に来た時——アレクシスは少し緊張した様子で立ち止まった。


「リゼット・フォン・シルヴァーノ殿。初めまして。兄から——多くのことを聞いています」


「陛下。戴冠おめでとうございます」


「ありがとうございます。兄が——あなたに対して失礼をはたらいたこと、王家として改めてお詫びいたします」


 好感度、【+15】→【+18】。上がった。謝罪の姿勢に嘘がない。


「兄は——変わりました。あなたとレン殿のおかげだと言っていました」


 アレクシスの目が俺に向いた。柔和だが——芯がある目だ。


「レン・アシュフォード殿。お噂はかねがね。兄を『人間に戻してくれた人』だと」


「大げさですよ。ヴィクトール殿が自分で変わったんです」


「謙虚ですね。兄と正反対だ」


 アレクシスが笑った。好感度、【+18】→【+20】。


 この人は——信頼できそうだ。兄のような計算はない。素直な王。


「シルヴァーノ公爵家との関係は——友好的に。対等に。それが私の方針です」


「ありがとうございます、陛下」


 アレクシスが去った後、リゼットが小声で言った。


「……いい王になりそうですね」


「うん。好感度は——+20。嘘がない素直な数字だ」


「あなたの目から見ても?」


「目から見ても——いい人だと思う」


 リゼットが微笑んだ。


「数字と目が一致する時——それが、一番信頼できる判断なのでしょうね」


「……そうかもしれない」


 かつては数字だけを見ていた。次に数字を疑うことを覚えた。その次に数字を手放すことを選んだ。


 そして今——数字と自分の目を、並行して使える。


 《心鏡の瞳》が完全に制御された今の俺は——前世の自分が夢見た「理想の状態」に、ようやく辿り着いた。


 人の気持ちがわかる。でも、数字に頼り切らない。


 これが——答えだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ