表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に転生したら、頭の上に「好感度ゲージ」が見える体質だった~ヒロインの好感度が下がるたびに俺の体力が減るので、命がけでデートしている~  作者: ハイさん
第4章 仮面舞踏会の真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/65

第52話 四人の食卓

セラフィーナが回復してから、ヴェール邸で夕食を共にした。


 四人での食卓。リゼット、セラフィーナ、フィーネ、そして俺。


 こんな光景が——つい三ヶ月前は想像もできなかった。好感度-50の氷の令嬢と、好感度???の感情凍結の女と、好感度+55の陽だまりの騎士見習い。


 今は——リゼットの好感度は見えない(見ないことを選んだ)。セラフィーナは【+30】。フィーネは——見ていない。見なくてもわかるから。


「セラフィーナさん、これ美味しい! 何ていう料理?」


「母の故郷の料理です。フィーネ様——」


「フィーネでいいよ。様なんかつけないで」


「……フィーネ。ありがとう」


 セラフィーナが照れくさそうに笑った。不器用な笑顔。まだ表情筋が慣れていないのだろう、ぎこちないが——温かい。


「セラフィーナ。あなた、これからどうするの?」


 リゼットが聞いた。


「……まだ考えています。ヴェール伯爵家の務めは果たしますが——もう一つ、やりたいことが」


「何?」


「エルディアス聖典の研究を続けたいのです。周読不能章には——私の呪い以外にも、多くの呪いと解呪の方法が記されているはず。同じように苦しんでいる人がいるなら——助けたい」


「……セラフィーナがそう言うなんて」


「感情を失って初めて——感情の大切さがわかりました。母の記憶を守るために感情を捧げたことは後悔していません。でも——もっと早く助けを求めていれば。レン様やリゼットに」


 セラフィーナの好感度、【+30】→【+33】。


「聖典の解読は俺にしかできない部分もあります。協力しますよ」


「ありがとうございます、レン様」


「レンでいいよ。セラフィーナも、様はなしで」


「……レン。はい」


 食事が終わり、庭に出た。夜の薔薇園。


 白い薔薇の中に、赤い苗が一株。まだ蕾だが、もう少しで咲きそうだ。


「この薔薇が咲いたら——」


 セラフィーナが蕾に触れた。


「母に報告します。赤い薔薇が咲いたよ、って。泣いてもいいよ、って」


「……セラフィーナ」


「大丈夫です。もう——泣けますから」


 セラフィーナが笑った。今度はしっかりした笑顔。


 好感度は見る必要がない。


 この笑顔が——数字より確かだ。


 帰りの馬車の中。リゼットが俺の肩にもたれていた。


「……疲れた?」


「少しだけ。でも——いい疲れです」


「リゼット」


「はい」


「君はすごいよ。セラフィーナを救ったのは——君だ。俺じゃない」


「そんなことはありません。あなたがいなければ——」


「二人でだな」


「……ええ。二人で」


 フィーネが向かいの席で寝息を立てていた。護衛任務でずっと気を張っていたのだろう。


 馬車の窓から月が見えた。


「月が綺麗だ」


「……ええ」


 リゼットの耳が赤い。


 あの夜の言葉を、覚えているのだ。


「レン」


「ん?」


「……好きです」


 小声で。フィーネに聞こえないように。


 好感度は見えない。見なくていい。


 この声だけで——十分すぎるほど、伝わっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ