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異世界に転生したら、頭の上に「好感度ゲージ」が見える体質だった~ヒロインの好感度が下がるたびに俺の体力が減るので、命がけでデートしている~  作者: ハイさん
第3章_数字が壊れる日

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第37話 フィーネの答え

反撃の準備が進む中——フィーネと二人きりになるタイミングがあった。


 夕方の訓練場。他の騎士見習いたちは帰り、西日だけが残っている。


「レン。ちょっと座って」


 フィーネの声が——いつもと違った。明るさの中に、覚悟のようなものが混じっている。


 好感度、【+70】。高い。だが——数字には映らない何かが、彼女の目にある。


 ベンチに並んで座った。


「あのさ」


「うん」


「病室であたしが言いかけたこと——覚えてる?」


「……覚えてる」


「あの時、『後で言う』って言ったでしょ。今が後」


 フィーネは前を向いたまま——湖の方を見ていた。


「あたしね、レンのこと好きだよ」


 ——心臓が跳ねた。


「友達としてじゃなくて。男の人として。好き」


 好感度、【+70】→【+75】。上がった。本心を言ったことで——隠す負荷がなくなって、素の感情が数字に出た。


「いつからかは、わかんない。たぶん——レンがリゼット様のために必死になってるのを見た時。あたしじゃなくてリゼット様を見てるのに——それでも、応援したいって思って。でも応援してるうちに——なんか、好きになってた」


「フィーネ——」


「でもね」


 フィーネが振り向いた。琥珀色の目には——涙はなかった。


 笑っていた。少し切なくて、でも強い笑顔。


「でも——あたしは知ってるよ。レンが好きなのはリゼット様だって」


「…………」


「レンの顔見てればわかるもん。リゼット様と話してる時のレンの顔——あたしに向ける顔とは、全然違うの」


 否定できなかった。


「だから——振ってくれなくていいよ」


「え?」


「振るとか振らないとかじゃなくて。あたしは自分の気持ちを言いたかっただけ。スッキリしたかったの。ずっと隠してるのが——しんどかったから」


 フィーネの好感度、【+75】→【+72】。少し下がったが——安定している。


「それで——あたしはこれからもレンの味方でいるよ。リゼット様の味方で、レンの味方。三角関係とかじゃなくて——あたしはあたしの立場で、二人を守る」


「フィーネ……」


「泣くなよレン」


「泣いてない」


「嘘。目ぇ赤い」


 ——泣いていた。


 フィーネの強さに。彼女の優しさに。


 好感度は【+72】。数字だけ見れば、少し下がった。だが——この【+72】は、以前の【+75】より遥かに重い。


 嘘のない、むき出しの気持ち。


 以前の好感度は「好意+隠す負荷」が混ざった数字だった。今の数字は——純粋な友愛と信頼。


「……ありがとう、フィーネ。俺——ちゃんと言えないけど」


「いいよ。わかってるから」


「リゼット様のことも——フィーネのことも——どっちも大事だよ」


「知ってるって。あたしに向ける好感度くらい、顔見りゃわかるんだから」


 好感度って言った。


「あ、好感度って——」


「比喩だよ比喩。レンの顔はわかりやすいんだもん」


 フィーネが笑った。いつもの三日月の笑顔。


 だけど——今日の笑顔には、涙の跡がなかった。


 泣かずに言い切った。この子は——本当に、強い。


「じゃ、訓練しよっか。最近サボり気味でしょ」


「待って、肩まだ——」


「左肩でしょ。右腕は動くじゃん。はい木剣!」


「鬼!」


「そうだよ。あたしは鬼コーチだからね」


 木剣を振りながら——笑った。二人で笑った。


 好感度は【+72】のまま安定していた。


 でも——数字以上のものが、ここにある。


 フィーネは——俺の、一生の友人だ。


 それだけは——絶対に、変わらない。

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