谷口へ
川辺で彼女と出会ってから、よく会うようになった。
「司さん、よく会いますね。」
彼女の名前は本田司と言う。私たちはいつの間にか話しかけられる仲になっていた。
司と出会った時、司は泣いた私の話を静かに聞いてくれた。何かをアドレスするわけでもなくただただ聞いてくれた。司には誰にも言えなかったことを話せた。変な話運命の人だと思った。
「何かあったか?」
彼女もいつものように質問してきた。
「部活の部員で長期間休んでた子がかえってきたんです。」
「……」
「で、最近はその子とよく話すようになって、やっと友達ができた感じ♪」
「そうか…クラスはどうだ?」
「クラスのことは考えたくない。」
暗い声をだすと司は背中を押した。
「そのうち、お前には手を出せなくなる。いじめはなくなる。」
「そうなるのかな…?私これから塾だから行ってきます。また~」考えたくないことから私は背を向けた。
一人になった司は、一人の男子生徒の元に向かっていた。私の知らない間に。
向かった先は同じ塾に通う谷口のところだった。
谷口はボンボン生まれの悪ガキだ。こいつがいると、塾の雰囲気が学校のような幼稚な空間になる。
谷口は塾へ向かっていた。車で…いつものように。
しかし、車が視界の悪い角を曲がった時に女性が飛び出してきた。
「あ"~~!!」
運転手は避けきれず人を引いてしまっていた。
運転手は焦り逃げ出した。谷口と車を残して…
谷口は焦った…そして逃げ出した。
二人がいなくなった後、引かれた女性は……何事もなかったかのように起き上がっていた。
そこには不気味に笑う本田司がいた。
「引いたら謝らなくちゃ…いけないねぇ……」
司は歩きだし、一瞬で姿を消した。
一方逃げた谷口は走りながら携帯で親に連絡をとっていた。
「人が飛び出して来て……ひ、引いた……ど、どうしたらいいかわかんなくて……はっ……逃げて……ピッ!!」
電話の途中で通話が途絶えた。
代わりに携帯から
「……あっ…………あっ……痛い……痛いよ…どうして……助けて…くれないの……どうして………」
凍えるような声が聞こえてきた。
「ッッ!!!」
谷口は携帯を投げ捨て逃げた。
しかし、振り向いた先に
「どうして!!!!!!!」
血だらけの女性が現れた。
「ギャーーーー!!!!!!!」
女性の登場に驚き谷口は倒れた。
「根性ないな…」
顔中の血をぬぐいながら谷口を嘲笑っていたのはまたもや司だった。
「また一人脱落。」
司は谷口をゴミを見るような目つきで見下し、拭った血を谷口の顔につけ、手や顔に着いた血を谷口の服でふいた。
そしてそのままいなくなった。
高笑いをしながら…
この事件以来、私は谷口の姿を学校でも塾でも見なくなった。




