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谷口は今

「谷口、不登校だってよ」

山崎の取り巻きが話している会話が聞こえた。

「マジかぁ、なんかあったん?」

「しらね。いじめじゃね。」

そう言いながら私の方を見た。


気まずい…


「あいつも早く不登校になればいいのに♪」

山崎が大声で話した。山崎の取り巻きが笑った。


私と一緒にいる友達も気まずそうにしている。

彼女に悪いから教室を出た。


こんな私にも一緒にいてくれる友達がいる。まだましなのかもしれない。


ただ、私はこの人を友達だと思ったことはない。むしろ嫌い。独占欲が強くて私が他の子と話していると機嫌が悪くなる。

一緒いるのはたまたま部活が一緒だから…こいつは私に冗談で私に逆らうとクラスで一人にするからと言ってきた。冗談で言っているが、私にとっては冗談ではない。むしろ本当にそうされたら怖い…恐怖さえ感じる。


彼女の独占欲の強さから友達が少なかった。

だから彼女といるしかなかった……。友達だと表現したくないので彼女のことは「大」と言わせてもらいたい。私は彼女のことを裏では大と呼んでいた。だって体が大きいから…



ジジ……ジジジ…,

ベルが鳴った。今日も終わった。


部活に行くと、部室が近い野球部が集まっていた。

「谷口いないんだけど…サボってんのか?」

先輩らしき人が後輩に聞いている声がした。

「詳しくは分かりません。学校自体来てないみたいっす。」

「あん…あいつ部活なめてんのか……」

「まぁ、アイツいなくても別によくね。」

何人かの生徒が話に加わってきた。

「確かに」

「変わんねぇよな」

先輩が大声で後輩に言うと、皆笑った。


あれを見ると、クソどもだと感じる。笑うところじゃない。何があったか心配しないのか…こういう人間が多いから私は人を信用しない。


谷口は塾でうるさいから嫌いだったが、バカにされているのを聞くと自分のことを思いだし、いい気はしない。


「谷口、うつらしいよ…なんかうなされてるらしい。」

部員が話かけてきた。

「うちアイツの家近いんだけど、お母さんが近所の人から聞いた話だと、夜夢に女の人の幽霊が出てきてうなされてるんだって。んで、お祓いの人に来てもらってるって…」

「そ、そうなんだ…何でそんな夢見るようになったのかな?」

「しんない。なんか幽霊とかウケるよね。」

なんやかんやで皆、人の不幸を楽しんでいるように見えた。


「!!」

何か視線を感じた。振り返ると司がいた、しかしすぐ姿が消えてしまった。

見間違いだったのかもしれない。その時は気に止め

なかった。



今日もまた学校での一日が終わった。

塾では相変わらず一人だったが、谷口がいないおかげで、静かで過ごしやすかった。

やっぱり谷口いない方がいい…


「渡部さん、次の問題は?」

ぼーとしてたら私が質問された。

焦りながらもなんとか答えた。何人かは笑っていたが気にならなかった。


塾での帰り道、司に会った。

「司さん、今日学校に来ましたか?」

ふと部活での出来事を思い出し、質問していた。

「いいや」いつもと変わらぬ様子で司が答えた。「ですよね。」


「茜、谷口の様子を知りたくないか?」

「えっ?」

まるで全て知っているかのような司の急な質問に戸惑った。

「何か知っているんですか?」

「……今日知るさ。また明日。」

司は意味深に言い残し立ち去って行った。




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