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幻想古典詩歌集成──詳解・現代語訳  作者: 武菊 御名行


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第3回 初春の酒

【原文】


米の香の

まどゐに溢る

錫の杯(つき)

あかるかれとぞ

はつ春の宵



【現代語訳】

ふわりと日本酒の豊かな米の香りが、温かな集まりに溢れている。


高価な錫の酒器で飲む酒の味は格別だ。


今年がどうぞあかるい年になりますように、と皆が願う、お正月の楽しい夜であることよ。



【解説】

まどい(円居)は人々が集まって楽しく団らんすること。


杯、つまり盃(さかずき)があるということは、そこに入っているものは当然、お酒ということになる。

初春に飲む酒で米の香りなのだから、そこにあるのは日本酒だ。

日本酒は厄を払う縁起物でもある。


錫製の器は、飲み物の味をまろやかにする。

白銀色で美しい錫の盃は、人々の心やこの先の未来までやわらかくしてくれそうだ。


錫の杯(すずのつき)が、種々の月⋯⋯すなわちこの先一年のことを指している、とまで見るのは深読みのしすぎだろうか。


お正月に、幸せを祈って口ずさみたい一首。

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はつ春の宵のまどゐに降る雪の明かるかれとぞおもひけるかな
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