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第50話 対決

 どうしてそうなったのかもう一つ納得がいかないが、とにかく俺は闘技場に立っていた。多くは無いが観客もいる。片側には俺とオベリスク、逆側にはマーダーとアルベルトが立っている。オベリスクは俺に話しかけてくる。


「残念ながらここから先は余には何も手助けは出来ない。ヘジテが作ったその何とかダイヤルを使えば、単純にパワーとスピードだけなら向こうを上回れるかもしれない。問題は魔法攻撃だ。火球の類は避けられても、雷系は一度発動されたら避け様がない。風系も近接戦だと同じだな。とにかく動き回って的を絞らせないようにすることだ」


 アルベルトの方を見るが、あちら側は特に二人で何を話すでもなく、すでに闘技場の中央に向かってアルベルトは移動を始めていた。俺もオベリスクの頭をポンと一つ手のひらで軽くたたいて、その場をあとにした。闘技場の中央である程度距離を置いて二人は向かい合う。


「特に審判もいないので、自分たちのタイミングで始めるがいい!!」


 魔王が特等席のようなところからそう叫んだ。


 俺はアルティメットダイヤルを、とりあえずは2にして様子見をすることにする、魔石に蓄えられた魔力量がよく分からないので、いきなり全開にはしない方がいいだろう。時間は連続動作にしたが、ここからが問題だ……しかしもうここは腹をくくるしかない。俺は腹にありったけの力を込めて叫んだ。



「アルティメットドライブ!!!」


 観客席はシーンと静まり返っている。ただ一人、ヘジテだけが大喜びしているさまが横目でちらりと見えた。


「なんだそれは? すこしだけ魔力をまとっているようには見えるが……まぁいい、まずは小手調べだ」


 そういとアルベルトはパチンと指をはじいて


「ホムラダマ!」と叫んだ。


 今までにオベリスクが出していた火球とは、比べ物ならないくらいの大きさの火球が俺に向かって飛んできた。しかし俺は瞬時に動いてそれを躱す。しかし交わしたとたんにアルベルトは連続して指を鳴らして火球を次々と放ってきた。


「ホムラダマ! ホムラダマ! ホムラダマ!」


 火球は届くまでにいくらかの時間がある、肉体強化した俺の動きならば十分に躱せる時間だ。そうして避けた後も俺は動き続ける。


「イカヅチ!!」


 アルベルトの指先から電撃が迸るが、それは地面に向かって落ちただけだった。


「なるほどな、なかなか速く動くので対象が絞り切れない。それなりにはやるようだ」


 近づかなければ斧では攻撃できないが、至近距離だとオベリスクがやっていたように、風魔法の応用で切り裂かれてしまうかもしれない。まずは距離をとって様子見をした方がいい。アルベルトは何やら呪文を詠唱している。詠唱時間が長いほど強力な魔法が飛んでくるというのはオベリスクから学習済みだ。


「ミダレイカヅチ!!」


 初めて聞く魔法だ。言葉と共にアルベルトを中心に全方向に電撃が走った。しかし俺は言葉と共に上へと飛び上がっていた。そう電撃魔法は確かに速すぎて一度放たれてしまえば避け様がない。しかし発動直前で攻撃の目標位置以外に移動してしまえばいいのだ。そうして火魔法とは違って雷魔法は継続時間が短い。最初の直撃さえ逃げ切ってしまえばダメージを受けることは無い。


「カゼキリ!!」


 そう言ったアルベルトからは無数の風の刃が、足場がない空中で身動きの取れない俺に向かって飛んできた、なるほど魔力の少ないオベリスクと違って、アルベルトは風魔法による遠距離攻撃も可能なのだろう。しかしそれは風魔法である。物理的に防御が可能だろう。俺は右手に持った斧を刃の来る方向へと突き出し、その大きさを最大化した。巨大な姿となった斧は盾代わりに俺の体を風の刃から守ってくれた。


 そうして俺は地面へと降り立つ。


「面白い。しかし避けているだけでは勝てませんよ」


 アルベルトがそう言った。確かにその通りだ。見る限り攻撃をしすぎて魔力が尽きるようには見えない。俺はアルティメットダイヤルの出力目盛りを4まで上げた。身が更に軽くなる。意識したのと同時に体が動いていく。


 俺はアルベルトに近づくと斧で斬りかかった。その斧をアルベルトは自分の右手で受けた。辺りには金属同士がぶつかり合う音が鳴り響いた。


「その斧はキングオークの斧ですね。大方ヘジテあたりが改造したのでしょう。しかしその程度の武器では私の身体硬化は破れませんよ」


 そういうとアルベルトは硬化した両腕を刃のように変形させて斬りかかってきた。キングオークの斧は幸いにして先端だけでなく持ち手のところも金属製なので、俺は両手で持って盾代わりにアルベルトの攻撃をかわしていく。


 しかし両手での攻撃をよけきったところで、次にアルベルトは両足も硬化させて、腕と同じく刃の形に変形させて攻撃をしてきた。斧の盾では上半身を守るのが精いっぱいで、足の方は数回に一度は攻撃を受けてしまう。


 肉体強化のおかげで致命傷にはならないが、だんだんとダメージが蓄積されていく。たまらず俺は後方に素早く下がって。アルベルトと距離を置いた。


 アルベルトは俺の足のダメージを確認した上で


「ミダレイカヅチ!」と叫んだ。 


 俺は発動前にまた上空へとジャンプしてこれを防ぐが、先ほどぐらいには高さが出ない。アルベルトも同じようにジャンプすると、背中から羽をはやして空中停止した。そうしてもう一度。


「ミダレイカヅチ!」と叫んだ。


 雷撃が俺の体を襲う。身体強化をしているとはいっても、今までに経験をしたことが無い衝撃だ。俺は体制を崩して、そのまま地面へと落下した。動けなくなった俺にアルベルトは近づいてくる。


 俺はアルティメットダイヤルの目盛りを六に入れた。どの道このままでは負けてしまうだろう。こうなればイチかバチかだ。死んだらきっと誰かが蘇生してくれる……ような気がする。


 しかしそれ以上に体が強化されることは無かった。いや、今までの強化魔法分も全て消え失せた。そこで魔石の魔力は尽きてしまったのだ。


 もう斧を持っている事すらできない。そう言えば魔族の町に入ってから、メモリは一でもずっと連続動作を続けてきていた。魔力は大気中から吸収できるとの話だったが、消費量の方が上回っていたのだろう。


※体を刀や金属に変形させるなんて魔族がファンタジーにはよく出てきます。あれができたらキャンプの時に、ナイフや斧を持っていく必要がなくなるので便利ですよね。熱は感じるのでしょうか? もし大丈夫のであればトングにもなりますね。

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