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第36話 魔石

 倒したオークは流石に一瞬で風化するわけではないので、待つわけにもいかず大きな斧だけを回収して、鎧などの装備はそのまま残してダンジョンを後にした。


 テント場までの帰り道では、行きと同じでナーガの存在が魔物を寄せ付けない。すでに藪漕ぎをした後なので、なんとなくの道もできていて行きよりだいぶ早く進んだ。もう案内が無くてもテント場からダンジョンまでは行けるかもしれない。但し結界外の魔物に殺されなければの話ではある。


「……収納魔法みたいに、強化魔法も魔石を使ってかけっ放しにするってできないのかな」


 俺は帰り道にオベリスクに聞いてみた。


「どうだろうな、魔法陣を使えば技術的には可能な気がするが、そんな事すればすぐに魔石の魔力は尽きてしまうだろう。しかも四六時中強化され続けたら、かけられた方もおかしくなるのではないか? ナーガはどう思う?」


「普通はそうでしょうね。しかしごく弱いものであれば、かなりの長時間にわたって効果を持続させることは可能な気がします。それでいて発動時間をコントロールできればおかしくなることも無いでしょう。腕のいい魔道具職人なら可能かもしれません」


「今度街に出た時に探してみようかな……」

 俺が言った。


「人族にそこまで細かい魔力操作ができるかな? そういえば魔王城にはそんなやつがいるじゃないか」

 オベリスクが思いついたように言う。


「ああ、ドワーフのヘジテですね」


「ドワーフって魔族じゃないよね?」


「うむ、ドワーフはデミヒューマンだ。しかし奴は魔王城お抱えでな。何かと修繕や維持管理をしてもらっている」


「そのヘジテって人には会えないのかな?」

 俺はオベリスクに聞いてみた。


「ケンロー、余に魔王城に帰れというのか、そうしたら魔王候補にされて、もう二度とこのあたりには帰ってこれなくなるかもしれんのだぞ」


「いや、オベリスクはそうなっちゃうから、俺とナーガだけで行くってわけにはいかないのかな?」


「いくら人と魔族間の争いは無いとは言っても、魔王城に人族はそう簡単には出入りできないでしょう。私だけで行ってもいいですが、術の対象者であるケンローがいないと細かい調整は出来ないと思いますし……」


「なら、そのヘジテって人をこっちに招待すればいいんじゃないかな?」

 よくは分からないが取り合えず俺は思った事を口にした。


「……逆転の発想か……お主もなかなかやるのう。なるほど、奴は好奇心の塊のような奴だからな。そのLEDランタンとやらでも見せれば、喜んでここに来るだろうな」


 オベリスクの言葉にナーガが答える。


「承知いたしました。明日にでも早速ヘジテを訪ねてみましょう」


 そうこうしているうちにテント場に到着した。とりあえず焚火の火を起こすと、俺は今日の収穫物を地面に並べた。


「この魔石の色にはどんな意味があるんだ?」


 並べてみると魔石の色の違いがはっきりと分かったので俺は聞いてみた。


「うむ、余もそれ程詳しくは知らないが、それぞれに特性がある。例えば赤なら火魔法だな。青は水だったかな?」


「青は氷魔法でしょう。こちらの黄土色のものが土魔法」


「え、収納魔法は空間系だよね? じゃあこの中に空間魔法系は無いかもしれないってこと? ならそれを早く言ってくれればよかったのに」


「言ったらもっと奥まで行ったのか?」

 そう言ってオベリスクは笑った。


「安心せい、確か黒いやつは全属性だ。残り二つが黒だろう。黒を見つけたから引き返したのだ」


 さすがは魔王候補だ。相変わらず気配りが凄かった。


「一つは収納袋に使って、一つはベジテの研究材料にしてもらいましょう」

 ナーガが言った。


「但し全属性はオールマイティだが、一つ一つの力は弱い。しかし……」


 オベリスクの言葉が終わる前に


「収納袋はともかく、弱い身体強化魔法を使うならうってつけってわけだね」

 と俺が言った。


 収納袋の方は、見える部分には魔法陣の記載はなかった。きっと見えない内側の部分に縫い込まれているのだろう。但し魔石の入っている場所は既に分かっていた。ポケットのようになっている。その中から取り出した魔石はピーナッツくらいの大きさだった。


「まぁその収納容量ならそんなもんだろうな」

 オベリスクが言う。


「さあ。早く拾ってきたやつを入れようではないか。なにか実験しているみたいでワクワクするな」


 拾ってきた魔石は、元から入っていたものとは比べられないぐらいに大きかったので、ポケット部分に全部は入りきらなかった。半分くらいはみ出ている。


 収納容量が大きくなったかどうかは分からなかったが、とりあえずオベリスクに氷を出してもらって入れてみた。しばらくして氷が溶けていないようであれば、食料の保管に使えそうだ。


「ところで焚火は何のためにおこしたのだ。飯を作るのではなかったのか?」

 オベリスクが聞いてきた。


「あ、そうだった。今日はダンジョン探索が成功したからそれを祝って……ビーフステーキだ! 略してビフテキ!!」


「鹿も焼いたし魚も焼いた、鳥も焼いて次は牛という事だな。聞いただけでたまらんなそれは。余は風呂の準備でもしておこう。古い水は抜いてまた新しい水をいれたほうがいいからな。風呂に入ってから飲み食いした方がすぐに寝れるから面倒がなくていい。」


 そう言ってオベリスクは楽しそうに風呂の方へと行ってしまった。風呂の支度をする魔王……いや候補ではあるが‥…それはどうなのかなと思わなくもなかった。


※アウトドアで拾った石は家に持ち帰らないほうがいいという事はよく言われます。でも私の場合、山で拾った石を現在も箸置きとして使っています。今のところ呪われてはいないと思います。いや? 気づいていないだけ?

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