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第31話 焼き鳥

※焼き鳥と言えば竹串という感じですが、木製の串は焚き火には耐えられません。ステンレスの串が100均で5本セットとかで売っているので、直火派の方にはそれをお勧めします。但し炭火と違って、焚き火での串焼きは焼き加減が非常に難しいです。

 昼ご飯を食べた後さらに何点か買い出しをして、また町から見えないところまで歩いて、ナーガに乗せてもらって文字通り川べりのテント場まで飛んで帰った。


 オベリスクは先に帰り着いていたのだが、驚くべきことに既にテントは彼女の手によって組みあがっていた。俺は各所を点検してみたが完ぺきだった。むしろ床下の落ち葉のふっくら具合などは前を超えていた。


「オベリスク凄いじゃないか!」


「フッフッフッ、何回も主が組み立てているのとばらしているのを見ていたからな」


「流石はオベリスク様です」

 ナーガも感心している。


「帰りが遅いから風呂も作っておいたぞ」


 そう言ってオベリスクは川の方を指さした。そこには前に作った石積みはそのままで水が溜まっている。但し底の部分にブルーシートは敷かれてなかった。


「どうやって止水したんだよ」


「土魔法で石灰を取り出して塗りたくって、火魔法で炙ってみたんだ。なんか昔魔王城でそんな事してたのを思い出してな」


「なんかよく分からないけど凄いな。俺でも知らない技術だよ」


「オベリスク様素晴らしいです」


「まぁとにかく買い出しで疲れたろう? ひとっ風呂浴びようぜ」


「ちょっと待って、ならその前にこれだ」


 そう言って俺は収納袋からビール樽を取り出した。


「おいおいこれって例のシュワシュワか?」


 流石オベリスクは勘がいい。何も言う前から見事言い当ててしまった。そうして更に俺が頼むより前に


「コオリ!!」と言って樽を氷の山にうずめた。


「これで風呂上りにキンキンのシュワシュワが飲めるな。よし、風呂に入るぞ」


 そう言ってオベリスクとナーガは服を脱ぎ始めた。


「ストップストップ! 着替えも買ってきたんだよ」


 そう言って俺はナーガに頼んでオベリスクの着替えを出してもらった。


「なんか人間の服はよくわからないな。でもありがとう。じゃあ風呂だ」


「えーと、俺は二人の後に入るから先に入っててくれていいよ。先にあっちで晩飯の支度をしておくから……ナーガは風呂に入る前に鶏肉を出しておいてくれないか?」


 八歳の体のオベリスクはともかく、成人女性の姿かたちをしたナーガと混浴するのはやはり気が引けた。それはナーガも察したようで、不思議そうな顔をしているオベリスクの背中を押して風呂の方へと移動した。


 二人がいなくなったところで俺は焚火を起こし、鶏肉を一口大に切って串にさしていく。そうして網の上にそれを並べた。本当は網なしで直火で焼きたいところだが、木の串だと燃えて、肉が下に落ちてしまうとも限らない。ここは安全をとっておくべきだろう。そうして昨日海水から作った塩を振りかけていく。


 テーブルには町で買ってきた木製のグラスを三つ置いた。シェラカップもいいのだが、長期に渡ってキャンプをするならば食器にもこだわっていきたい。そのうちに自分でも木から削り出して皿も作ろう。


 焼き鳥がいい感じで焼きあがった頃合いに、二人は風呂からあがってきた。


「今回は水漏れもないしばっちりだ。上がるときに加熱もしておいたぞ」


 相変わらずこの魔王候補者は気配りが凄い。


「うん、ありがとう。すぐに入らせてもらうけど、まずは一口これを食べて乾杯しようよ」


 そう言って俺は焼きあがった鳥串を二人に渡す、そうしてビア樽の先端を氷から出すと、蛇口のようなものを捻ってビールをグラスに注いだ。この樽が気に入ったのは、単なる木栓ではなく、注ぎ口がついていたからだ。


 前の世界での居酒屋で飲む炭酸ボンベを使う生ビールに比べれば炭酸の量は少ないが、それでも十分に泡立っているし、焼き鳥を焼きつつも氷の中で樽を回転させていたので、ビールはキンキンとまではいかないがそれなりに冷えていた。グラスが生き渡ったところでオベリスクが言った。


「今日は何に乾杯だ?」


「初めての買い出しに」


 俺はそう答えた。木製のカップはガラスと違ってぶつかり合うと鈍い音を立てた。

そうして三人でぐびぐびとビールを飲む。


「しまった!!」


「どうしたケンロー!?」


「どうしました!?」


 俺の叫びに二人が心配そうにこちらを見る。


「順番を間違えた。ビールを飲むのは風呂上りまで我慢すべきだった!!」


「とっとと入ってこい!!」


 オベリスクが笑いながら言った。何かこのところ口調が変わってきたような気がする。いや、それは俺の言語伝達のスキルの影響でそう聞こえるだけかもしれない。


 俺は直ぐに風呂へ向かうと服を脱いでお湯につかった。真っ暗は怖いのでLEDランタンを持参した。お湯は抜けることなくまだ八分目くらいは入っていた。

 空を見上げると少しだけ森の向こうに月が見えた。


「そうかこの世界にも月はあるのか……」


 テント場の方でオベリスクとナーガの楽しそうな笑い声が聞こえる。早く風呂を上がってあそこに合流するとしよう。


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