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第19話 植物型魔物

 俺が朝起きると、テントの中にはオベリスクの姿は無かった。慌ててテントの外に出てみる。付近にその姿は見えない。


 さすがに黙って去っていく事はないだろうとは思ったが、一抹の不安が頭をよぎる。もしかしたら置いてきぼりをくらって、一人で一足先に森の脱出に向かった可能性もあるが、その場合今の俺には追いかけることは無理なのだ。


 とにかく慌てたところでできることは無いので、焚火に火をともしてお湯を沸かしながらオベリスクの帰りを待つことにした。


 しばらくして何事もなかったようにオベリスクが森の中から顔を出した。本当は安心してうれしくて仕方がなかったが、その心の動きを悟られるのは悔しいので、平然を装った。


「おはよう。いやー昨晩は寝心地がよかったな。テントの下に落ち葉が敷かれただけで更に寝心地が改善するのだな。睡眠なんてただ寝られればいいと思っていたが、全然違う。これからは寝心地というものにもこだわらなくてはな」


 ニコニコしながらオベリスクはそういった。


「早起きしてどこにいってたんだい?」


 俺はお湯が沸いたかどうか、ケトルの蓋を開けて確認しながらそう聞いた。


「ふっふっふっ、聞いて驚け、植物型の魔物を発見したぞ」


「あ、それ探しに行ってくれてたんだ。そいつの皮さえあれば結界の外にでられるかもしれないってことだよね」


「ああ、しかも結構な大物だから、そいつひとつで身を隠せるぐらいの皮は二人分軽くとれそうだ」


「で、そいつはどうやって倒すんだい?」


 そう聞きながら俺は紅茶のティーパックを一つケトルの中に入れた。昨日の夜はお茶は節約したが、朝の起きがけに飲むのがただのお湯というのではどうにも締まらない。


「あいつらは火に弱いから火魔法を使えば簡単なのだが、皮まで燃やしたら意味がないからな。形を残したままでどうにかするには、根元から切ってやる感じかな。根が残っていればあいつら太陽からエネルギーを取り出して、空気から肉体を作れるので魔力が無い結界内でも復活できるだろう」


「前に丸太切ったみたいに、風魔法? みたいなやつを使うのかな?」


「まぁな。でもあいつら動けないくせに。敵が来ると毒魔法を使うんだよな。結界内で魔力が補給できないから使えるのは一度だけだろうけど。流石にあの毒は魔族にも有効だし、ケンローなら即死だろう」


「それ結構怖いな。風魔法より毒魔法のほうが射程距離が長いのかな?」


「いや、余の体がこんなんでなければそんな事は無いんだが、この体だとかなり近づかないと威力が出ない。毒魔法のほうはそうだな……このテント場から川までは届かないだろう」


 オベリスクに言われて俺は川のほうを見た。20mぐらいは離れている。


「一度遠くから攻撃を加えて毒魔法を使わせてしまえばいいってことだね」


「石を投げたぐらいでは反応しないだろうし、弓矢でもあればいいんだがな……」


 弓矢ならなんとか作れそうな気もしたが、経験がないのでとても命中する精度で作れるとは思えなかった。となると遠距離を攻撃できる武器ということで、他に作れそうなのは投石器ぐらいだろうか?


 しかし森の中は木が多い、放物線を描くような石では当てることは無理だろう。となると残された選択肢は……クロスボウあたりだろうか。クロスボウであれば一旦ひいた弦を固定して、狙いを定めてから解放するので素人の俺にも狙いをつけやすいと思った。弦にする素材としてパラコードもある。原理は簡単なのであとはばねの利く木材を調達するだけだ。


「それならいい道具というか武器があるんだけど、それには弾力のある木が必要なんだよね。竹なんかがあると早いんだけど、この辺りにはなさそうだな……」


「弾力っていうのはどういうことだ? 柔らかいってことか?」


「曲げても折れないで元に戻ろうとする性質が強いって感じかな。俺もそこまで樹のことには詳しくないけども、広葉樹なら手当たり次第に試してみれば、なにかしらは使えるだろう」


 その日の朝食は残っていた食パンと、また川で採った魚だった。魚を丸々一匹だと食べにくいので、頭をとって開いてから焼いた。それを軽く焼いた食パンの上にのせて、マヨネーズをかけて食べる。


 もちろんまたオベリスクが驚いているのはお約束だ。


「いや、この組み合わせも凄いが、このマヨネーズってやつがまた凄いな。いったいどれだけ変態の引き出しがあるんだ……」


「マヨネーズは鳥の卵さえあれば、酢と油と塩あたりがあればいいから、ここでも作れると思う。酢はこの世界にもあるよね?」


「ああ、それはあるぞ。すっぱくてあまり好きではないがな。しかしこういう具合にまぜるとその酸味がいい感じになるのだな。これまたすごい」

 

 俺はパンにはのせきれなかった、残りの魚の開きが焚火で焼かれるのを眺めながらこう言った。


「海に行けば海水が使えるから干物が作れるよな。流石に塩なしで川魚を干しても腐りそうだ……まぁ燻製ならいけそうではあるが……」


「なんだ干物というのは? それはうまいのか?」


「魚をこんな風に開いて、海水で洗って天日で干すんだよ。そうしたらうま味が増すんだ」


「例のうま味ってやつだな。それはますます海に行くのが楽しみだ」


※テントの下には汚れ防止と、防水の為にグランドシーという物を敷きますが、寝袋の下に何を敷くのかが本当に重要です。保温と寝心地が全然違ってきます。完全に地面から離れるコットと呼ばれる簡易ベッドもありますが、軽装備派の人はマットを持参します。エアマットは意外と重量もあるので、私は畳めるウレタンマットを使っています。アルミメッキがしてある奴の方が保温性は高いです。これまた最近では100均でも売ってます。

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