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第13話 移動

 翌日の朝食はクーラーボックスに入っていた食パンを食べた。もちろんミニフライパンで作ったベーコンエッグも付けた。


 いくら保冷剤が無限に入手できるとしても、卵やパンはそう長くはもたないだろう。インスタントのコーンスープも作った。オベリスクの話では、こちらにもパンというものは存在するが、魔族が食べることは無いという。


 ベーコンエッグにもひどく感動していた。ベーコンは最初から塩味がついているので、調味料がいらないところがいい。


 そうして片付けを済ますと、俺は早速荷造りに取り掛かった。テントは二人用ではあったが、軽量タイプなので畳めば小さくなって、重量も1.5kg程度しかない。


 俺はキャンプ場には車で行くが、基本的には歩いて運べる程度の装備しか持って行かない。そういった装備であれば自由に山に入って野営もできる。但し今回、一応はキャンプ場に宿泊するということで、比較的大きめのクーラーボックスも持ってきていた。


 長い取っ手がついていて、底に車輪がついている。ガラガラと引っ張って持ち歩けるやつだ。ベテランキャンパーには生ぬるいと言われそうだが、ビールをある程度持っていこうとすれば、これは外せない。


 もちろん電車やバスなどでキャンプ場にアクセスするときは、折り畳み式のごく小さなクーラーボックスしか持ってはいかない。今回は車で来たので……そうか、元の世界では車はどうなったのかなと少し心配になった。いつまでもキャン場の駐車場に置きっぱなしだと迷惑だろうなと、結構細かい事が気になった。


 本当はいつ死ぬかもわからないので、それどころではない。


 テントを畳んだところで、またオベリスクから驚きの声が上がる。


「粗末な家だと思ったが、そこまで小さく折りたためるのか! それなら持ち運びもできるというものだ」


 そりゃテントは折りたたんで持ち運ぶ為のものだが、さすがにこちらではここまで小さくできるものはないのだろう。全ての装備を折りたたんでザックに入れる。今回は六十リットルサイズのザックに、マットやテント、それに折りたたみ椅子は外付けにしている。そこにプラスして車輪付きのクーラーボックスである。


 クーラーボックス以外が一つの荷物にまとまったところで、オベリスクはまた感心している。


「あれだけ色々なものがごちゃごちゃあったのに、そんな小さなリュック一つにまとまってしまうのか……すごいなそのキャンプ道具とかいうやつは……」


「小ささや軽さは正義って言われているよ。こういう荷造りもキャンプの一つの楽しみなんだ」


「焚火もそうだが、なんていったかなそういうのは……そう、変態だ。そんなもの収納魔法を使えば荷造りなんてものは必要ないだろう?」


 収納魔法……聞いたことがある。こういう異世界物にはつきものの能力だ。魔法というよりはスキルに近いイメージだが、ここでは魔法なのかもしれない。


「オベリスクはその収納魔法は使えるの?」


「まぁ一応な。しかし試練に挑む者はその中身は空にして置き去りにされるのだ。だから今は何も入っていないぞ」


「いや、そんなものがあるなら薪も魚も持ち運ぶ必要がなかったんじゃないのか?」


「ん? それが楽しいんじゃなかったのか? 変態としては……」


 それはなかなか微妙な話だった。収納魔法の性能いかんによっては魚も肉も大量にストックすることが可能かもしれない。


「まぁ確かに荷物が重いと、少しだけ楽しいと思わなくもないけども……その収納魔法で、今だとどれくらいのものが収納できるんだ?」


「そうだな、そのリュックと何とかボックスなら10個ぐらいは軽いだろう。収納時は食べ物は腐ったりしないぞ。その何とかボックスも冷えたままになる」


「……じゃあこのクーラーボックスだけは収納してくれる?」


「お安い御用だ。しかしそっちのリュックのほうはいいのか?」


「いや、こいつらは自分で運ぶよ」


「こいつらって、人でも動物でもないのに……やっぱり変態だな」


 そう言ってオベリスクは笑った。口では悪態をついているが、なんとなく俺の気持ちを汲み取ってくれているようにも感じた。


 そうしてクーラーボックスだけを収納してもらったところで、俺とオベリスクは川へと向かって移動を始めた。川への移動はもう慣れたもので、道筋を覚えたせいもあるだろうが、鉈ですでに切り開いてもあるので本当にあっという間についてしまった。


 事前に下見していた候補地に荷物を置くと直ぐにテントなどの設営を始める。マットが一人分で心もとないのは分かっているので、グランドシートといってテントの下に敷くシートの下には、大量の落ち葉を敷き詰めた。そうしてテントは物の数分で組みあがる。


「凄いな。荷ほどきもあっという間じゃないか。さっきテントを畳むときにも見えていたが、その金属の棒はなんなのだ?」


 オベリスクはテントの骨組みについて聞いて来た。


「ああ、フレームのポールはアルミだよ。昨日オベリスクが座っていた椅子の骨組みもそうだし、マットの下に塗ってあったのも同じ金属だ」


「うーむ。この世界ではアルミなどというものは聞いたことが無いな。それはどこかの鉱山でとれるものなんだろうか?」


「うん。俺たちの世界でも鉄や銅に比べてアルミはかなり時代が後になってから精製できるようになったんだよ。でも魔法を使ったりすれば、こっちでも作ることは可能かもね。ただ軽くて腐食に強いって特性はあるけど、強度自体は鉄ほどではないから、収納魔法が一般的ならあまり出番はないんじゃないかな?」


「それは魔王になったら研究してみるか……いや、なる気は無いんだがな」


※テントで全て合わせて1.5kgというとかなり軽いです。

ただ登山でテント泊する人は大体それ以下のテントを使っています。

キャンプ用だと、大体ソロは2kgのものが多いんじゃないでしょうか?

車の人なんかは4~5kgのものも平気ですね。

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