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過労死したら異世界転生  作者: とし
ギルドゲーム
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ギルドゲーム


5年に一度、世界中の各ギルドが総力をあげて主催する大会、それがギルドゲームと呼ばれるものだった。優勝者は永遠の栄光を手にすることができる。ギルド加入者の中にはこの大会のためだけに日々精進するものも少なくはない。


「どういった競技が行われるの?」


なんだかすごい大会が行われるというのはわかった。オリンピックのようなものだろうと当たりをつけるが、それだけではないらしい。アーサーが詳細を教えてくれる。


「産業ギルドは一本釣りや品種改良の発表かな。商業ギルドでは魔具作りと料理対決が人気があるね。ガーボッドはカーレースにいつも出ているよ。でも、やっぱり一番のメインは冒険者ギルドの武闘大会だね。」

「へえ〜、面白そうですね!」

「なつきも出てみるといいんじゃない?ギルドに加入さえしていれば申し込めるよ。」

「そうなんですか?」


アーサーの提案に驚いた。勝手にオリンピックのようなものと認識したためにランクなどが関わってくると思ったからだ。


「・・・・実はアルバには話していたんだが、なつき、冒険者ギルドの団体戦に出てみないか?」

「団体戦?」

「二人以上でチームを組んで戦うんだ。いつもソロの方は参加していたんだが今回は両方出てもいいかと思ってな。」


エルランドからの思わぬ誘いだった。しかし、なつきとアルバをなぜわざわざ、という思いがあった。エルランドはそれを見透かしたようで詳しく説明をする。


チームを組む際にはルールがあるらしい。S級は6点、A級は5点... と各ランクに点数が割り振られていてチームメンバーのランクを足して12点以内に収めなければいけないらしい。

現在なつきはD級で2点、アルバはC級で3点、エルランドはS級で6点の計11点分でチームを組むことができる。


「まあ考えておいてくれ。」

「うん。」


ギルドゲーム、参加するにしてもしないにしても楽しそうだ。その日は前回大会の話で大いに盛り上がり、アルバの昇進祝いパーティーという名目の食事会はなくを閉じたのであった。




それから何日か経った頃、魔具屋サナギを訪れるレオの姿があった。


「やあ、なつき。今時間ある?」

「うん。どうしたの?」


ちょうどお昼時、客足が最も遠のく時間帯だ。そういえばこの前も話があると言っていたけどその事だろうか。


「エミリーにも聞いて欲しいんだ。」

「じゃああっちで話そう。」


二人で作業場に入るとエミリーが気を利かせて紅茶を淹れてくれる。全く、なんてよくできた子なんだか。

紅茶をいただきながらレオが話し出すのを待つ。


「実は、ギルドゲームに参加したいんだ。」

「へ?あ・・・そうなんだ。」


あまりにも真剣な表情でいうものだからよっぽどのことだろうと思っていたのだが、なぜそんなに深刻な顔をしているのだろうか。エミリーも同じ気持ちらしく、戸惑っているように見える。出場するのはそれほど覚悟がいるのだろうか。


「いや、そうじゃなくてさ。・・・なつき、エミリー、僕と一緒に参加しないか?」

「「はい?」」


レオ曰く、彼はずっとギルドゲームに出場してみたかったのだが、家庭の事情で店を持つことができず(やっぱり貴族なんだろう)、今回裏方という形で商業ギルドゲームの魔具競技に参加したいとのことだ。


「なるほど・・・あ、それって掛け持ちとかできるの?他のギルドの大会と?」

「日付さえずれていれば問題ないはずだよ?どのギルド?」

「冒険者ギルドの団体戦って・・・?」

「それなら大丈夫だ。」


ならば知らないうちにエルランドの誘いを断ってしまったということにはならないのか。


「まあ別に参加してみてもいいかな。楽しそうだし。エミリーは?」

「私もいいわよ。」


私たちの反応を見てレオは顔を輝かせた。そ、そんなに喜んでくれるのか。


「ありがとう!やっぱりやるからには優勝を狙わないとね・・・・・。僕にできることならなんでもするつもりだ。僕の夢を叶えて欲しい!」

「え?あ、はい・・・」


あまりの気迫に返事を返すばかりで、エミリーもレオはこんな人だっただろうかと唖然としている。まあ実際、参加するくらいなら問題はない。

閉店後には参加申し込みのため一人で商業ギルドへ向かい手続きをすませた。その前にレオを従業員として迎えることを伝える。従業員名簿の欄にレオと書けば良いだけなのですぐに終わった。本人確認もただの従業員なら不要らしい。まあこれで彼も満足するだろう。人のことは言えないが、よほど魔法陣が好きらしい。


レオの誘いで思わず出場することに決めてしまった。なんとなくエルランドに申し訳ないため、彼の誘いも受けよう。しかし、冒険者の方は死人が出ない戦闘のようなものだと聞いたので、正直気後れする。魔法なら使えるが、逆に言えば魔法しか使えないのだ。自分が果たして役に立つのだろうか。


その日の夕食時、エルランドに参加することを伝えようと思ったが、どうやらまだ帰ってきていないらしい。アルバもだ。今日中に帰るという連絡を受けていたのでそのうち帰るだろうと、とりあえずアーサーと二人で食事をとった。

夕食を終え、自室で風呂に入り、寝てしまおうかというときに、この部屋ではない近くの家への扉が開閉する音が聞こえた。おそらくアルバの部屋からだろう。ということはエルランドも帰ってきたはずだ。


「早めに言ったほうがいいよね。」


寝る前にそれだけ伝えようとエルランドの部屋に向かった。寝巻きだがまあ気にしないだろう。


コンコン

「エル?入っていい?」


ノックの後に声をかけてみると中から返事が返ってきたのでそっと扉を開けてなかへ入る。思えば彼の部屋に入るのは初めてだ。


「な・・・おま・・・その格好でここまできたのか・・・?」

「え、やっぱり無作法なのかな?」


パジャマで出歩くのはやはり礼儀がなってないことだったのだろうかと不安になったが、エルランドがそれ以上責めてはこなかったので次回からは気をつけることにした。

本当は風呂上がりの女が歩き回るんじゃないという意味であったのだが。


「そこ座っていいぞ。」

「ありがと。」


ふかふかのソファに腰を下ろし、本題に入る。


「ギルドゲームのことなんだけど、私でよかったら出てみようかな、って。」

「本当か?」


誘ってきたのはエルランドの方なのに彼は意外そうな顔をした。


「いや、お前は戦闘を好まないし、ギルドゲームは対人だからな。断るだろうと思ってたんだ。」

「あ・・・そこは別に・・・相手も怪我覚悟だろうし・・・・、それよりも私でいいのかな、って。」

「ギルドゲームの団体戦は、いかに強くてランクが低い者を誘えるか、ってところだからな。お前やアルバは逸材なんだ。」

「そっか・・・・・。出るからには、優勝目指さないと・・・!エルの評判を私のせいで落としたくはないし・・・・・」


先ほど誰かが言っていたようなセリフを自然と口に出してしまうなつきなのであった。

こうして魔具競技、冒険者ギルドゲーム団体の部の二つに出場することが決まったのであった。

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