龍の花嫁2
・・・・・・あれ?
どこだここ?
なんかの粘液に囲まれてるような・・・
安心する・・・けど、そろそろ起きないといけない気がする・・・
自身を覆っていた何かを振り払い、体を起こすとそこにはーーー
「あ゛あ゛ぁあぁああああぁぁああああ!!!!!!!!!」
たくさんのドラゴンに囲まれていました。
* * * * *
新たな世界で生を受けて数時間。ようやく状況が飲み込めつつあった。
どうやら私は卵から生まれ出たらしい。種族的には紛れもない人間なのだが、卵生って・・・
卵を割って出た瞬間の、ドラゴンたちはまさに、恐怖の権化だった。初見ドラゴンは迫力ありすぎた・・・
どうやら龍の花嫁とは、ドラゴンの魔力を安定して放出させるための媒介のようなもので、魔力の不安定期に備え、花嫁用の体を数百年かけて卵の中に作り、その卵にドラゴンたちがこれまた数百年かけて少しずつ魔力を馴染ませるらしい。
なんてことを教えてくれたのは、どうやら私の世話係らしい、メイと名乗るドラゴンであった。
魔力の強いドラゴンのうちのさらに一握りは、人間に化けることができるらしく、メイもまたその一人(匹)だった。
なつきの事情は、ドラゴンたちには伝わっているようで、異世界の記憶を持つなつきに彼らは興味津々といったところだ。
「なつき様、お身体の具合はいかがですか?」
「今のところ大丈夫そう。ありがとう。」
その返答に満足したらしいメイは食事の準備に取り掛かろうとしていた。
現在、なつきの体は三歳児と変わらない。そこまでの不自由はないが、今までとはだいぶ勝手が違う。
夕食の時間まで、体になれるよう少し歩こうか、と思い立ち、メイからの許可を得て花嫁用に作られたと言う家を出る。
『なつきだ』
『我らが花嫁』
『歩けるか?』
家の外には多くのドラゴンがいた。外見上は人間の子供であるなつきを口々に心配している。
「大丈夫!少しこの体に慣れようと思って、お散歩を。」
なつきがそう言うと、ドラゴンたちはその安全を確かめるかのように彼女について行く。もちろんなつきとて、よく知りもしない土地を無闇に歩き回ろうとはしない。家の周りをぐるぐる歩くだけだ。
しかし、ドラゴンたちが心配そうにするのも無理はなかった。
なつきの体が幼い、と言うことだけではなく、この場所も、問題であった。
ここは龍の峰と呼ばれるところで、多くのドラゴンが生息している。魔力も濃く、聖なる場所でもあるので、魔獣や力のないものは決して近寄ることができない。なので、ここにいる人間はなつきだけなのである。
ややおぼつかないが、元気そうななつきを確認し、ドラゴンたちは安堵する。
「なつき様、お食事の用意が整いましたよー」
「はーい」
メイに呼ばれ家の中へ入り、夕飯を食べる。どうやらこちらの食事が口に合わない、と言うことはなさそうだ。
「美味しいわ。これはなんと言う食べ物なの?」
見たこともない食べ物も多くあり、その度になつきは質問するが、メイは嫌がることもなく丁寧にそれらを説明する。
なつきの好奇心は、世界が変わっても健在であった。
「で、私はこれからどうすればいいの??」
食事を終え、一番大事であろうことを尋ねる。フロワからは自由にしていいと言われたが、いざ生まれてみると何をしたらよいかわからない。
「しばらくはここを拠点にして、この世界のことを学ばれるのがよいかと思われます。なつき様が元いた世界とは大きく異なることもあるようですし・・・。こちらの常識ですとか、あとは魔法についても学んでいただいたいのです。龍の峰を出ると、魔獣もいますし安全な場所の方が少ないのです。ご自身で身を守る術も身につけていただいて、、と言った感じですかね。」
なるほど。だが、勉強なら苦手ではない。
「わかったわ!メイ、よろしくね!」
こうして私の異世界での新たな人生が幕を開けたのであった。




