少女の羽ばたく日
エミリー視点です。ちょっと短め。
「気持ち悪い。」
「臭い!あっちいけ!」
気付いた時には蔑まれていた。
「ママ、どうして私にはお友達がいないの?」
ママがどうしてその時暗い顔をしたのか最近になってようやくわかった。
「虫はここに来るな!」
なぜ私は嫌われているの?
私は何か悪いことをしたの?
どうして誰も仲良くしてくれないの?
どうして蟲だとダメなの?
鏡を見るたびに目にする異端の印。自分の複眼を見ることには慣れている。みんなこれが嫌なの?
みんなと同じ目だったら友達ができたのかな?
「エミリーはお友達が欲しいのね。じゃあ一緒にお友達を作りましょうか。」
大好きなママはそう言って一緒にお人形を作ってくれた。
そんなママは去年天国に行ってしまった。ただ一人の私の味方だったのに。
さみしい。さみしいよ。
寂しくてたくさんたくさん人形を作った。いまでは可愛い洋服も作れる。アクセサリーだって。
でも誰も買ってくれないんだ。
可愛いって言って手にとってくれた人も私を見ると遠くへ行ってしまう。
どうして?
このままじゃママが私にって残してくれたお金も何処かに行っちゃう。
学校もやめた。スラムにはもういたくない。だって誰も私を助けてくれないんだもの。
「わ、これ可愛い!あなたが作ったの?」
お客さんだ!
あ、いけない。顔を見せないようにしないと。そうしたらきっと買ってくれる・・・!
「姉ちゃん、その店はやめとけ。」
あの男の子・・・・スラムで見たことある・・・・・・
どうしてそんなこと言うの?あなたには迷惑かけていないでしょう・・?
「呪われるからだ!そいつは蟲族だぞ!」
「・・むしぞく・・・?」
もしかしてこのお客さんは蟲族のことをよく知らない?遠くからきたのかしら?他の人とは雰囲気が違う気がする。
「・・・・ねえ、これ呪いとかって本当にかかってたりする?」
「そ、そんなことしませんわ!」
!!
しまった・・・・
つい顔を上げてしまった。お客さんはすごく綺麗な女の人だった・・・・でもすごく驚いた顔をしていた。
ああ、きっと遠くにいっちゃう・・・・・
悲しいよ。さみしいよ。どうしてみんなこんなにひどいことするの?
「そうだよね。変なこと聞いてごめんね?」
え・・・?
あれ、いなくならないの・・・?
あ、あれ?撫でられてる!?ママ以外で私に触れる人がいたの・・・?
すごくあったかい。
「呪われてるのは君の心だよ。そしてそんな心が世界を呪っていくの。」
そんなこと言う人、初めて・・・
私は呪われた人生を歩まなくていいってこと・・・・・・?
「あ、あの、あ・・ありがとうございます・・・・」
・・・・・上手く言えなかった。
勇気を出して、顔を上げて見る。
この人、目を合わせてくれる・・・・・!!それに、すごく優しそう。
「名前は?」
「え・・・エミリー。」
あ、あなたのお名前も聞きたい。聞いていいのかな・・・
「私はなつき。ねえ、エミリー、私と一緒に仕事してみない?」
なつきさんって言うんだ。
ん?なんか言った?
「・・・しごと?」
「うん。私と一緒に魔具屋を営業してみない?」
魔具屋?私は魔具のことはよくわからない・・・・
でも、こんな素敵な人と出会えて、こんなお誘いを受けるなんて、子供の私でもわかる。きっとこの先こんな機会はない。
「し、しますわ!」
「よしきた!!じゃあとりあえず・・・お茶でもしよっか!」
私はきっとこの日を忘れない。
きっとこの人と出会えたことが一生物の宝になる。
ママ、私、できるかわからないけど、一生懸命頑張って見るね。




