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過労死したら異世界転生  作者: とし
いざ王都へ
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エルランド=ハルスという男2


基本的にギルドで受けることのできる以来はランクごとに割り振られていて、自分より高ランクの依頼は受けることができない。しかしパーティーを組むとなると話は別だ。例えばパーティー内にA級の冒険者がいて、かつそのA級とギルドまたは依頼者側が了承すれば、パーティー全員がA級の依頼を受けることができる。


今回なつきとアルバがエルランドに誘われた依頼は貴族の護衛であった。領地までの道で、最近、賊の目撃情報があるということで依頼を出したそうだ。領地は王都とそれほど距離はなく、2日あれば王都に戻れるらしい。


「護衛は面倒で苦手なんだが、知り合いなんだ。お前たちのことを話したら、快諾してくれたから任務は受けられるはずだ。」


どうやらエルランド曰く、アルバの気配察知センサーとなつきの防御魔法は護衛にうってつけだとか。


「・・・・貴族様のお名前って・・・?」


恐る恐るアルバが尋ねた。彼は貴族に逆らい奴隷になった過去がある。しかもそれは王都で起きた事だ。確認はしなければいけない。


「ホールデイン公爵だ。」


それはアルバを陥れた貴族ではなかった。


「え?公爵?それってものすごく偉いんですよね。大丈夫ですかね、私たち。」

「問題ない。そういったことは気にしない人だ。まあ、それがいいのか悪いのかは別だがな・・・・・・」


どこか遠い目をするエルランド。もしかして結構な曲者なのだろうか。というかそれほど公爵と距離が近いのか。さすがエルランドさん。



「ほら、あそこにいる男だ。」


エルランドに連れられてきた場所には、華美ではないが慎ましく繊細な装飾が施された二頭立ての馬車とその御者、そしてエルフの男性がいた。どうやらこのエルフがホールデイン公爵のようだ。エルランドよりやや金色に近いウェーブのかかった髪は後ろの低い位置に結わえられており、穏やかな青色を携えた瞳と良くあっている。まるでどこかのおとぎ話に出てくる王子様のようだ。


「エル!」


公爵はこちらに気づくと、嬉しそうにエルランドを呼んだ。


「アーサー、こいつらがなつきとアルバだ。」

「なつきです。本日はよろしくお願いします。」

「アルバと申します。」


エルランドに続いて、簡潔に自己紹介を済ます。それにしても、エルランドと公爵はかなり親しいようだ。もしかするとエルランドは高貴な出自なのだろうか。


「私が依頼者のアーサー=オールポート=ホールデインだ。道中よろしく頼むよ。」


ニコニコと人の良い笑みを浮かべて握手を求める公爵になつきとアルバは応じた。アルバの方は恐る恐るといった様子であったが。


「準備はできている。暗くならないうちに行くぞ。」

「そうだね。君たちは馬車に乗るかい?」


早速出発しようと、公爵は馬車に乗り込みながらエルランドに尋ねた。本来ならば、貴族と同じ馬車に護衛を同乗させようとするのは、あり得ない提案である。


「俺は遠慮する。なつき、お前は乗ってくといい。何かあったら防御魔法をかけてやってくれ。」

「はい、わかりました。えと、失礼します。」


本当にいいのだろうか、と顔を伺いながら公爵と同じ馬車に乗り込んだ。二人向かい合うように座っている。アルバはエルランドとともに徒歩でついてくるようだ。事実なつきは彼らほどの体力はない。体はほとんど普通の人間と変わらないのだから。


少しして馬車が出発する。例に漏れず車輪はついていない、浮遊魔法が付与されたキャリッジであるため揺れることはほとんどない。



「エルが同行したい者がいるというから驚いていたんだけど、君のように可愛らしい子なら大歓迎だよ。」

「あ、ありがとうございます・・・?というか私もなんで誘われたのかよくわからなくて・・・」


なつきにはそれがわからないでいた。賊というのはエルランドの手を煩わせるほど手強いのだろうか。


「ふふふ。まあわからないでもないけどね。」

「公爵様?」

「ああ。アーサーで構わないよ。君はそちらの彼とは違って敬語が苦手なようだしね。」


しまった、やっぱり出てしまのだろうか・・・

そちらの彼とはアルバのことで、彼は昔から敬語が板についている。一方なつきは、もちろん敬語は使えるし、前世でも使っていた。が、しかし、この世界のように貴族の存在というのはここまで身近には無かったため、丁寧語ですます以外の敬語を貴族相手に使うという行為に慣れていなかった。


「す、すみません。では、アーサーさんと呼んでも・・・?」

「構わないよ。ああ。エルが君たちに手伝わせた理由について話していたんだったね。」


そうだ。そんな話をしていたんだった。


「私は公爵だからね。それに、自分でいうことではないがあまり身分を気にしない性格もあるし、パイプを作らせたかったのだろう。」

「パイプ?アーサーさんとですか?」

「君たちがいずれ()()()()()()と踏んだのだろう。有望なんだね。もしそうなった時、十分な後ろ盾があれば余計な虫は付きにくい。権力者というのは武力も欲しがるものだからね。」

「はあ・・・・・」


つまりそれはアーサーがなつきとアルバの力を欲するロクでもない輩が出てきたときに役立つということだろうか。目には目を、権力には権力を、ということかと納得した。


「アーサーさんとエルランドさんは親しいんですか?なんというか、エルランドさんの狙いも察してるのに私たちをわざわざ引き受けてくれるなんて・・・・・」


「ふふふ、親しいというか、親族なんだ。従兄弟に当たるね。」

「従兄弟?そういえば確かに似てる気がする・・・・・・」


背格好や通った鼻筋などは似ているように感じた。しかし雰囲気はだいぶ違う。アーサーは穏やかで貴族だというのに話しやすい雰囲気があるが、エルランドの方は言葉には表せられない迫力というか凄みのようなものがある。


「まあ私は彼とは違ってハーフエルフなんだけどね。」

「ハーフエルフ?」

「あれ、知らないのかい?他の種族の血が混じったエルフのことだよ。エルフ族は筋力・魔力様々なことが秀でているが、そのほとんどはハーフエルフなんだ。でもエルは純潔のエルフ、ハイエルフといってね、ハーフエルフよりもさらに能力的には秀でている種族なんだよ。」

「すごいとは思っていたけど、、エルランドさんってやっぱりすごい人なんだ・・・・」


思いがけなくエルランドの出自を知ったなつき。しかし、いよいよなぜ彼がここまで自分たちによくしてくれるのか謎は深まるばかりであった。

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