表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労死したら異世界転生  作者: とし
いざ王都へ
23/47

ギルド褒賞2


王都にそびえる白亜の城、その城門の前の開けた場所には多くの人々が参列していた。

今年度のギルド褒賞授賞式の開幕である。会場は外という事もあり、見学者の出入りは自由のようで、一体誰が受賞するのだろうかと待ちきれない様子が伺えた。


昨夜、あれほど離れないでくれと頼んだかいあり(?)アルバはすぐそばに立っていてくれる。


始めに受賞者用の席が設けられていると聞いた時は、離れなければいけないのかと心細くなったが、一人であれば連れがいても良いとのことだ。他の受賞者を見てみると高貴な雰囲気を漂わせている者がいたので、おそらく彼等用の制度なのだろう、ありがたい、と心の中でお礼を言う。


パーンと魔法で花火が打ち上げられ、授賞式が開会された。


「・・・・・・」


屋外であり、かつ住民などが楽しそうに眺めている様子から格式張ったものではないということはわかるのだが、他の者達が名を呼ばれ表彰されている様子を、ドギマギしながら見ている他なかった。


「エルランド=ハルス殿、諸事情により欠席。」


司会がそういうと、ギャラリーが騒然とした。


「今年もエルランド様は来られないのね〜」

「今日こそあの美しいお顔を拝見できると思っていたのに・・・!」

「S級の特別な依頼があるんだろう」



ーーーエルランドさん、やっぱりかなりすごい人なんだ。


「人気があるのですね。」


そばで控えていたアルバが小さく呟いた。


実力以外のことでも人気のようだ。顔とか顔とか。だって、お姉様方の意気消沈っぷりがすごいもの。



「・・・・イケメンおばけだものね。」



この発言に対して、アルバが言葉をつまらせたのはいうまでも無い。



「続いて、ナツキ殿。」



司会者がなつきのを呼んだ。


緊張してガチガチになったため、体が動かない、と思ったら背中を軽く押された。アルバだ。

ありがとう、なんとか足が前に出たよ。



ぎこちない様子で壇上に登り、証書を手にした男性の前に立つ。

恐る恐る顔を上げると、前世の世界での30代くらいの風貌の爽やかなイケメンと目があった。赤髪に、それと同じ燃えるような真っ赤な瞳が印象的だ。やんちゃさが消えて大人の色気がバシバシ出ていると言った雰囲気だ。おそらく貴族なのであろう。品の良さが溢れまくっている。


そんな彼と、顔を上げた瞬間、目があってしまった。



「す、すみませんっ」

「緊張しているのかい?すぐに終わるよ。大丈夫。」


訳も分からず謝るという不思議行動をしたなつきを揶揄する事なく、周りに聞こえないよう小さな声で、優しく彼は声をかけた。


流れるような動作で、証書をなつきに渡すと小声で「前を向いて、一礼、だ。」と、緊張で色々すっぽ抜けたド庶民にアドバイスする。


終始ガチガチだったが、事なきを得て、アルバの元に戻る。


「お疲れ様です。」

「お、終わった。なんとかなった。イケメンのおかげだ・・・・」


イケメンは中身もイケメンだったと、荷が下りたなつきはアルバに先ほどのことを話し出した。

その間も授賞式は続き、ようやく最後の証書が渡された。



「これにてギルド褒賞授賞式を閉幕いたします。なお、受賞者の方には、それぞれ祝い金1万フェントが冒険者ギルドより支給されます。」



「い、いちまんふぇ・・・・!?」


それはD級冒険者の平均的な給料の約5ヶ月分といった額であった。

そんな大金をなつきは思いがけずゲットしてしまったのだった。







さて、どうしようか。


本来の予定よりかなり早く王都へ辿り着いてしまった。しかも大金付きで。



「とりあえず、当初の目的を私は果たそうかな。アルバはどうする?」


当初の目的、それは王立研究所へ行くこと。


「・・・・頼りないかもしれませんが、護衛代わりにお連れください。」

「頼りなくなんてないよ!じゃあ王都を探検がてら、研究所に行ってみようか。」


正面切って戦闘、となった場合は魔法が桁外れのなつきの方が強い。しかし、人や魔物の気配を感知するに当たってはなつきは完全なる一般人であった。一方でアルバは、野生の勘のようなものがすごく働く。彼がいたから奇襲に対応できているという場面も少なくなかった。


昨日はせわしなく、かつ緊張していたということもあり、王都がどんなものなのか全く興味を持てなかったが、今は別だ。せっかく目的地に着いたからには楽しまねば。


王都は何本か大通りがあり、様々な種族の者が行き交っている。人間や獣人以外にもドワーフや羽の生えた者もいる。数は少ないがエルフ族や鬼人族もいるようだ。石畳の大通りの両側には多くの店が立ち並び、どこも賑やかで活気に溢れている。


王立研究所の場所を尋ねながら、気になった店に立ち寄ったりする。



「あ、ここかな?研究所。」

「みたいですね。」


広い庭園を携えた屋敷、という感じだろうか。王都は明確ではないが区分けされていて、この辺りは研究所のような大きめの企業や組織向けの土地となっているようだ。


「何かご用ですか?」


門番が立って下り、もしかしたら追い出されるのではと恐る恐る声をかけると、思いの外気さくに応じてくれた。見学をしたい旨を伝えると、どうやら事前申請が必要らしい。門を通り屋敷の手前にある小屋のようなところで、申請するらしい。


申請用紙に必要事項を記入して行く。どうやら本人の自筆以外認められないらしく、文字の読み書きができないアルバは申請できないようだ。確かに研究職に興味のある者で識字がどうこうという問題を抱えていたら本末転倒なのだろう。自分がかつて研究者だった頃、研究所に脳筋が来て器具を破壊されたことを思い出す。アルバはそんなやつではないが、そういうものを振るいに落とす措置なのだろう。


「申請が通りましたら、3日後に見学可能ですので、その頃にまたお伺いください。」

「わかりました。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ