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過労死したら異世界転生  作者: とし
いざ王都へ
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ギルド褒賞


年に一度、その年でギルドに大きな貢献をしたものに送られる名誉ある賞、それがギルド褒賞である。

ただ依頼の数をこなしたりするだけで貰えるものでは当然ない。ギルドのみならず、国単位に影響を与えるような働きをしなければその賞を得ることはできない。


一度もらえるだけで一生それを自慢し続ける者もいるような、影響力のある賞なのである。


そしてなつきは現在、なぜかその名誉ある賞をもらうべく王都に向かう2頭立て馬車にアルバと二人揺られていた。


「アルバ、私なんでこんなことになっているの・・・」

「わ、わかりません・・・。俺と会う前に何かしたのですか?」

「何もしてないから戸惑ってるのよ!」


自分は一体何をしでかしたのだろうか。まだ龍の峰を出て期間もそれほど経っていないというのに。


普通ならば嬉々として挑む道程であったが、なつきにとっては死出の旅路のように感じたのだった。







「着きましたよ。すぐに検問を抜けて冒険者ギルドへ向かってください。通りをまっすぐに向かうとありますので、詳しくはそこで伺ってくださいね。」

「はあ・・・」


カザリスを出発してから3日後、二人は無事ハツェルホルティの王都イグナレスにたどり着いたのであった。


中央に城を構えた城下町で、その規模は近隣諸国の都にも劣らない。イグナレスというのはかつてハツェルホルティを救った英雄の名から取ったものらしい。英雄の名にふさわしく荘厳な城下町で、町中に警備の騎士が配置されている。


白亜の城も、活気溢れる町の様子も、楽しむ余裕などなく、なつきとアルバは大通りをまっすぐに進み、冒険者ギルドの真ん前にいた。建物も出入りする人の数も今までの街とは比にならない。


緊張した面持ちで、受付嬢に尋ねた。


「あの、ギルド褒賞だかっていう・・・・」

「あら、もしやなつき様でございますか?カザリスの冒険者ギルドから連絡は来ていたのですが間に合われたようでよかったです。マスターが別室で待機していますのでお連れいたしますね。あ、お連れの方もどうぞ。」



依然として訳も分からず言われるがまま、アルバを連れて案内された部屋に入る。

受付嬢がなつきを紹介すると部屋の奥に座っていた、人物が顔をあげた。




「おうおう!よく来たな!お前がなつきか!!と、そっちは?」


「アルバと申します。」


満面のキラキラ笑顔で二人を見る屈強そうな男は気さくな様子で話し始める。


「俺はクリストハルト=バーナー、冒険者ギルドのマスターをやってる。よろしくな。」


「マスター?」


てことは、もしかしてかなり偉い人なのではないか?

アグニマスで会ったアルメリアは支部長と名乗っていたから、もしかして、国内の冒険者ギルドのトップ!?


自分が置かれている状況を全く飲み込めず、サァーっと血の気が引いた気がした。

ふと隣に立つアルバを見ると、彼はいつもとそれほど変わらない様子だ。これは意外と大物なのかもしれない。


「あの、なぜ私はここに呼ばれているのでしょうか・・・・・」

「ん?なんだ、知らないのか?」


コクコクを頷くしかできないでいると、クリストハルトは丁寧に説明してくれた。


「ドワーフの鉱山を救ってくれたろう?あそこで作られている武器は国の騎士も使っていてね、しかし最近鉱物が取れないとかで武器が不足していたんだ。あいつらに取っては消耗品だからな。」


どうやらゴブリン達のせいでだいぶ大きな事態となっていたらしい。もし武器が不足しているこの現状を敵対国が知ったら、戦争を仕掛けられていたかもしれなかったのだ。ギルドと王国の騎士団とは全く別の組織であるので、情報の連携がうまく行っていなかったらしく、S級を派遣するということにならないでいたらしい。


そんな国の大事を一介のD級冒険者が片付けたということもあり、その情報はあっという間に王都までやって来た。


そしてあれよあれよと今回のギルド褒賞受賞者に選ばれたらしい。



「授賞式は明日11時に城門前の広場で行われる。寝坊すんなよ!」



ガシガシとなつきの頭を撫でるクリストハルトの豪快さに目を点にする。アルバも若干引いているようだった。


その日はギルドで宿を用意してくれたようで、王都でもかなりの上宿だ。

アルバと同じ部屋に押し込められる形となったが、ベッドはちゃんと2つあるし、何より広い。旅の途中で二人で野営をする事もざらだったので、特に気にする事もない。



「アルバ、明日はずっと近くにいてね。離れないでね。」



緊張しているのか、いつもとは少し違う様子のなつきについアルバは笑いをこぼしてしまった。



「はい、ずっとお側におります。」



その言葉に安堵したのか、なつきはすぐに眠り出す。

道中緊張続きで余程疲れていたようだ。






ずっと側にいる、明日だけのつもりはない。




今はそうすることでしか、自分を救ってくれた彼女に恩を返す方法が見つからない。

願わくは、平穏がずっと続きますようにと祈りながら、アルバも眠りにつくのだった。

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