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過労死したら異世界転生  作者: とし
いざ王都へ
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ゴブリン・クライシス4


ゴブリンを殲滅し、約束通りアルバのための最高の武器を法外な値段で買ってやろうというなつきの思惑により、二人は集落一の腕前だという武器職人、ルドルフの鍛冶屋へ赴いていた。


ゴブリンがいなくなり、以前のように鉱物が取れるようになると、集落のものは歓喜に打ち震えていた。

今夜、なつきとアルバを主役とする祝いの会を開いてくれるそうだ。武器をこしらえたら、その代金は集落の鉱夫達みんなで支払うと言っていたので、なつきの思惑通りというわけだ。


祝いまでの間、鉱夫達はいそいそとアルバのために鉱物を採掘し、なつきとアルバはルドルフへ武器の注文をする予定だ。しかし、ルドルフは武器を作るのは良いと言っているが、その顔には不満がにじんでいた。


「あんた、それ向いてねえよ。」


その言葉はアルバの剣に向けられていた。


「あんた銀狼の獣人だろ?鉱山前の戦いもチロっと見てたんだが、せっかく生まれ持った武器があるんだ。それを活かせる獲物にするべきだ。」


「?」


ルドルフはどうやら、アルバに剣は向いていないと言いたいらしい。


「俺には、何が向いているのですか?」


「銀狼の俊敏さっていうのは、エルフも追えないって話だ。その早さを生かすんなら、超近接戦闘に特化した獲物がいい。例えば、これなんかな。」


ルドルフが差し出したのは二本で一対の短剣だった。


「それは大したもんじゃねえが、どんなものか体験するにはいいと思うぞ。貸してやるから、その辺で魔物でも狩ってきな。」




アグニマスで、とりあえず普通の武器といったら剣なのだろうと武器屋の雰囲気で適当に買ってしまった自分をなつきは恥じた。エルランドも行っていたが獣人の中にもそれぞれ特性があるらしい。


ルドルフに言われたので集落を出ると、弱い魔物がいたので、アルバは対峙する。


(速さを生かすように・・・・・・)


心の中でイメージをし、魔物に向かって全速力で短剣を突き立てた。



「!」

「す、すごいよアルバ!武器が違うだけで、動きが全然・・・」


アルバもかなりの手応えを感じたらしい。

なつきから見ても明らかに動きが以前とは違っていた。


鍛冶屋に戻り、短剣を一対作ってもらうことに決めた。


ルドルフは職人としての腕もだが、その人にあった武器を作ることに長けているようだった。



「ここでできるのは元を作るだけだからな。魔法陣の付与も大事な工程だ。適当なやつに頼むんじゃねえぞ。」

「はい。」


アルバはそう返事をして、こちらを見た。なるほど、付与は頼むということだろう。

まあガーボッド曰く、魔法陣に関しては教えることがないそうだし・・・



「明日の昼までには完成させてやる。それまで酒でも楽しんでな。」


「・・・・・・・・はい」


今夜の祝いの席では気をつけようと心から思ったなつきであった。









「おいなつきーーー!!こっちこーーーい!!!」

「そんなおっさんのとこじゃなくてこっちで飲もーぜ。」

「こらこら、英雄様を困らせるんじゃないよ。」



酒場では主に鉱夫達による盛大に宴会が催されていた。



「あっはっはっは!いやー、なんでこんなにドワーフのお酒は美味しいんだあ!」

「・・・なつき様・・・・・」



昨夜の反省は果たしてどこに行ったのやら。

どうやら彼女は、弱いくせに飲みたがりという、最悪の酒癖を抱えているらしい。

しかも朝になったら覚えていないのだから余計にタチが悪い。



「なつきのおかげで助かったよ。俺らの集落は鉱物が取れてなんぼだからな。」

「それにしてもかわいいなあ〜。」

「なんでまだD級なんだ?」



「!?」


一つだけ変なセリフが混ざっていたことにアルバはハッとした。

ただでさえ自身の魅力に無自覚のなつきが泥酔で無防備ときたら、貞操の危機なのではないか!?


自分はなつきに大恩があるため、無体を働くということは絶対にしない。昨夜のような状況に陥ってもまだ我慢はできるが、彼らは違う。


この閉鎖された集落で、しかも女性も見たところ少なそう。

そこに、種族は違うが、綺麗な女が現れたのだ。



「お兄さんの食べているそれはなんですか?」

「お!食べさせてやるからこっちこいよ!」



「な、なつき様!食べたいものがあるようでしたら、注文しましょう!」



ーーー自らの膝を指差して、こっち来いよとは一体どういう了見なんだ・・・!?


これは宴会ではなく戦場だと認識したアルバは、なつきを守るべく自分の元へと引き寄せた。

特に疑問に思うこともなく、「はーい」と返事をし、今はアルバの隣で大人しく先ほどの品を注文するなつきにホッとする。周りの嫉妬と羨望に満ちた視線は気にしないことにした。



「あんたも大変だね。」

「はい。せめてもう少し自覚していただけたらいいのですが・・・・・」


気の毒そうな目を向ける酒場の女将に悩みを吐露するアルバであった。

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