魔具の街アグニマス2
「ではこちらが報酬の20フェントになります。ただいま支部長を呼んで参りますのでお待ちくださいませ。」
あれから暫くして遂にアルバがノルマの依頼を終えたのであった。
なつきの方も、ガーボッドに師事したり、依頼をこなしたりするうちにDランクの冒険者となっていた。
「お待たせしたわね。あなたがアルバ?」
「は、はい。」
現れたのは赤褐色の皮膚を持つ長身でスタイルの良い女性。
その額からはツノが生えていて、エルフ族以上の膂力を持つ超怪力種族の鬼人族と言われる種族であった。
「私はアルメリア=カザンドラ。アグニマスの冒険者ギルドの支部長よ。こっちがアルバ、ってことはあなたがなつき?」
アルバの隣にいると、支部長アルメリアの目がなつきにも向けられて、不覚にもドキっとしてしまった。
もしかしてこの人は冒険者の名前をいちいち覚えるすごい人なのだろうか、と思っていたら、どうやら違うらしい。
詳しくは別室で、ということでアルバと共に個室に通される。
「まずはアルバ、あなたのことだけど、熱心に依頼も受けてくれたみたいだし、人格にも問題はなさそうだから本登録で構わないわ。Eランクから再スタートってことになるから頑張ってね。」
「は、はい!」
この数週間の甲斐あって、漸く一人前の冒険者となったアルバ。
なつきと会ったばかりの頃よりも肉がつき、だいぶ健康的な体になってきた。
獣人というのはベースの動物にもよるが体は人間より丈夫にできているらしい。
「あと、あなたはなつきね。エルランドから聞いているわ。」
「エルランドさんが?」
アルメリアがなつきのことを知っていたのは、どうやら彼が関係していたらしい。
流石にS級の冒険者ともなるとギルド支部長と面識があるようだ。
「この間、顔を出した時にあなたについて言っていたのよ。優秀な魔導師だって。」
「いや〜、そんなことないです・・・」
「あの人が他の冒険者の話をするなんて珍しいもんだから吃驚しちゃったわ。気に入られたのね。」
確かに行きつけの魔具店を紹介してもらったりしたし、気に入られはしたのだろう。
表情には全く現れてはいなかったが。
「どんな子なんだろうと思ってたのよ。またここに来るようならいつでも挨拶しに来てちょうだい。アルバもね。」
「「はい」」
アルメリアに別れを告げ、二人は宿に戻る。
「アルバも無事に登録できたことだし、私も魔具について基礎は教わることはできたし、そろそろ次の街に向かう?」
「そうですね。俺は、採取系の依頼ばかりだったので、討伐依頼を受けてみたいのですが・・・・」
「討伐?そっか、じゃあ武器とか欲しいよね?」
珍しくアルバが自身の希望について述べたことに驚いたが、良い傾向だと判断した。
普通レベルの直接魔法を使えるアルバではあるが、それでは生活に役立つ程度で、討伐にはE級の依頼であっても厳しいかもしれない。
「武器か・・・。明日ガーボッドさんに挨拶しにいかないといけないからその時に訊いてみようか。」
日を跨ぎ、ガーボッド魔法道具店を尋ねると他の客はおらず、相変わらず不機嫌なガーボッドが、またお前か、と言った様子でこちらを見た。
アグニマスを出ることを告げると、「やっと発つのか。」とぶっきらぼうにそう言ったが、彼の基準にしてみれば、なつきのことはかなり気に入っていた。
「はい。でもその前に武器のことについてちょっと訊きたくて・・・」
アルバの要望を伝えてみると少し考えたのち、ガーボッドはある提案をした。
「ここから西にドワーフの集落がある。あいつらの武器は一級品ばかりだ。だが集落までの馬車は出ていないから、行きは徒歩になるだろうな。だからそれまでの繋ぎとしてとりあえず、安モンをアグニマスで買うのがいいと思うぞ。」
「なるほど。アルバ、それでいいかな?」
「はい。ガーボッド様、ありがとうございます。」
ただな、と眉間の皺を普段より一層深くしてガーボッドは続けた。
「噂でしかねえが最近何かあったみてえでな、武器作りしている余裕がねえとかなんとか・・・・」
「なんだろう・・・、まあ行って損はないはずなので行ってみますよ。」
「俺もそれでいいと思います。」
二人は合意し、次の目的地をドワーフたちの集落にすることに決めた。




