光へ
無事に冒険者ギルドに仮登録を済ませたアルバ。
「あの、、なつき様、お願いがございます・・・」
「何ー?」
ギルドを出て少ししたところにある開けた場所で、アルバは話し出した。
「ご迷惑でさえなければ、俺に、あなた様に仕えることをお許しいただきたいのです。」
「・・・!?」
目の前で苦しんでいた人を流石に放っておくこともできずに、アルバの命を助け、身分の確保まで手伝いをしたわけだ。
アルバを連れるデメリットはお金が二倍かかることだろうか。
一方メリットは、信頼できる知識を得られるということだ。
なつきはずっと山に篭りっきりだった為、いくら勉強をしていたとしても、百聞は一見にしかずである。
実際1日を共にして、アルバの方が、常識的なことは把握しているようであった。
奴隷だったとはいえ、主人の近くで色々見てきたのであろう。
加えて、今現在、アルバはなつきにかなりの恩を感じているはずだ。
それを無視できるような人柄ではないということも何と無く察している。
デメリットはなくもないであろうが、信頼できる人物というのは今最も求めていることなのかもしれない。
「よし・・・!わかった。行動を共にしましょう。ただし条件があるわ。」
「条件、ですか?」
「私とあなたは対等な関係よ。意見があったら私の顔色なんて伺わないですぐに言って。様なんてつけなくてもいいし、敬語も使う必要なんてないわ。」
「そ、そんな・・・」
突然、対等な関係などと言われても困惑させてしまうだけだったようだ。
それでもなつきは自由になったアルバに再び奴隷のような境遇で生きて欲しくはなかった。
「まあ、慣れるまで待ってあげる。もしやりたいことができたら私に構わないで、夢を追うこと。いいわね?」
「はい・・・かしこまりました。もう、なんとお礼を申し上げたらいいか・・・・。あの、誓いを立ててよろしいですか?」
「ちかい?」
人がまばらな広場でアルバは跪き、なつきを見上げた。
「ちょ、アルバ!?」
他人に跪かれるという体験をしたことがないためギョッとする。
「・・・俺はなつき様を守る盾になります。どんな悪意からもあなた様をお守りいたします。自由を、名を与えて下さったこの恩、決して忘れません。他にやりたいことなど今は考えられませんが、その時が来るまでは、俺の命をなつき様に捧げます・・・・・!!」
これは困った、と内心思わなくもなかったが、そのまっすぐな金の瞳に射抜かれてしまった。
「これからの予定について話し合おうか。」
精一杯の肯定だった。
白銀の尻尾を揺らしながらアルバは立ち上がった。どうやら満足したらしい。
* * * * *
「王都へ?」
「うん。」
アルバにとって悪い思い出しかないであろうマイナルは早く出たほうが良い、と考えたなつきは早速旅支度をしようと冒険者用の雑貨店に来ていた。そこでアルバとこれからについて話しながら必要な品を吟味する。
「魔法陣についての研究とか興味があるんだけどさ、ハツェルホルティの王都に王立研究所とかいうのかあるって聞いて、どんなものか見ておきたくて。」
王都に入るには身分証が必須なので、マイナルはそのための通過点にしかすぎない。
「ある程度魔法の実績があるといいって聞いたから、とりあえず冒険者ギルドのランクをあげればいいかな、って思って。」
「そうだったのですね。では直接王都へ向かいますか?マイナルからは遠いですが・・・」
「うーん、でもせっかくだから道中を楽しんでも見たいよね?アルバも色々見たりしたいでしょ?」
つまりこういうことだ。
色々な街によりながら依頼をこなしてランクをあげていき、王都に着いたら研究所を見て、気に入ったら就職活動、ということだ。
「近くにある街の一つに、魔具の製造が盛んな町があると聞きます。初めにそこに行ってはいかがでしょうか?」
「ほんと?楽しそう!じゃあ早速向かいましょう!」
こうして次の目的地は魔具の街、アグニマスに決まった。




