32.眠らない梟は知恵を売る・新スキル解放
【サバイバルスキル】
・〘生命力〙
・〘休息〙
・〘食事〙
・〘給水〙
・〘適応〙
・〘道具〙
・〘戦備〙
・〘耐性〙
【生命力】
・レベル1 毎秒最大HPの0.15%回復
・レベル2 HPが0になってからの10分間は瀕死状態になる
・レベル3 体調不良が治るまでの時間を30%短縮
・レベル4 毎秒最大MPの0.1%回復
・レベル5 状態異常が治るまでの時間を30%短縮
・レベル6 空腹値と渇水値の低下によるHP減少量-70%
・レベル7 戦闘時|HPが50%以下の場合毎秒最大HPの1%回復
・レベル8 HP回復効果+30%
【休息】
・レベル1 快適度(低)による最大HPとスタミナの減少量-30%
・レベル2 快適度に関係なく寝つきやすくなる
・レベル3 横にならなくても快適度が減らなくなる
・レベル4 快適度(中)以上の睡眠でデバフ効果を無効にする
・レベル5 睡眠時|毎分最大MPの0.15%回復
・レベル6 モンスターが近付くと自動で目が覚める
・レベル7 快適度(低)の場所でも快適度(中)になる
・レベル8 睡眠時|空腹値と渇水値が減らなくなる
【食事】
・レベル1 空腹値の減少速度-10%
・レベル2 火を通してない食材の空腹値回復量+30%
・レベル3 生肉を食べても食中毒にならない
・レベル4 満腹時|毎秒最大HPの0.2%を回復
・レベル5 空腹値の減少速度-20%
・レベル6 食事によるバフ効果時間+30%
・レベル7 食事をすると3分間|毎秒最大HPの0.2%を回復
・レベル8 食事によるデバフ効果を無効化
【給水】
・レベル1 渇水値の減少速度-10%
・レベル2 果物から得られる水分量+30%
・レベル3 ろ過していない水を飲んでも腹痛にならない
・レベル4 アルコールの蓄積量-30%
・レベル5 渇水値の減少速度-20%
・レベル6 飲料によるバフ効果時間+30%
・レベル7 給水すると3分間|スタミナの減少速度-15%
・レベル8 脱水状態にならなくなる
【適応】
・レベル1 寒さや暑さを感じにくくなる(体感)
・レベル2 気温や気候による渇水値の減少量-30%
・レベル3 環境負荷によるスタミナの減少量-30%
・レベル4 食事や装備の耐寒耐熱効果+20%
・レベル5 寒さや暑さに強くなる(体感)
・レベル6 気候の影響で肌が荒れなくなる
・レベル7 地形によるダメージを半減する
・レベル8 凍傷・光傷にならなくなる
【道具】
・レベル1 ポーションによるHP|MPの回復量+10%
・レベル2 道具の耐久値減少量-20%
・レベル3 消費アイテムの所持上限+50%
・レベル4 ポーションによるHP|MPの回復量+20%
・レベル5 道具の耐久値減少量-30%
・レベル6 道具によるHP|MPの回復量+30%
・レベル7 装備できる道具の装備枠+1
・レベル8 消費アイテムが30%の確率で消費されない
【戦備】
・レベル1 武器や防具の耐久値減少量-10%
・レベル2 装備が肌に与える影響を軽減
・レベル3 非戦闘時|防具や衣服の汚れが徐々に消えていく
・レベル4 耐久値の修復作業効率+30%
・レベル5 武器や防具の耐久値減少量-20%
・レベル6 剣が折れても攻撃力が減少しなくなる
・レベル7 戦闘以外で装備の耐久値が減らなくなる
・レベル8 装備負荷を30%軽減
【耐性】
・レベル1 傷や部位欠損の修復速度+10%
・レベル2 痛みに少し強くなる
・レベル3 防具や衣服が無くても擦り傷を負わなくなる
・レベル4 出血によるHP減少量-30%
・レベル5 傷や部位欠損の修復速度+20%
・レベル6 痛みや体調不良に強くなる
・レベル7 状態異常による症状を軽減する
・レベル8 全状態異常耐性+20%
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スキルは全てで8項目。
(初めて見る名称も多いけど、これなら何となく意味は分かるぞ!)
俺はこの手のジャンルをやり込んだことがあり、
そのスキルの凄さが大まかに理解できていた。
(主に2~3レベルは快適性が大きく変わるスキルで、7~8レベルまで行くとぶっ壊れスキルだな)
(クソ!どれも欲しい!何から取れば良いんだ!)
獲得したスキルポイントは3。
UIの見た目は簡素だが、恐らく〘スキルツリー〙と同じ形式だろう。
1つ前のスキルを所持していないと次のスキルが獲得できない。
つまり、レベルを上げたからといって
持っていたスキルが上書きされるのではなく、
追加で効果を獲得する形式だ。
となると、
レベル1で空腹値の減少速度-10%を獲得し、
レベル5で空腹値の減少速度-20%を取る、
すると合計で-30%になるということだ。
グレーアウトしているレベル2以降をクリックすると、スキルの詳細と必要ポイントが表示される。
(スキル獲得に3ポイント。
スキルのレベルを上げるのにも3ポイントか)
……
(つまり、レベルが1上がる毎に新しいスキルを1つ獲得できる。スキルリセットの手段もまだわからないし、このゲームのレベルが上がりにくいことを考えると、計画的にスキルを取らないと積むな……)
俺は、テーブルに座ったまま、何十分も考え込んだ。
(よし、このHP回復効果+30%と全状態異常耐性+20%は絶対に取ろう! HP回復に関しては、頭に条件が書かれておらず、〘回復効果〙という表記の仕方だ、つまり、回復する手段であれば、ポーションだろうがスキルだろうが関係無く、全てに影響するってことだ。)
(全耐性もそうだ、わざわざ症状の軽減と別で書かれているということは、ここで言う耐性は症状の緩和ではなく状態異常に掛かるかどうかの確率に関わるステータスだ。俺が前にやっていたゲームを参考にするなら、耐性の%=確率になるはず、 つまり+100%にすれば実質的に無効と同じだ。 問題はこれが他の効果、例えば毒耐性+20%と書かれた防具か何かをゲットした時に、その効果と加算されるのか別枠計算なのかにもよる、ということだ……)
ふと気付くと外は日が暮れ始め、ギルドに出入りする人が増えてきた。
(まずい、時間を使い過ぎた……)
(とくかく、最初に取るスキルはコイツに決めた!)
俺は、【生命力】のレベル1をクリックした。
(毎秒最大HPの0.15%回復、これを持っているのといないのとでは雲泥の差だ。1秒経つごとにHPの0.15%、つまり60秒で9%回復する。例えHPが残り1で生還しても、10分休憩するだけでほぼ全快! 結果的にポーション代が浮く! 一瞬が命取りの戦闘ではまったく役に立たないが、長期的に見たら破格の性能だ!)
俺はその日、早めに宿を取ると、
自室に籠って再びスキルを見つめていた。
今後の展開やインフレ具合を予想し、
何を優先的に取るか。
ベッドで横になりながら、
寝落ちするまでそのことを考えていた。
――次の日。
俺は朝からギルドに足を運んだ。
おじさんから依頼書を買うためだ。
いつもの場所におじさんが座っており、
誰かに依頼書を売っている最中だった。
人が居なくなったのを見計らって会いに行く。
「…あっ……どうも……おはようございます」
すると、おじさんは俺に気付くなり、
笑顔で手を振る。
「おう~! ゴブリンのあんちゃんじゃねぇか!」
(もう完全に定着してるな……)
「どうも……今日もありますか?…」
「あるよ~、あんちゃんの依頼書は、もうどのポケットに入れるかまで決めてあるんだ!」
そう言っておじさんは、
迷わず左側の内ポケットから依頼書を取り出した。
「ありがとうございます…」
俺が買い取った依頼書をインベントリーにしまうと、
おじさんが何か言いたそうな顔でこちらを見てくる。
「あ~…今日それとよ、あんちゃんに紹介したい人がいるんだ」
「え…俺にですか?……」
「あぁ、今~呼んでくるから、ちょっと待っててくれ!」
そう言っておじさんはギルドの2階に上がっていくと、
誰かを連れて降りてきた。
見た目は20代後半。
黒髪の男性。
茶色のコートに、
革のブーツ。
小さなバックパック。
腰の後ろに小さなポーチと短剣。
明らかに他のプレイヤーより良い装備をしていた。
色白で身長が高く、
大きめの黒縁丸メガネを付けている。
目は細く穏やかそうに笑う人だった。
「やぁ、はじめましてアキラくん! 僕の名前はサカキバラ、みんなからは、〘情報屋〙とか〘フクロウ〙…なんて呼ばれているよ、よろしく」
「あっ……どうも……」
俺は差し出された手を握り、
彼と軽く握手をする。
!?
背筋が僅かに粟立つ。
(今、この人……俺の名前を呼んだ!? 転売ヤーのおじさんですら俺の名前を知らないのに…)
「あの……どうして俺の名前を?…」
彼は少しも笑顔を崩さない。
まるで聞かれるのが分かっていたかのようだ。
「君、ハヤテ君の元パーティメンバーでしょ?」
「なんでそれを!?……」
「こっちじゃ結構有名だよ? ハヤテ君に見捨てられた元パーティメンバーで、今は1人でゴブリンの砦に通っている。 僕も度々〘ノルディア〙の村で見かけたことがあるよ。もっとも、その頃はまだハヤテ君達と一緒にいたけどね。」
「ハヤテと知り合いなんですか?…」
「うん! その前に、立ち話もなんだから、2階のテーブルに座って話さないかい?」
「……わかりました……」
すると転売ヤーのおじさんが呼びかける。
「じゃっ! 俺は仕事に戻るから、後は任せたぞ」
「ありがとうございました」
サカキバラがにこやかにお礼を言うと、
手を振りながら去っていくおじさん。
「じゃぁ、行きましょうか」
「…はい…」
そうして2階の席に案内されると、
彼はさっきの話を続ける。
「どこまで話しましたっけ、え~っと、ハヤテ君と僕が知り合いか…でしたっけ?」
「はい……」
彼は眼鏡をクイッと上げると、
テーブルの上で肘を立て、両手を組み。
穏やかな表情で話し始めた。
「ハヤテ君と僕は知り合いってわけじゃないんだけど、彼は僕らの中では有名でさ、 あ~僕らって言うのは、毎晩ここの2階で行われている情報交換会のことね。僕も度々顔を出していて、そこで彼のことを知ったのさ。 彼ったら、毎日熱心に通っていたのに…急に来なくなったと思ったら、血相を変えて帰ってきてね? 事情を聞いたらパーティを抜けて来たって言うもんだから」
「……」
俺は黙って聞いていた。
「あ~……まぁそのことは良いとして、君に用があるのは情報屋としての僕さ」
「…情報屋…ですか?……」
「そう、僕はお金さえ貰えばなんでも教えてあげるよ? それもとびっきり有益な情報をね」
「……興味無いです……」
(胡散臭い)
「まぁまぁまぁ、話だけでも良いから聞いてって!」
「……どうして俺なんですか?……もっと攻略に真面目に取り組んでいる、 それこそ、情報交換会の人達に売れば良くないですか?」
「それもそうなんだが、情報は資産さ! 大勢に話を聞かれるほど価値は下がる! それだと僕の収入が減っちゃうからね、あそこの人達は何でも共有しちゃうからね」
「…僕があなたから買った情報を、交換会の人に話すとは思わなかったんですか?……」
「それならそれでいい、 君がその情報を手土産に、交換会の人達と仲良くなるなら良いことじゃないか!」
(この人、底が読めないな……)
「どうして君を選んだかだが、いくつか理由はあるよ? 例えば、大多数のプレイヤーが未だに貧困に苦しんでいてお金に困っている。だから、僕が狙うのは上位層、それも丘の向こうまで遠征に行くような人達をね」
「中でも君はソロだ。1人で行動しているプレイヤーは他の人に情報を漏らすリスクが低い。 加えて君は、コミュニケーションが得意なほうではないだろう? だから、君に情報を売っても広まることは、まず無いだろうと思ってさ」
(クッ……ぐうの音も出ない……)
「……俺を選んだ理由はわかりました。それで、どんな情報を売ってくれるんですか?……」
「そりゃぁ勿論何でもさ! このゲームには、UIが極端に少ない都合上、戦っているモンスターの名前すらわからないだろう? 他にも、モンスターの生息地や狩りの穴場スポット、アイテムの採取場所に、お得なクエストの受注場所、 後はそうだね~、もっと基本的な情報も売ってるよ? 例えば、宿屋の場所とかね? この街には宿屋がいくつもあるのに、いつもの場所が満室だからってみんな地面やベンチで寝ようとするのさ! 同じ価格帯の宿屋なんて、探せばいくらでもあるのにね~値段も内装も僕に聞けば一発でわかるよ?」
「……」
「後は、君がさっきから見つめている僕の装備の入手方法とか…ね?」
(!?)
「ハハッ、そんなに驚かないでよ。君の顔を見ていたら嫌でもわかるさ」
「……わかりました……でも、今のところ困っていないので買いたいようなような情報はありません……」
「待った待った! なら取っておきの情報を教えよう! アキラ君は、この街の料理には満足してるかい? 美味しいパンが食べられる場所があるって言ったら、信じるかい?」
「……詳しく教えてください……」
「ここから先は料金が発生するよ?」
「……いくらですか?……」
「今回はお試しだから、300Gでいいよ?」
「ちょっと高いですね……」
「そうかい? でもこの情報を買えば、明日から美味しいパンが食べられるよ?」
「そんな店があるなら噂になっているはずです……明日には価値の無い情報になってるってオチじゃないですか?」
「誰がお店なんて言ったんだい? そこは、普通にプレイしていたらほぼ見つからないような場所さ、加えて、そのパンには1日の販売数が決められている。最初にそれを見つけた人達も、大多数に知られるのは避けたいはずさ」
「……なるほど……たしかにそうですね」
「どうかな?」
「……わかりました…買います」
「毎度あり~!」
彼は金を受け取ると、
得意げな表情で説明し始めた。
俺は、今日の昼にでも、
そのパンを食べに行こうと決めた。
彼は、更に話を続けた。
「まぁ、君の言う通り、この話が広まらないって保証はないからね。今回はサービスでもう1つ情報をタダで売ってあげよう! 君は、未だに〘鉄の剣〙を使っているみたいだけど、王城の裏手にある訓練場で受注できる〘騎士団の入団試験〙は知っているかい?」
「いえ……知りません……」
「そのクエストをクリアすると〘見習い騎士の剣〙が手に入るんだ、初期装備の〘鉄の剣〙より、はるかに性能は良い。しかもこのクエストは、現地に行くだけで誰でも受けることができる。 どうだい? 役に立ったかな?」
「あっ……ありがとうございます…今度…行ってみますね……」
彼は優しく、満足げな笑顔を見せた。
「うんうん! じゃぁ今日はこの辺にしておこうか。これから狩りに行くんでしょ? 頑張ってね!」
「あっ……あの、もう1つだけいいですか?」
「ん? なんだい?」
「白燭亭と同じ値段と快適度で、他の宿ってありますか?…」
「おっ、やっぱ気になるかい? なるべく空いている穴場がいいかな?」
「はい……できればそんなに遠くない場所でお願いします」
(直近の問題は、宿の予約戦争だ。宿が取れなくなる心配がなくなれば、もう少しフィールドで戦っていても問題なくなる)
「毎度あり~!じゃぁ、この情報は100Gでいいよ!」
金を渡すと、
彼から新しい宿屋の場所をいくつか聞けた。
「じゃぁ、そろそろ行かないと。 僕も、パーティメンバーと待ち合わせがあるんだ」
「すみません!あと1つだけ!……」
彼は少し困ったような笑みを浮かべる。
しかし、優しく対応してくれた。
「いいよ~、何が聞きたいんだい? ていうか結局いくつも買ってくれるね(笑)」
「情報というか……買えるかどうかを知りたくて…」
「ん? なんだい? 言ってごらん?」
「……」
「人の情報って…売ってくれますか?……」




