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第84話 神魔解析 ―蒼き流星、神魔の構造を暴く―

第84話 神魔解析

―蒼き流星、神魔の構造を暴く―

―モディアス王国・バトル・スクエア-


閉ざされた巨大な戦場に、

二つの機体が対峙していた。


蒼き光を纏う《メテオール・リンクス》。


そして、


六枚の翼を広げ、赤黒い瘴気を噴き上げる《エルゼイレ・ジャネス》。


ガキィィィィィンッ!!


蒼い光の剣と巨大な大鎌が激突する。


互いの刃が噛み合い、凄まじい衝撃波が大地を走った。


ジャクラム

「“まだまだこんなもんじゃない”……と?」


匠

「ああ……」


ギリ……ギリギリ……!!


メテオールの剣を押し込みながら、ジャクラムは口元を歪める。


ジャクラム

「ふふふ……面白い」


「だが、貴様が“全て”を見せるまでもなく」


「ここで朽ち果てるのだ……創造主よ」


匠

「やれるもんなら…」


匠の瞳が蒼く輝く。


匠

「やってみろよッ!!」


ドォンッ!!


二機が同時に後方へ跳び、再び距離を取った。


その瞬間、


エルゼイレの六枚の翼が、大きく開く。


バサァァァァッ!!


ジャクラム

「ならば……先に終わらせてやろう!!」


シュシュシュシュシュッ!!


無数の羽が、雨のようにメテオールへ迫る。


匠

「……!」


メテオールは蒼剣を高速で振り捌いた。


ガガガガガガガッ!!


迫り来る羽を、一枚、また一枚と弾き落としていく。


だが、


弾かれた羽は地面へ落ちなかった。


クルクルと宙を舞いながら、赤黒い糸を伸ばしていく。


シュルルルル……。


羽と羽が線で結ばれる。


一本


二本


十本…、


やがてそれは、巨大な蜘蛛の巣へと姿を変えていった。


ジャクラム

「……ふふふ」


匠

「……!」


ジャクラム

「捕らえたぞ」


バシュンッ!!


赤黒い網が、一瞬でメテオールを包み込む。


ギギギギギギッ!!


メテオールの四肢へ、無数のエネルギー線が絡み付いた。


―アーク・エクリプス・医療室-


ルイス

「……ッ!」


治療を受けながらモニターを見ていたルイスが、思わず身を乗り出す。


ルイス

「あれは……“縛雷陣”!?」


匠

「…」


ルイス

「匠ッ!! なぜ動かないんだ!!」


しかし、


メテオールは動かなかった。


ジャクラム

「ほう……」


エルゼイレが大鎌を構える。


ジャクラム

「覚悟を決めたのか…」


「ならば…」


「仲間より先に冥府へ送ってやろう」


シュゥゥゥ……


エルゼイレの全身から、赤黒い瘴気が噴き上がる。


ジャクラム

「さらばだ……創造主」


ズァァァァァンッ!!


大鎌が、メテオールへ向かって振り下ろされた。


…だが、


ギュィィィィィン!!


切り裂かれたのは、メテオールではなかった。


赤黒い縛雷陣だけが、真っ二つに断ち切られていた。


ジャクラム

「……なに?」


大鎌が空を切る。


そこに、メテオールの姿はない。


ジャクラム

「消えた……?」


エルゼイレが周囲を見回す。


そして、


その視線が宙に浮かぶ八つの光へ止まった。


ピッ……


ピッ……


ピッ……


八機の《ライジング・ビット》。


それらは、最初に配置された場所から一歩も動いていない。


ジャクラム

「……」


「妙だな…」


「小型追撃機は、最初の位置から静止したまま……」


エルゼイレが大鎌を振り上げる。


ビュンッ!!


ライジング・ビットへ振り下ろす。


しかし、


ヒュンッ!!


ビットは意思を持つかのように攻撃を回避した。


ジャクラム

「……!」


ビットは攻撃を仕掛けない。


ただ…、八方向に浮いている。


まるで何かを探っているかのように…。


ジャクラム


「反撃もしない……」


「ただ配置されているだけ……?」


その瞬間、


ジャクラムの背後から…、


匠

「、…そこだぁぁぁッ!!」

挿絵(By みてみん)

ビュォォォォォンッ!!


蒼い粒子を噴き出しながら、


メテオールが地上から急上昇する。


蒼き剣が、エルゼイレの肩口を狙う。


ジャキィィィィンッ!!


刃が肩を掠めた。

白亜の装甲が裂ける。


しかし、


ズズズズズ……


裂けた装甲が蠢き、瞬く間に再生していく。


匠

「……」


ジャクラム

「ふふふ……」


「新型は、不意打ちが得意らしいな…」


「だが…、」


再生した肩を撫でる。


ジャクラム

「この程度では、我は倒せぬ」


匠

「……それはどうかな?」


メテオールの背部推進機構が展開する。


ギュィィィィィン!!


蒼い粒子が爆発的に噴き出した。


匠

「だったら…!」


「一度で駄目なら、何度でも斬る!!」


バシュンッ!!


メテオールが消える。


次の瞬間、


ズバァァァァンッ!!


横一閃。


エルゼイレの腹部へ、蒼い斬撃が走った。


ジャクラム

「……!」


だが、エルゼイレは倒れない。


蒼き剣は、エルゼイレの真横で空を切った。


ルイス

「……まさか」


「因果改竄…⁉️」


その言葉に、匠は答えない。

D.L.S.のモニターへ視線を落とす。


ピ……ピ……ピ……。


そこには、先ほどから蓄積され続けていた戦闘データが表示されていた。


匠

「カイザー…」


「ミラージュ・エッジを、もう一本」


『了解した』


シュゥゥゥ……


メテオールの前方で蒼い粒子が収束する。


そして、


一本の蒼剣が形成された。


匠は、それを右手で掴む。


左手には、最初のミラージュ・エッジ。


ジャクラム

「ほう」


「今度は双剣か」


エルゼイレが大鎌を構える。

ジャクラム


「来るがいい…」


「貴様の最後の足掻き…」


「我が受け止めてやろう…」


次の瞬間、


ヒュンッ!!


メテオールが突っ込む。


ガキィン!!


右。


ガキィン!!


左。


ザシュッ!!


斬り返し。


ズバァッ!!


袈裟斬り。


ギィィィン!!


大鎌と双剣が激しくぶつかり合う。


ルイス

「……凄い」


「圧している……!」


エルゼイレが後退する。


ジャクラム

「くっ……!」


双剣による連撃を防ぐだけで精一杯だった。


しかし、


ジャクラム

「ふふ……」


「背中が、がら空きだぞ」


匠

「……!」


殺気。


メテオールが瞬時にその場から跳び退く。


ズァァァァン!!


背後から巨大な大鎌が振り下ろされた。


ルイス


「……なっ!?」


「まさか…!!」


その大鎌を持っていたのは、


もう一体のエルゼイレだった。


正確には…


エンプレスから吸収した能力によって生み出された“分身”。


ルイス

「あれは……」


「エンプレスの能力を吸収した…、」


「“神昇魔厳”!!」


ジャクラム

「ふふふ……」


エルゼイレが笑う。


ジャクラム

「途中までとはいえ、あれほどの力を持つ“糧”を吸収したのだ


「もはや、先ほどのように身体が崩れることもない」


ジャクラムは自らの頬を撫でる。


崩壊していた皮膚は、完全に再生していた。


ジャクラム

「どうした、創造主?」


「今度は二体だ」


「このエルゼイレ二体を相手にするのは…、」


「容易ではないぞ…」


普通ならば、


その言葉を聞いた瞬間、匠は恐怖するはずだった。


だが…、


「…………」


メテオールの中で、匠は静かに笑った。


ジャクラム

「……何?」


匠

「いや」


「ようやく…」


メテオールの双眸が蒼く輝く。


匠

「見えた…!」


ジャクラム

「……何がだ?」


匠

「その機体の“正体”がだよ」


ピッ……


ピッ……


ピッ……


八機のライジング・ビットが、一斉に発光する。


ジャクラム

「……!」


八機のビットが、メテオールの周囲へ集結。


一機


二機


三機…。


そして、八機。


メテオールを中心に円陣を組み、回転を開始する。

挿絵(By みてみん)

ギュォォォォォォン!!


D.L.S.のモニターへ、これまでの戦闘映像が高速で再生される。


羽攻撃。


縛雷陣。


再生。


分身。


因果改竄。


吸収。


そして…、


匠

「カイザー」


『解析結果を算出表示する』


目の前に、エルゼイレの立体構造が浮かび上がる。


構造の各所には、


幾つもの赤い光点。


匠

「……やっぱりな」


ジャクラム

「何をしている……?」


匠

「お前は強い」


「確かに、とんでもなく強いよ」


「だけど…」


匠は蒼い剣を構える。

「強いからこそ、“法則”がある」


ジャクラム

「……!」


匠

「お前の再生にも」


「分身にも」


「因果改竄にも」


「全部、“核”となる構造が存在する」

ジャクラムの表情が初めて曇った。


匠

「俺は創造主だ…」


「だったら…」


「創られたものを解析するのも、俺の仕事だろ?」


八機のライジング・ビットが、一斉に展開する。


ピィィィィィン!!


蒼い光がバトル・スクエアを駆け巡る。


ジャクラム

「……貴様ぁ」


匠

「ここからだ…」


メテオール・リンクスの全身から、蒼い光が爆発的に噴き上がる。


匠

「メテオール・リンクス…」


「解析戦闘モード、開始!!」

八機のビットが、一斉にエルゼイレへ照準を合わせる。


ジャクラム

「……ッ!!」


赤黒き神魔と、蒼き流星。


今までの戦いは…、


前哨戦に過ぎなかった。


匠

「覚悟しろ、ジャクラム」


「ここからは…、」


「お前の“弱点”を、一つずつ暴いていく!!」


バトル・スクエア内は、蒼い光で、戦場を埋め尽くした。


そして、


《メテオール・リンクス》の本当の戦いが、


今、始まる。


―つづく―

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