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『40歳OLと高校生、世間では“母子”、本当は恋人――バレたら即終了の年の差ラブコメ、始まります。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
シーズン8.5《社会人8年目と2人の出世…家族5人編のその後と特別編 ~ 》
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第9話「積もる雪と、重なる想い」


冬休みが始まった。


街はすでにクリスマスの色に染まり始めている。



東京。


朝から、雪。


静かに、そして絶え間なく降り続けていた。



「……また降ってる」


真希が窓の外を見ながら呟く。



白く染まる街。


綺麗ではある。


だが――


その分、仕事は厳しくなる。



年末。


繁忙期。



「今日も遅くなるな」


悠真がコートを羽織りながら言う。



真希も頷く。


「うん……ごめんね」



その“ごめんね”の意味は、お互い分かっていた。



子どもたち。



結翔、未来、莉嘉は――


再び、真希の実家へ預けることになった。



「いってらっしゃい」


母親の優しい声。



「またすぐ迎えに来るからね」


真希が言う。



「うん!」


三人は元気に手を振る。



その姿に、少しだけ胸が締め付けられる。



(本当は、一緒にいたい)



でも――


今は、仕事がある。



会社。



積み上がる業務。


増え続けるタスク。



時間はあっという間に過ぎていく。



気づけば、夜。



「……終わらないな」


悠真が小さく呟く。



真希も同じだった。



帰れない日。



会社に残り、そのまま仮眠室へ。



コートをかけ、簡易ベッドに横になる。



「少しだけ……」


目を閉じる。



数分後なのか、数十分後なのか。



ふと、気配を感じる。



ドアが静かに開く音。



足音。



そして――


頬に、やわらかい感触。



「……ん」


悠真がゆっくり目を開ける。



そこにいたのは――


真希。



「起きて」


小さな声。



頬に軽くキスをして、また唇の濃厚なキスで起こす。



「……ありがとう」


まだ少し眠そうに言う。



真希は小さく笑う。


「まだ仕事あるでしょ」



「ある」



短いやり取り。


でも、その一瞬で頭がはっきりする。



それが、何度も繰り返された。



別の日。


また別の日。



仮眠室。


キス。


「起きて」



それが、二人の“合図”のようになっていく。



忙しさの中で、


崩れそうになるリズムを、なんとか繋ぎ止めるための。



“言葉じゃない支え”。



日付が進む。



雪は降り続ける。



そして――


ようやく。



「これで……終わり」


悠真が最後の資料を閉じる。



真希も同じタイミングで、深く息を吐く。



「終わったね」



「終わったな」



その一言に、すべてが詰まっていた。



外に出る。



夜。


雪。


街のイルミネーション。



ようやく、“仕事”から解放される。



「……クリスマス、だな」


悠真が言う。



真希は少しだけ笑う。


「やっとね」



その足で、買い物へ。



予約していたケーキを受け取る。


箱を大事に持つ。



「これ、絶対喜ぶよね」


真希が言う。



「間違いない」


悠真も頷く。



その後、プレゼント。



結翔には、ずっと欲しがっていたもの。


未来には、可愛いもの。


莉嘉には、少し背伸びしたもの。



それぞれの“好き”を思い浮かべながら選ぶ。



「これでいいかな」



「うん、いいと思う」



そのやり取りが、自然で、あたたかい。



すべてを準備し終えた頃。



夜の街は、完全にクリスマスの空気に包まれていた。



家に帰る前、


二人は少しだけ立ち止まる。



「今年も、なんとかやりきったね」


真希が言う。



悠真は頷く。


「ギリギリだったけどな」



「でも、乗り越えた」



「うん」



短い会話。


でも、その重みは大きい。



忙しさの中でも、


離れなかった。



支え合って、


ここまで来た。



「明日、迎えに行こうか」


悠真が言う。



「うん、行こう」



子どもたちの顔が浮かぶ。



その瞬間、


“仕事モード”から完全に切り替わる。



「楽しみだな」



「うん」



雪はまだ降っている。



でも、その中で――


確かに、あたたかい時間が待っていた。



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