特別編⑧「白い季節と、重なるぬくもり」
ハロウィンが終わり、季節は一気に冬へと進んだ。
⸻
朝。
窓の外を見ると――
一面の白。
道路も屋根も、すべて雪に覆われていた。
そして今も、静かに降り続いている。
⸻
「雪だー!!」
結翔が一番に声を上げる。
未来と莉嘉もすぐに駆け寄る。
⸻
「外行こう!」
「雪合戦しようよ!」
⸻
その勢いに押されるように、
真希と悠真も支度をする。
⸻
近くの公園。
白く染まった地面。
足を踏み入れると、キュッと音がする。
⸻
「よし、チーム分け!」
結翔が仕切る。
⸻
「パパと俺!」
「ママと私たち!」
⸻
自然と分かれる。
⸻
悠真と結翔チーム。
真希と未来・莉嘉チーム。
⸻
「いくぞ!」
雪を丸めて投げる。
⸻
「きゃっ!」
未来が避ける。
莉嘉もすぐに反撃。
⸻
真希も容赦ない。
しっかり狙って投げる。
⸻
「ちょっと本気すぎない!?」
悠真が笑いながら叫ぶ。
⸻
結翔も負けじと投げる。
「いけー!」
⸻
雪が飛び交う。
笑い声が響く。
⸻
転びそうになりながらも、また立ち上がる。
⸻
勝敗は――
引き分け。
⸻
「もう一回やろ!」
「いや、一旦休憩!」
⸻
息を切らしながら笑う。
⸻
その何気ない時間が、
とても“冬らしい”一日だった。
⸻
それから数週間後。
⸻
家族で向かったのは――
野沢温泉スキー場
⸻
雪山。
広がるゲレンデ。
白銀の世界。
⸻
「すご……」
未来と莉嘉が目を輝かせる。
⸻
結翔はすでにそりを持って走り出していた。
⸻
子どもたちは、それぞれ“少し高めのそり”を持ち、
思い思いに滑り始める。
⸻
「速いー!」
「もう一回!」
⸻
何度も登って、何度も滑る。
その繰り返しだけで、十分楽しい。
⸻
一方で――
悠真はスキー。
⸻
「……久しぶりだな」
準備しながら呟く。
経験はある。
だが、上手いとは言えない。
⸻
滑り出す。
⸻
「うわっ」
バランスを崩す。
転ぶ。
⸻
「……だよな」
苦笑する。
⸻
その横を――
真希が滑っていく。
⸻
スノーボード。
滑らかな動き。
無駄のないターン。
⸻
明らかにレベルが違う。
⸻
「……すご」
悠真が思わず見とれる。
⸻
その姿は、
どこか仕事中の真希にも似ていた。
無駄がなく、しなやかで、強い。
⸻
(やっぱり、すごいな)
改めて思う。
⸻
少しして。
⸻
「大丈夫?」
真希が戻ってくる。
⸻
「まあ、なんとか」
悠真は苦笑する。
⸻
「じゃあ、一緒に行こ」
⸻
そのままリフトへ。
⸻
隣に座る。
少しだけ距離が近い。
⸻
「ゆっくりでいいからね」
真希が言う。
⸻
「お願いします」
悠真は素直に答える。
⸻
滑る。
⸻
転びそうになる。
⸻
「ほら、体重こっち」
真希が手を添える。
⸻
支えられながら、少しずつ進む。
⸻
「……できた」
悠真が小さく呟く。
⸻
真希は少し笑う。
「でしょ」
⸻
またリフトに乗る。
また滑る。
⸻
その繰り返し。
⸻
“できないことを、一緒にできるようにする時間”
それが、二人にとっては心地よかった。
⸻
夕方。
ホテルへ。
⸻
訪れたのは――
野沢温泉 旅館さかや
⸻
落ち着いた和の空間。
雪景色を見ながらのひととき。
⸻
夕食。
温かい料理。
家族で囲む食卓。
⸻
「今日楽しかった!」
子どもたちが口々に言う。
⸻
「また来たい!」
⸻
その言葉に、真希と悠真は顔を見合わせて笑う。
⸻
そして夜。
⸻
温泉へ。
⸻
水着を着て入れる混浴。
家族で入れる、少し特別な空間。
⸻
湯気が立ち上る中、
ゆっくりと体を沈める。
⸻
「はぁ……」
自然と声が漏れる。
⸻
子どもたちは静かに話している。
今日の出来事。
雪のこと。
そりのこと。
⸻
その少し離れた場所で――
真希と悠真は並ぶ。
⸻
肩が触れる距離。
⸻
言葉は少ない。
⸻
身体をただ、そっと寄り添い重なり合う
⸻
「今日さ」
悠真が小さく言いながら濃厚なキスをして言う
⸻
「うん」
⸻
「また、ちょっと好きになった」
⸻
真希は一瞬だけ驚いて、
少しだけ笑う。
⸻
「何それ」
⸻
「滑ってるとこ」
⸻
その言葉に、少しだけ照れる。
⸻
「……ありがとう」
⸻
湯気の中で、
静かな時間が流れる。
⸻
派手な出来事はない。
⸻
でも――
確かに“満たされている”時間だった。
⸻
そのまま部屋へ戻る。
⸻
子どもたちはすぐに眠る。
遊び疲れた一日。
⸻
真希と悠真も、ゆっくりと布団に入る。
⸻
「いい旅行だったね」
⸻
「うん」
⸻
外では雪が静かに降り続いている。
⸻
白い世界の中で、
家族の時間だけが、あたたかく残っていた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。




