特別編⑥「にぎやかな火と、ひとつの輪」
秋の運動会から、二週間後。
少しずつ涼しくなった空気の中で、ルクシア株式会社ではもう一つのイベントが用意されていた。
――BBQ親睦会。
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会場は会社の裏にある公園。
朝から準備が進み、テントや机、コンロが並んでいく。
その奥には――
まるでお祭りのように並んだ屋台。
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「すご……」
結翔が思わず声を漏らす。
未来と莉嘉も、目を輝かせる。
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くじ引き、輪投げ、千本引き、射的。
子ども向けの遊びがずらりと並び、
さらにその横には――
クレープ、たこ焼き、唐揚げ、フランクフルト、はしまき、
チュロス、ベビーカステラ、肉巻きおにぎり、ロングポテト。
ざっと見ても二十台近い屋台。
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「これ……会社のイベント?」
真希が少し驚いたように言う。
悠真は苦笑する。
「やりすぎだろ」
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だが、その“やりすぎ”が、場を一気に盛り上げていた。
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「行っていい!?」
結翔がすでに前のめりになっている。
「いいけど、ちゃんと順番ね」
真希が言うと、
三人はすぐに「はーい!」と返事をして走り出した。
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射的。
結翔が真剣な顔で構える。
「これ、難しい……」
狙いを定めて撃つ。
一発、外れる。
二発目――
「当たった!」
小さな景品が倒れる。
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未来と莉嘉は輪投げへ。
「入った!」
「もう一回!」
二人で笑いながら挑戦している。
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その様子を少し離れて見ている真希。
自然と口元が緩む。
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「楽しそうだな」
悠真が横に立つ。
「うん」
真希は頷く。
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その間にも、BBQの準備が進む。
肉が焼ける音。
香ばしい匂い。
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「焼けたぞー」
社員の声。
一気に人が集まる。
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紙皿に盛られる肉と野菜。
子どもたちも戻ってきて、また賑やかになる。
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「いただきます!」
声が重なる。
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「うまっ!」
結翔がすぐに言う。
未来と莉嘉も夢中で食べる。
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真希も一口。
「いいね、これ」
悠真も頷く。
「外で食べると違うな」
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しばらくして、
また子どもたちは屋台へ戻る。
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千本引き。
紐を引くと、小さなおもちゃやお菓子が当たる。
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「これ出た!」
「いいなー!」
三人で見せ合う。
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気づけば、手にはたくさんの景品。
袋もいっぱいになっていた。
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夕方。
空が少しずつオレンジ色に染まる。
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イベントはゆっくりと終わりに向かう。
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「楽しかった!」
結翔が満足そうに言う。
未来と莉嘉も大きく頷く。
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家に帰ると――
そのまま“二次会”のような時間が始まる。
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リビング。
今日の戦利品が並ぶ。
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「開けるよ!」
結翔が袋を広げる。
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射的の景品。
輪投げでもらったおもちゃ。
千本引きのお菓子。
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「これいいな」
悠真も思わず手に取る。
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そのあと、
カードゲームが始まる。
笑い声が響く。
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さらに――
ゲーム機の電源が入る。
Switch、そしてPS5。
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「次、パパ!」
「いや、俺かよ」
悠真が苦笑する。
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そしてその横には――
屋台で買ってきた食べ物。
チュロス、カステラ、たこ焼き、フランクフルト、はしまき、唐揚げ。
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「もう夕飯これでいいよね」
真希が少し笑いながら言う。
「十分すぎる」
悠真も同意する。
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ソファに寄りかかりながら、
それぞれ好きなものを食べる。
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整った食卓ではない。
でも――
すごく“楽しい食事”だった。
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夜も更けていく。
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子どもたちは、遊び疲れてそのまま横になる。
景品を抱えたまま、眠りに落ちていく。
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真希はその様子を見て、小さく息を吐く。
「……すごい一日だったね」
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悠真も隣に座る。
「イベント続きだな」
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真希は少しだけ寄りかかる。
「でも、こういうのもいい」
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悠真は軽く頷く。
「うん」
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外は静かになっていた。
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にぎやかな一日の余韻だけが、
まだ部屋の中に残っている。
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それは、家族の時間の“音”だった。
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