特別編④「にぎわいの街と、遠い世界」
滋賀での一日を終えた翌朝。
車は再び走り出した。
次の目的地――
大阪。
⸻
「今日は大阪だよ」
悠真が言うと、後部座席の三人が一斉に反応する。
「大阪って何あるの?」
「たこ焼き!」
結翔の即答に、真希が小さく笑う。
「それは絶対食べるね」
⸻
高速を抜け、市街地へ。
空気が変わる。
人の数、音、スピード。
すべてが一気に“にぎやか”になる。
⸻
最初に向かったのは――
あべのハルカス
⸻
高くそびえる建物を見て、子どもたちは自然と見上げる。
「でか……」
結翔が思わず呟く。
未来と莉嘉も、言葉を失ったように見上げていた。
⸻
展望台からの景色。
街が一望できる高さ。
車も人も、小さく見える。
⸻
「ここ、すごいね」
真希がぽつりと言う。
悠真も頷く。
「全部見える感じだな」
⸻
しばらく景色を楽しんだあと、次に向かったのは――
通天閣
⸻
下町の空気。
にぎやかな通り。
串カツの匂い。
笑い声。
すべてが混ざり合っている。
⸻
「なんか、さっきと全然違うね」
未来が言う。
真希は頷く。
「同じ大阪でもね」
⸻
そのときだった。
通りの一角に、人だかりができている。
「何あれ?」
結翔が指を差す。
⸻
近づいてみると――
テレビ撮影だった。
カメラ、スタッフ、照明。
その中心に、数人の芸能人が立っている。
⸻
「え……テレビ?」
莉嘉が小さく言う。
⸻
その中には――
女優の綾川玲奈
そして――
『Seven☆Days』のNANA事… 如月七海
“光の女王”と呼ばれる存在。
画面越しではなく、目の前にいる。
⸻
さらに――
50代の芸能人でイクメンの新藤洋輔
若手の28歳の俳優の深瀬郁哉
若手で昨日が30歳と発表した稲垣美琴
現役日本代表MF背番号7番の芳崎理玖
総勢7〜8人。
賑やかなメンバーだった。
⸻
「おいしいー!」
たこ焼きを頬張りながら、綾川玲奈が笑う。
その横で如月七海も楽しそうに笑っている。
⸻
「テレビの人だ……」
未来が小さく呟く。
⸻
真希は少しだけ距離を保つ。
「近づきすぎないでね」
子どもたちに優しく言う。
⸻
悠真もその様子を見ながら、少しだけ苦笑する。
「完全に別世界だな」
⸻
カメラの前の彼らは、明るく、完璧に“見せる人間”。
一方で――
その少し外側にいる自分たちは、“ただの日常”。
⸻
結翔がぽつりと言う。
「すごいね」
悠真は優しく答える。
「すごいな」
⸻
だが、それ以上は近づかない。
写真も撮らない。
声もかけない。
⸻
真希は静かに言う。
「こういうのは、遠くからでいいの」
その言葉に、子どもたちは素直に頷く。
⸻
そしてそのまま、少し離れた店へ。
⸻
「はい、たこ焼き」
悠真が買ってくる。
熱々のそれを、みんなで分ける。
⸻
「……こっちの方がいいかも」
結翔が言う。
真希は笑う。
「でしょ」
⸻
特別な人たちのいる場所と、
自分たちのいる場所。
それは近くて、でも確かに違う。
⸻
それでも――
どちらも同じ街の中にある。
⸻
夕方。
街の明かりが少しずつ灯り始める。
⸻
「今日も楽しかったね」
真希が言う。
悠真は頷く。
「濃いな、今回の旅行」
⸻
子どもたちの笑い声。
手を繋いで歩く帰り道。
⸻
にぎやかな街の中で、
家族の時間は、ちゃんと静かに存在していた。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。




