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『40歳OLと高校生、世間では“母子”、本当は恋人――バレたら即終了の年の差ラブコメ、始まります。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
シーズン8.5《社会人8年目と2人の出世…家族5人編のその後と特別編 ~ 》
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特別編②「京都で出会った、もう一つの“かたち”」


夏の陽射しは強い。


けれど、古都の空気はどこか柔らかかった。


家族5人を乗せた車は、ゆっくりと京都の街へ入っていく。


最初に訪れたのは――

金閣寺



「うわ……金色だ」


結翔が思わず声を漏らす。


水面に映る建物。


揺れる光。


未来と莉嘉も、言葉を失ったように見上げていた。



真希は少し後ろからその様子を見守る。


「やっぱり、こういうのは実際に見ると違うね」


悠真も頷く。


「写真じゃ分からないな」



しばらくその場を歩き、次に向かったのは――

比叡山延暦寺 周辺。


山の空気は、街よりも少し涼しい。


木々の間を抜ける風が心地よい。



石段をゆっくり登る子どもたち。


「つかれたー!」


結翔が途中で座り込む。


未来と莉嘉もそれに続く。



悠真が笑いながら手を差し出す。


「ほら、あとちょっと」


真希も後ろから軽く声をかける。


「ゆっくりでいいよ」



頂上付近。


視界が開ける。


街が小さく見える景色。



「すご……」


未来がぽつりと言う。


その一言で、全員が静かになる。



そのあと、再び京都市内へ戻る。


少し遅めの昼。


訪れたのは――

一和 と

かざりや


名物のあぶり餅。


香ばしい匂いが漂う店先。



「なにこれ、いい匂い!」


莉嘉が目を輝かせる。


運ばれてきた餅に、子どもたちは一斉に手を伸ばす。



「いただきます!」


一口。


甘い味噌だれと、香ばしい餅。


「おいしい!」


結翔が即答する。


未来と莉嘉も夢中で食べている。



その様子を見て、真希は小さく笑う。


「こういうの、好きだよね」


悠真も頷く。


「シンプルだけど強い」



その時だった。


「あれ……高槻?」


声がかかる。


悠真が振り返る。


そこにいたのは――


「服部……?」



服部繁

そしてその隣に――

下柳美奈代



「久しぶりだな!」


服部が笑いながら近づいてくる。


「まさか京都で会うとは」


悠真も少し驚きながら笑う。



真希も目を見開く。


「下柳さん……?」


「久しぶりね、春日井さん」


美奈代は落ち着いた笑みを浮かべていた。



少しの沈黙のあと。


服部が子どもたちを見る。


「家族旅行か?」


悠真は一瞬だけ迷う。


だが――


「……うん」


真希も小さく頷く。



そして、二人は視線を合わせる。


言葉にしなくても分かる合図。



悠真が少しだけ声を落とす。


「……これ、他の人には内密で」


服部は一瞬だけ驚き、すぐに理解する。


「ああ、そういうことか」


美奈代も静かに頷く。


「安心して。言わないわ」



その流れで、真希が子どもたちを呼ぶ。


「結翔、未来、莉嘉」


三人が振り向く。



「こっち来て」


少し照れながら、三人は並ぶ。



「この人たち、パパとママの会社の人」


真希が紹介する。


悠真も続ける。


「で、家族」



服部が少しだけ目を細める。


「いいな」


その一言は、軽いのに重みがあった。



美奈代が微笑む。


「うちと似てるわね」


その言葉に、真希が少し反応する。


「似てる?」



服部が笑う。


「俺たちも夫婦なんだよ」


一瞬、空気が止まる。



「しかも年の差、ほぼ同じ」


その言葉に、悠真と真希が同時に目を見開く。



「……公表してるの?」


真希が聞く。


美奈代はあっさり頷く。


「ええ。最初からね」



その言葉は、静かに響いた。


隠している二人。


公表している二人。


同じ構図。


でも、選んだ形は違う。



少しの沈黙のあと。


悠真が笑う。


「なんか、不思議だな」


服部も頷く。


「だな」



結翔がぽつりと言う。


「パパの友達?」


悠真は優しく答える。


「そうだよ」



その何気ない一言で、空気がまた柔らかくなる。



別れ際。


服部が言う。


「またな」


美奈代も軽く手を振る。


「いい旅行を」



二人が去ったあと。


真希は少しだけ空を見上げる。


「……いろんな形があるね」


悠真も同じ方向を見る。


「だな」



京都の空は、静かに広がっていた。



その日。


家族の時間の中に、少しだけ新しい“視点”が加わった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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