第2話「再会の朝、旅のはじまり」
静かな朝だった。
カーテンの隙間から差し込む光が、ゆっくりと部屋を満たしていく。
隣で、悠真が目を覚ます。
少し遅れて、真希もゆっくりと瞼を開いた。
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「……おはよう」
小さな声。
まだ眠気の残る柔らかい声だった。
「おはよう」
悠真も同じくらいの温度で返す。
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二人は同じベッドの中で、少しだけ動かずにいた。
昨日までの慌ただしさが嘘のように、時間がゆっくり流れている。
「今日からだね」
真希が言う。
悠真は小さく頷く。
「お盆休み」
その言葉だけで、空気が少し軽くなる。
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やがて二人は起き上がる。
キッチンに立つ真希。
冷蔵庫を開け、手際よく朝食の準備を始める。
卵を焼く音。
味噌汁の香り。
ご飯が炊ける優しい音。
それらが、久しぶりに“家の朝”を作っていた。
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悠真はその様子を少し離れたところから見ていた。
「手伝う?」
「いいよ。今日は任せて」
真希は振り返らずに言う。
その声には、少しだけ楽しさが混ざっていた。
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食卓に並ぶ料理。
どれもシンプルだが、丁寧に作られている。
「いただきます」
二人で手を合わせる。
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「久しぶりだな、こういうの」
悠真が言う。
真希は少しだけ笑う。
「ちゃんとした朝ごはん?」
「うん」
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一口食べる。
その瞬間、どこか安心する味が広がる。
「やっぱりこれだな」
悠真の言葉に、真希は小さく頷く。
「でしょ」
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食事を終え、軽く片付けを済ませる。
準備はすでにできていた。
荷物も、車も。
あとは――迎えに行くだけ。
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車に乗り込む。
エンジンがかかる音。
その瞬間から、少しずつ“旅”が始まっていた。
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真希の実家に着くと、玄関の前ですでに三人が待っていた。
「パパ!ママ!」
結翔が真っ先に駆けてくる。
未来と莉嘉もその後を追う。
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真希はしゃがんで三人を抱きしめる。
「ただいま」
自然に出た言葉。
「おかえり!」
子どもたちの声が重なる。
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悠真も少し遅れて頭を撫でる。
「いい子にしてたか?」
「してた!」
即答。
その元気さに、思わず笑みがこぼれる。
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少しの会話のあと。
荷物を受け取り、再び車へ。
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「どこ行くの?」
結翔が聞く。
悠真は少しだけ間を置いて言う。
「遠く」
未来と莉嘉が目を輝かせる。
「旅行?」
真希が頷く。
「うん。ちょっと長めの」
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車が走り出す。
窓の外の景色が流れていく。
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今回の目的地は三つ。
まずは 京都。
続いて 滋賀県。
そして最後に 大阪。
七泊八日。
少し長めの、大きな旅行。
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「そんなに長いの!?」
結翔が驚く。
悠真は笑う。
「たまにはいいだろ」
未来と莉嘉はもうすでに楽しみで落ち着かない様子だった。
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高速道路に入る。
都会の景色が、少しずつ自然へと変わっていく。
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車内はすぐに賑やかになる。
「どこ行くの?」
「何食べるの?」
質問が止まらない。
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真希は振り返りながら言う。
「全部楽しもう」
その一言で、子どもたちはさらに盛り上がる。
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悠真はハンドルを握りながら、少しだけ横を見る。
真希が、穏やかな表情で外を見ている。
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「楽しみだな」
悠真が言う。
真希は小さく頷く。
「うん」
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仕事から少し離れた時間。
家族としての時間。
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それは“特別”でありながら、
本当はずっと欲しかった“普通の時間”だった。
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車は、ゆっくりと西へ向かう。
夏の空の下、
新しい思い出が、これから始まる。
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