表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/85

第六十二話 立ちはだかる強敵

 仲間たちに敵を任せ、仲間たちに思いを託されて進む俺たち。残るメンバーは俺と夜月と最上と斎賀と獅子王先輩だけになった。残りの広場は少ないが、ここからでも見える位置に巨大なゴーレムが佇んでいる。恐らくは獅子王先輩を自分の元へ来させるための対抗手段だろう。夜月家があるということは夜月がいるのも分かっていることだろうしな。


「誰があのゴーレムを相手にする? 通常のゴーレムたちがシングルとシングル手前じゃないと抑えられないのを見ると、あれはシングル上位者じゃないと相手をできねぇぞ」

「私が残ります。あんな巨大なものを倒せるかどうかは分かりませんが、抑えることをメインに頑張っていきたいと思います」

「……分かった。感謝するぞ、夜月」

「気にしないでください。その代わり、真極は任せましたよ!」


 次の広場に到着する。そこには広場の三分の一を埋め尽くすほどの巨大なゴーレムが待ち構えていた。ゴーレムは俺たちを視認すると、目を光らせて俺たちのことを見下ろす。そして、隕石とも思えるほどの巨大な拳を打ち放った。


「【正義の鉄槌ジャガーノート】!! はああああああああああああああああああああああ!!」


 夜月がスキルを発動。巨大な拳を受け止めたかと思えば、勢いよくはじき返した。


「夜月!! 行けるか!?」

「なんとかしてみせます! ここは私に任せて皆さんは先へ!!」

「分かった!! 頼んだぞ夜月!!」


 夜月を残して前へ進む俺たち。みんなの様子が心配ではあるが、今はとにかく前へ。ひたすらに前へ突き進むのみ。


---


「どうしましょうかね。こんなにも大きな相手とは戦ったことがありませんので、戦い方が分かりませんよ」


 見上げる夜月咲耶よるつくさくやと見下ろす巨大ゴーレム。巨大ゴーレムに意思や感情はないはずだ。それなのに、自分の攻撃をはじき返されたことに驚いているように見える。いったいどれほどの年月と力を蓄えればここまでのゴーレムが完成するのだろうか。簡単には己の力を見せない真極の用意周到さに、ある意味感心する咲耶。

 咲耶が敵の出方を伺っていると、口から岩の塊を吐き出してきた。それは、前の広場で見たゴーレムに変化する岩の塊。変化したゴーレムの軍団が咲耶に襲い掛かる。


「そんなものいくら束ねてかかってきても、私の相手ではないです!!」


 一撃で赤いコアごと粉砕する咲耶。変化したゴーレムが次々に動かぬ瓦礫と化す。ゴーレムの軍団を制圧した咲耶であったが、またしてもゴーレムを口から吐き出す。巨大ゴーレムは時間稼ぎをしようとしていた。


「きりがないですね。だったら、こちらにも考えがあります」


 向かってくるゴーレム。咲耶は左足を踏み込むと、思い切りゴーレムを右足で蹴り飛ばした。咲耶のスキル【正義の鉄槌ジャガーノート】は、自分に正義があればあるほど身体能力と魔力が増大する。絶対的な悪である真極と戦っている今、スキルの出力は最大限に達していた。

 蹴り飛ばされたゴーレムが巨大ゴーレムの足に激突する。ぶつかった個所は激しく損傷し、一部が剥がれ落ちて瓦礫と化した。しかし、剥がれ落ちたゴーレムの破片が魔力に包まれると、元あった場所に張り付き何事もなかったかのように修復した。

 そして、再度のパンチを放つ巨大ゴーレム。咲耶は違和感に感じる。巨大ゴーレムが先程とは違い、何かの魔力を纏っている。それが火属性の類だと感じた咲耶が【私だけの正義ドレッドノート】を発動。咲耶の予想通り、パンチの威力が以前よりも増して強くなっている。それでも、今度のパンチも何とかはじき返した。はじき返された巨大ゴーレムが一歩後退する。拳の一部が砕け散っていたが、すぐさまに周りの瓦礫を取り込んで修復した。


「なるほど……とてつもなく厄介ですね。火属性を使えるということは他の属性も使えそうですね。さらに、壊れても赤いコアを破壊しない限り修復し続ける自己修復機能までついている。どうやって倒せばいいものですかね」


 咲耶が次の一手を考えていると、巨大ゴーレムの口に魔力が集中していく。十中八九、魔力弾による攻撃。あれほどの魔力、その威力は破壊知れない。その魔力は自分自身を巻き込むほど膨大なものになっているが修復できる巨大ゴーレムには関係ない。巨大ゴーレムは自分自身事、この広場を壊滅させようとしていた。

 発動隙も大きく、避けようと思えば避けることもできた咲耶。それなのに、咲耶はあえて迎え撃った。全身に魔力を纏い、巨大ゴーレムの口から放たれた魔力弾を包み込むように受け止める。膨大な魔力と膨大な魔力のぶつかり合い。どちらが勝ってもおかしくない勝負。

 だが、感情が強くなるほど身体能力と魔力が跳ねあがる咲耶の【私だけの正義ドレッドノート】。それを抜きにしても、感情を持つ咲耶が感情を持たない物言わぬゴーレムに負けるわけがなかった。魔力弾は爆発することなく、無の状態まで収縮していった。巨大ゴーレムが辺りを見回す。咲耶の姿が消えたからだ。


「全く、こちらが時間稼ぎをしようとすると辺りを構わずに破壊しようとする。とんでもない奴です。ねえ巨大なゴーレムさん。私がどうしてあなたの攻撃をわざわざ受け止めたと思います? それはですね、できるだけこの場所を破壊したくなかったからなんですよ。もう一つ質問です。なぜ、研究所を生き残った方々がこの場所を整備されていると思います? 自分たちにとっては嫌な場所であるはずの『真っ新な大地エンプティアース』をどうして綺麗にしていると思います? ……嫌なだけの場所ではないからです。その方々にとっても、獅子王先輩にとっても!! まあ、意思も感情もないあなたに言ったところで分からないでしょうがね」


 隙をついて巨大ゴーレムの首付近に飛び移った咲耶がゴーレムに質問をする。もちろん、答えが返ってくることはなかった。それでよかった。命も意思も感情もないただの物であるならば、遠慮なくぶっ壊すことができるから。


「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


 咲耶が自分の中にある魔力のありったけを一点に凝縮する。そして、凝縮した魔力を巨大ゴーレムの内部へ一気に送り込む。一瞬にして許容量を超えるありえないほどの魔力を送り込まれた巨大ゴーレムは、内部から壊れていく。途方もない魔力を持っている咲耶だからこそできる荒業。動力源である赤いコアを中心にしてひびが入っていき、乾いた砂のように崩れ落ちていった。


「ふぅー、これで周りを傷つけずにあなたを壊すことができましたね。思い切りぶっ飛ばして辺りを巻き込んで倒れでもしたら、目も当てられませんから。はぁー、疲れた。もう流石に強者と戦えるだけの魔力は残っていませんね。後は任せましたよ、先輩方」


---


 走れ、走れ、走れ。真極の居場所まではあと少し。走れ、走れ、走れ。必ず獅子王先輩を送り届けろ。走れ、走れ、走れ。託された思いに応えるために。『真っ新な大地エンプティアース』まであと少し。だが、必ずあいつらがいるはずだ。俺がやってみせる。格上相手だろうと関係ねぇ。俺も思いを託すんだ。獅子王先輩に。


「ふへへへへ、やっぱりいやがったな。あんときの借りを返しに来たぜ、くそ野郎」

「まさか、本当にここまでやってくるとは思わなかったぞ。久しぶりだなお前たち」



 広場にたどり着いた俺たち。そこにはサードとフォースが待ち構えていた。戦力的には俺がフォースの相手をしたいところだが、サードがずっと俺のことを睨みつけている。前の戦いで一発くらわしたのは獅子王先輩だが、俺のスキルが関わっていることがばれているな。どうやら因縁を持たれているのは俺らしい。でもよかった、これで獅子王先輩は先へ進める。


「おい、そこの図体のでかい鋭い目をした男。てめぇの相手は俺だ。フォースはあのいけすかねぇ野郎の相手をしろ」

「八雲殿、ご指名を受けているようですが、大丈夫でございますか? おそらくあの男性は、私と同等かそれ以上でございますよ」

「最優先事項は獅子王先輩を真極の元まで送り届けることだ。俺に任せてくれ」

「八雲……死ぬんじゃないぞ。お前に死なれたら、俺は困るからな」

「大丈夫ですよ獅子王先輩、必ず勝って見せます」

「待ってください八雲先輩、俺がサポートをするっす。確信したっす。俺のスキルの使い場所はここだって。俺も一緒にやらせてくださいっす」

「……危なくなったらすぐに逃げるんだぞ。俺との約束だ」

「了解したっす。必ず役に立って見せるっす!」

「獅子王先輩、どうぞ先へ行ってください」

「ありがとう三人とも。真極は俺に任せてくれ」

 

 獅子王先輩が二人を無視して先へ進む。二人もそういうオーダーが入っているのだろう。真極の元へ進んでいく獅子王先輩を止めようとはしない。


「おい、てめぇは何て言う名前をしているんだ。俺に一発くらわしたんだ。名前くらい覚えておくぜ」

「……八雲隼人だ。てめぇを倒す男の名前だ。よく覚えておくんだな」

「へへっ! 威勢がいい奴は好きだぜ俺は。『真っ新な大地エンプティアース』までにもう一つ広場がある。そこのガキも一緒で構わねぇ。そこで邪魔の入らねぇ、俺たち三人だけのバトルをしようぜ」

「分かった。最上、ここは頼んだぞ」

「承知しました。お任せください」


 俺はサードに連れられて奥へ進んでいく。どんなことがあろうとも、明けない夜はない。みんなで夜明けを見るために、なんとしてでもこいつに勝つ!


---


「ふっ、やっといなくなった。サードの相手は疲れるから困る。だが、これでこちらも邪魔者はいなくなったな」

「さて、どうしたものでしょうかお嬢さん。あまり女性を傷つけたくはないのですが、お引き取り願えないでしょうか?」

「女性だからと言って甘く見てもらっては困るな。私は紅蓮様に仕える身。引くという選択肢はあり得ない」

「そうでございますか。致し方ありませんね。【高貴なる獅子の剣ノービレスパーダ・ディ・レオーネ】」

「それでいいんだ。どうせ勝つのは私だからな。【光と闇の破片ケイオスクラック】」


 最上永遠もがみとわが光の剣を展開。フォースが光属性と闇属性をそれぞれの手に宿す。訪れる静寂。微動だにしない二人。均衡を破ったのは、二人の近くを風にさらわれたひとひらの花が地面へ落ちた瞬間であった。


「はあっ!!」

「はあああああ!!」


 永遠の体から光の剣が何本も射出される。フォースは闇属性を凝縮すると、虚空を殴りつける。すると、虚空にひびが入り、ひびから魔力を伴った闇が棘状に放出された。放出された闇が光の剣を飲み込む。光の剣は粒子となって消えていった。

 右足で地面を踏み込む永遠。地面が光ったかと思えばフォースの真下の地面に光の紋章が浮かび上がる。光の紋章から剣の山が生えてきてフォースを攻撃する。フォースは飛び上がると光属性を凝縮。自分に向かってくる剣の山に光を放つと、光の柱が生成され、剣の山を丸ごと破壊した。

 そのまま空中で光の矢を放つフォース。対する永遠は光の剣を生成し、その光の剣にさらに光属性を纏う。両手持ちで受ける構えを見せる永遠。光の粒子を放ちながらフォースの光の矢を受けきった。


「中々にお強いですね、お嬢さん。やはり止めにいたしませんか?」

「止めるものか。ここからが本番だろう? まだまだお互いにこんなものじゃないはずだ。手を抜くのであれば、お前が死ぬまでだ」

「やれやれ、困ったものでございますね」

「ふんっ! すかしやがって……その余裕がいつまで続くかな?」


 フォースは光属性と闇属性を凝縮させると、それらを融合し始めた。本来なら混ざり合うことのない光属性と闇属性。それを無理やり融合させるのが【光と闇の破片ケイオスクラック】の能力だった。光と闇は混ざり合うと、右半分が光属性で左半分が闇属性の剣ができあがる。混ざり合った剣は光と闇の反発するエネルギーを伴い、膨大な力を保持していた。


「おや? 奇遇でございますね。お嬢さんも剣士でございましたか」

「そういうことだ。私の方が上だということをお前に見せてやる。いくぞ!」


 フォースが先に仕掛ける。鋭い太刀筋で永遠に襲い掛かるフォース。受け流すようにいなしていく永遠。永遠が力いっぱい振り払い、フォースの剣をはじく。フォースははじかれたのを利用して後ろに飛びながら斬撃を放つ。受けきれないことを悟ったフォースが上体を反らして躱す。体勢を立て直したフォースが距離を詰めて追撃。なんとか受けきった永遠であったが、今度は永遠の剣がはじかれる。

 即座にフォースが剣で再度の追撃をすると見せかけての中段蹴り。横っ腹にヒットした永遠が吹っ飛ばされる。永遠は吹っ飛びながらも光の剣を展開してフォースに射出する。フォースが剣を地面に突き刺すと、光と闇の衝撃波が地面からフォースを囲うように発生。光の剣が粒子となる。


「ふっ、どうやらスキル頼りで技術は余りないようだな。そんなことでは私には勝てんぞ」

「そうでございますね。それなら私もやってみましょうか」


 今度は永遠の方から距離を詰める。激しく剣を打ち合う二人。打ち合う剣が光属性と闇属性の粒子を散らす。フォースが永遠の剣をはじくと斜めに切りつける。僅かな空気の揺れを察知して永遠が紙一重で避ける。剣を薙ぎ払う永遠。フォースがバックステップしながら受け流し威力を殺す。退いたのを確認した永遠が斬撃を放つ。いとも容易くはじき返すフォース。

 再び距離を詰めあう二人。直前で永遠が一歩踏み込むのをやめる。薙ぎ払うフォース。フォースの剣が永遠の鼻先より少し離れた場所を通過する。永遠が上からフォースの剣を叩きつける。しかし、フォースの剣はビクともしない。フォースはそこから斬撃を放とうとする。危険を察知した永遠が剣を前面に展開。光属性を纏った剣の盾を作り出す。斬撃と剣の盾が衝突。剣の盾は紙のように簡単に切り捨てられた。

 永遠が手元の剣で受けきりなんとか威力を殺すことに成功。その間にフォースの姿が消える。姿勢を低くして足元を切り払うフォース。永遠は宙返りしながら後ろに跳躍。再び睨み合う形となった。


「斬撃もまともに使えないようであれば、お前に勝機はないぞ。私はこのスキルと剣術を磨くために死ぬような努力をしたのだ。今のお前では私を超えられない。潔く降参して帰ったらどうだ?」

「いえ、帰る訳にはいきません。それよりも、やはり止めにいたしましょう。剣技を鍛えようと思ったのですが、半端な剣技では加治屋殿には一生勝てません。ですので、私は私なりの道を、自分のスキルを鍛えることにいたしました」

「負け惜しみか。そんなものどうやってやるつもりだ? 人間はいきなり強くなれるものではない。人生を甘く見るなよ」

「いえ、必ずやってみせます。私も皆さんの思いを背負っていますから。光の剣に光属性を纏うとさらに強くなる。それをいくつも作り出して一つの剣に束ねてみようと思います。そうすれば、どんな剣にも負けない強固な光の剣ができあがることでございましょう」


 永遠が光の剣を展開し、それぞれの剣に光属性を纏わせる。光の粒子を放つ剣は、永遠の手元にある剣に吸収されていき一つの剣となった。そうしてできあがった剣は淡く儚い青白い光を放ち、フォースの姿をその刀身に映していた。


「これが私の答え。【神秘なる獅子の剣ミステリオーザスパーダ・ディ・レオーネ】です。それではまいりましょうかお嬢さん」

「何なんだお前は……いきなりそんなに強くなりやがって……私の努力も気持ちも飛び越えて……一体お前は!! 何なんだあああああああああああ!!」


 フォースが素早く飛び込み、全身全霊の一撃で剣を振り下ろす。受けきることは不可能の必殺の一撃。永遠は剣から滲み出る青白い光を身に纏い、オーラともいうべき光の範囲を広げる。フォースの剣がオーラに触れた瞬間。超反応で横方向に体をずらす永遠。勢いよく振り下ろしたフォースは一瞬動けなくなる。避けられたことを悟ったフォースは死を覚悟して目をつぶった。


「はあああああっ!!」


 今度は永遠が勢いよく剣を振り下ろす。フォースが目を開けると、屈指の頑丈さを誇る光と闇が混ざりし剣が破壊されていた。フォースはそのまましりもちをつく。そこに剣を構えた永遠が鋭い目つきでにじり寄る。フォースは反射的に両手で顔をガードする。


「ままま、待ってくれ!! そんな目で私を見るな!! 殺すなら一思いに殺せ!! 殺せ!! 早く殺せよ!!」


 永遠が武装を解除する。永遠はフォースの目の前までやってくると拳を振り上げる。


「……い、嫌。嫌嫌嫌!! たた、た、頼むからいじめないでくれ。ご、ごめんなさい。ごめんなさい。い、言うことを聞くから、何でも聞くから、どうかぶたないでください。お仕置きしないでください……」


 怯えるフォースをよそに、永遠が拳を近づける。


「ひっ!! ごめんなさい、ごめんなさい、いい子にしますから。次は失敗しないから、どうか許してください、お願いします……」


 ポフッと言う音と共に、永遠がフォースの頭に手を置く。そのままポンポンと頭を優しくたたきながらフォースに語りかける。


「どうせそんなことだろうと思いましたよ。あなたは常に何かに怯えるようにして剣を振るっておりましたから。失敗が許されない世界で頑張っていたんですね。よしよし」

「な、何をするんだ!? お、お前なんて、お前なんて、すぐにでも倒してやるからな!!」


 手を振り払い、威勢よく啖呵を切るフォース。だが、一度死を覚悟した体は言うことを聞かず、フォースの体は動かない。フォースはそのまま諦めて姿勢を崩した。


「……ふぅー、私は八雲殿の様子を見に行きますが、お嬢さんはこれからどうするつもりでございますか? まだ戦うというのであれば、ここで見守るしかないのですが」

「……負けて帰った私は紅蓮に死ぬ直前までお仕置きをされるだけだ。それならいっそのこと殺してくれ……」

「馬鹿なことをおっしゃらないでください。でしたらこうしましょう。これから私があなたの主です。これからは私の元で頑張ってみてください」

「お、お前が主だと……ば、馬鹿なこと言うな。私は命令でもお前たちを殺そうとしたのだぞ。そんなこと誰も許してはくれないだろう」

「そういえばお嬢さん、本当の名前は何て言うのでございますか?」

「ふえっ!? あ、あかね……」


 永遠は考える。茜は無理やり真極に従わさせられていただけでそこまで悪くはないと。それに、自分と同じくらいの強さの剣士がいれば、自分はどんどん強くなっていけるのではないかと。


「茜殿。天岩学園に編入してみるつもりはございませんか?」

「……む、無理だよ。だって私、本来なら中3だもん」

「そうでございますか。それなら来年入学できるように頑張りましょう。それよりも、迷惑かけた人たちに一緒に謝りに行きますよ。まずは八雲殿からでございます」

「は、はい!? に、入学ってどういうことなのよ。ま、待ってよ。置いていかないでよー!」


 フォースこと茜が、マイペースな永遠に振り回されていくのは、また別のお話。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ