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思い上がり
思い上がり
中学二年生の十一月、吉崎家は家を建てた。Y街から二駅向こうのⅯ街に俺の住居は変わった。
引っ越してからも卒業まであと少しだから、と言うよりも、ここの転校先となる学校には少し問題があるからと言う理由で、俺はN一中に通い続けた。
しかし新居へ帰る最初の日から、やはり源次郎には言われるものだった。
「ヨシ君、当然僕と一緒に帰るんだろうね」
源次郎は硬い表情で声音も低く、恫喝するように言いながら、俺とは視線も合わせずに教室の俺の席に近づいてくる。
私鉄線では駅がないのでⅯ街には帰れない、しかし源次郎は私鉄線のY駅まで俺を連れて行くのである。
Y駅からⅯ街までは一本の国道が伸びている、俺はその国道をひたすら歩くことになる。「ここから二駅分、歩きか」と俺がげっそり言うと、源次郎は挑発的に声音を変えた。
「家を建てたからって思いあがるのも今のうちだからな。人生は甘く見れば見るほど、あとになって取り返しのつかない事態が待っていて、哀れな後半生を送ることになるんだ」
源次郎は敵意むき出しで、俺の腹に二十世紀の外国人のように人差し指を突いた。
挨拶もしないで首を背け、ひとり帰っていく源次郎を俺はぽかんと見送った。俺はそれから卒業まで、通学用の定期券を持っているのに、Y駅から二駅分の国道を歩き続ける。




