変幻メカクレ:1
予約投稿したと思ったらしてなかったマン
ベッドに入り込んでいた珍獣(従姉らしいな)の体温で目が覚めたイケメン(俺だよ!)は不機嫌であった。
必ず、無知蒙昧にして乳尻太股ぐらいしか取り柄のないこの駄肉を除かねばならぬ。
イケメン(俺だよ俺俺!)は女が分からぬ。イケメン(俺かも?)は童貞であった。
故に、この結果は当然のことであった。
「おはようハニー」
「……おはよ、ダ、ダーリン……」
やはりこの隣の席のメカクレさんはいい。何がいいってノリがいい。はにかみながらも最後まで答えてくれる。癒される……。女性とはこういう人のことの事を言うのだろう。
「長篠くん、頬……」
「ああ、おしゃれだろ?真似していいぞ」
「顔に紅葉貼り付ける趣味はない、かな……」
あの駄肉のフレンズめ、本気でぶちやがった。耳元で、可愛いね♡とか起きて、子猫ちゃんとか囁いてただけじゃないか。俺ですら見逃しちゃうレベルの俊敏性を発揮していたねアレは。普段デブ猫並にゴロゴロしてるのに不思議だね。思い出したら腹立ってきた。帰ったらケツ引っ叩いてやる!
さておき、今日のメカクレさんの髪型は、っと。ふぅむふむ。なるほどなるほど。
三つ編みおさげですか……。たいしたものですね。彼女の艶のある黒髪と成熟した体型が合わさり非常に魅力的に映る。やぼったい髪型が寧ろ女としての彼女を引き立てているようにも見える。往年の委員長のイメージを彷彿とさせられるほどです。今日はメカクレさんが日直でバランスも良い。やりますよ彼女は。メカクレ爆乳委員長か……。よし、と。
「今日もおしゃれだな、見てて楽しいよ」
「……ありがとう。えっと、昨日と今日だと、どっちがいい?」
「個人的には昨日のほうが好きかな」
(昨日とは、俺が生足と黒タイツにいじめられていた日でもある。体育会系後輩三人組を許すな。お陰でクマさんパジャマでお婿に行けない身体にされてしまった。復讐は胸に刻んで生きてやるのだ。)
キャリアウーマンヘヤー?女秘書ヘアー?そんな感じのサムシングで想像してくれたまえ。メカクレ爆乳美人女秘書ですよ。あまりにも胸部装甲が詰まりすぎてかなりの猫背になってるのも個人的にポイント高い。そんなわがままボディな彼女に俺のことを管理してほしいよね、して。「社長、いい加減働いてください」とか足蹴にされながら言われたいよね。俺の中三までの将来の夢が社長だったしワンチャンあるのではないかしら。ダメかしら。
「ふーん、そっか」
目元はまるで見えないが、メカクレさんの口元はうっすら笑みを浮かべている。
ところで、気の早いボーイや敏感肌のそこのあなたはこう思っていることだろう。
「お前、足フェチじゃなかったのかよ」と。そうだ、俺は足フェチだ。でもね、聞いてくださいよ、でっかいんスよ。乗ってるんスよ今も。机の上におっぱいが。メカクレさんは猫背である。小柄な彼女が前かがみに座るとどうなるか。片方だけでもキロ単位の重さがあるのだ。そりゃ乗せるよね。目の前にちょうどいい置き場があるなら。メカクレさん本人の感覚的には頬杖ついてるみたいなもんなのかもしれないね。男性や一部の女性(貧しくても強く生きて!勝利を信じて!)に特攻があるけど。
「幕井さんやっぱデケー」
「長篠もげろ」
「中学一緒何だっけ?」
「あのおっぱいの成長記録がアイツの頭の中にあんのか……」
「目元出せばいいのにな」
「あ゛?」
「お゛?」
一気に騒がしくなる。今日もウチの学校は平和である。そして俺が聞こえる声というのは当然隣の席のメカクレさんにも聞こえるわけで。あらあら照れちゃってこの子。そんなに机に突っ伏しちゃってまぁ、おっぱいが重力の向きを教えてくれるなぁ、そっかぁ下かぁ。ロケットだねぇ。
「長篠くんは……」
体勢はそのままに顔だけを俺の方へと向ける。相変わらず目元は見えない。でもね顔の紅さはむしろ際立ってるよ?見た目とは裏腹にハスキーな声をしている彼女。そのギャップもまた良し。
「記録、取ってるの……?」
「どっちがいい?」
「えっ……」
「どっちの方が好き?」
甘いな、アマアマである。いつかの仕返しのつもりなのだろうが、俺には効かん!秘技、質問に質問で返す!※時と場合によっては本気で嫌われる技なので、ほどほどに活用しましょう。お兄さんとの約束だぞ!
「ええっと、その」
「……」
「あのね、うぅ……」
「聞かせてくれ」
「……マ、マメな男の人って、モテるんだよ……!」
「ハハハ、そうか。それは知らなかったな」
「……むぅぅぅぅ!」
「叩くな叩くな」
メカクレさんったら、完全に小動物ムーブじゃないですか。その紅い顔に免じてただまぁ一つ言えるとするなら、中学の時からご立派様だったし、メカクレさんだったね。恥ずかしがりなところもそのままだ。
おや、前の席の絵里奈ちゃんさんがぷるぷるしている。時折あるんだよね。メカクレさんと話してる時とか特に。
「宮代さんどうしたの?」
「う、うぅん何でもないのよ気にしないで」
「でも震えてるよ?顔も紅いし」
「これはそういうのではないわ!気にしないで」
マナーモード絵里奈ちゃんさんがお友達とお話し中。どうやらスピーカーモードのようでこちらにもまるぎこえだ。……そっとしておこう。
「そういえば、一時間目何だっけ?」
「……教えない!」
「分かった、じゃあ数学の教科書貸してくれ」
「確信犯だよね!?というか、普段置き勉してなかった?」
「間違えて持って帰ったくさいんだよな」
「その考えが間違えてる、と思う」
その発想はなかった。まさに目から鱗である。視界が開けるとはこういうことを指すんじゃないかしら。また一つ成長してしまったわけである。男の子である。
「だったら、さ……。一緒に見る……?」
「……あー隣のクラスから借りて───」
「……っ」
「……あー不束者ですが……」
「はい!」
あーうん、優しい女の子は調子狂うな……。絵里奈ちゃんさんも相変わらずバイヴレーション効かせてるし、舌打ちはそこらから聞こえるし、くっつけた机の間に教科書置いて一緒に見ていたら結局視線が万乳引力の法則に従ってしまうしでまったく集中出来なかったさ!何も言われなかったが、絶対にチラチラチチを見ていたのはバレていただろうし、ぐぬぬ。
何故か分からんが、メカクレさんの前だと俺のIQが下がるんだよな……。それもこれもメカクレさんが優しいのが悪い。うん、そうに違いない。




